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「もうさー、田舎から出稼ぎにきましたー感丸出しの格好じゃんソレ」
「はぁ」
悪いかよ。こっちは金がないからわざわざ王都にまで働きに来てんのにそんなこと言われても困る。それにこれは俺の精一杯の一張羅だっ!
と叫んでやりたい気持ちをぐっと抑えた。
それにそんなことこの騎士様に言っても仕方のないことだ。
「こっちも困るんだよねー。勝手にスリのカモになってくれちゃって、被害者ヅラされんのもさー。マジで仕事増やさないでくんね?」
「はぁ……スンマセン」
なんで俺が責められなきゃなんないの?
意味わかんないんだけど。
ほんとにほんとについてない。
育ての親である爺ちゃんがいたから村に残ってたけど、その爺ちゃんも最近死んじゃった。もうこれからは自分の好きな人生を歩めって言われて、初めてやってきた憧れの王都。
金はスられるし、ガラ悪いちゃらい騎士様には責められるし……。
はぁ、王都になんて来るんじゃなかった。こんなことならずっと田舎でゆっくり暮らしていればよかった。
俺の中にはそんな後悔の念が一気に押し寄せた。
「しかもお前さー、その顔、東からきたっしょ? その低い鼻とじみーな顔立ち……ぜってぇ東の民だわ」
見下したように睨んでくる目と低い声に、俺はビクリと肩が跳ねた。
「お前、名前なんだっけ?」
「……イチゴです」
「ほーらその独特の名前、やっぱり東の民だ」
バカにしたような顔で、はっ、と鼻で笑われた。
今まで村から出たことがない俺。東の民ってことで見下してくる者も一定数いるらしいとは聞いていた。
だけど聞くのと、実体験するのとでは訳が違った。
蔑みの目を直接向けられて、なんだかだんだん自分が悪いことをしているような気分になる。
「移民族は王都なんかにくんなよなー。目障りなんだよ」
「……」
「もうお前、帰れよ。王都から出てけ。いや、このビィスゥタスト王国からでていけ」
ぎゅっと拳を握りしめて下を向いた。
理不尽なことを言われている自覚はあったが、本当に出て行きたくなった。
「スられた財布の中身なんか今頃使われてすっからかんだろうし、なに律儀に報告しに来てくれちゃってんの? ほんと東の民は頭も悪いよなー」
ただ串焼き屋のおっちゃんのアドバイスに従って来ただけなのに。
こんなにひどいことを言われる筋合いはない。でも言い返したら、もっとめんどくさいことになるのは目に見えていた。
(ここは俺が大人な対応をして、我慢だ)
「てかさー、あんた成人してんの? 今いくつだよ」
「……もう20歳ですけど」
成人して2年は経ってる立派な大人だ。
「はー? 俺より2歳上とか見えねー。東の民は見た目幼いとかよく聞くけどさ、せいぜい16にしか見えないね。てかまだ身分証とか見せてもらってないんだけど」
「いや、だから! 俺は今日王都にきたばっかりだし、これからギルドに行って身分証とか住居移動の手続きとかする前に財布をスられたって言ったでしょうが!」
だめだ、こっちの話を全然聞いてくれていない。
全くこちらに寄り添ってくれない、状況を理解しようとしてくれないのでこの騎士様とは話が噛み合わない。
「おいおい、なんだよその態度。こっちはお前みたいな移民族にも優しく対応してやってるっていうのにさー。ありえねぇんだけど」
「……っ!」
「親の顔を拝んでみたいね。ま、同じような地味なツラばっかりで見分けなんてつかないだろうけどさ」
言いたい放題言いやがって。
言い返してしまいそうになって、思わず口を開いた唇を噛み締めた。
「あーあ、とりあえず調書は残さないとだしなー。あんた名前なんだけっけ?」
「イチゴですっ!」
もうさっき名乗ってるっつの!
落書きばっか描いてないで最初から調書取っとけよ!
イライラを抑え込んで名をもう一度名乗った。
「親はどこいんの?」
「親はいません」
「ふーん、じゃ保護者は?」
「最近じいちゃんが死んじゃって今は1人です」
「じいさんね……。相当な世間知らずなじいさんだったんだろうな。お前みたいな迷惑なやつを生み出した報いだな。
東の民が1人死んでくれてよかったわ」
「は?」
「はぁ」
悪いかよ。こっちは金がないからわざわざ王都にまで働きに来てんのにそんなこと言われても困る。それにこれは俺の精一杯の一張羅だっ!
と叫んでやりたい気持ちをぐっと抑えた。
それにそんなことこの騎士様に言っても仕方のないことだ。
「こっちも困るんだよねー。勝手にスリのカモになってくれちゃって、被害者ヅラされんのもさー。マジで仕事増やさないでくんね?」
「はぁ……スンマセン」
なんで俺が責められなきゃなんないの?
意味わかんないんだけど。
ほんとにほんとについてない。
育ての親である爺ちゃんがいたから村に残ってたけど、その爺ちゃんも最近死んじゃった。もうこれからは自分の好きな人生を歩めって言われて、初めてやってきた憧れの王都。
金はスられるし、ガラ悪いちゃらい騎士様には責められるし……。
はぁ、王都になんて来るんじゃなかった。こんなことならずっと田舎でゆっくり暮らしていればよかった。
俺の中にはそんな後悔の念が一気に押し寄せた。
「しかもお前さー、その顔、東からきたっしょ? その低い鼻とじみーな顔立ち……ぜってぇ東の民だわ」
見下したように睨んでくる目と低い声に、俺はビクリと肩が跳ねた。
「お前、名前なんだっけ?」
「……イチゴです」
「ほーらその独特の名前、やっぱり東の民だ」
バカにしたような顔で、はっ、と鼻で笑われた。
今まで村から出たことがない俺。東の民ってことで見下してくる者も一定数いるらしいとは聞いていた。
だけど聞くのと、実体験するのとでは訳が違った。
蔑みの目を直接向けられて、なんだかだんだん自分が悪いことをしているような気分になる。
「移民族は王都なんかにくんなよなー。目障りなんだよ」
「……」
「もうお前、帰れよ。王都から出てけ。いや、このビィスゥタスト王国からでていけ」
ぎゅっと拳を握りしめて下を向いた。
理不尽なことを言われている自覚はあったが、本当に出て行きたくなった。
「スられた財布の中身なんか今頃使われてすっからかんだろうし、なに律儀に報告しに来てくれちゃってんの? ほんと東の民は頭も悪いよなー」
ただ串焼き屋のおっちゃんのアドバイスに従って来ただけなのに。
こんなにひどいことを言われる筋合いはない。でも言い返したら、もっとめんどくさいことになるのは目に見えていた。
(ここは俺が大人な対応をして、我慢だ)
「てかさー、あんた成人してんの? 今いくつだよ」
「……もう20歳ですけど」
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「はー? 俺より2歳上とか見えねー。東の民は見た目幼いとかよく聞くけどさ、せいぜい16にしか見えないね。てかまだ身分証とか見せてもらってないんだけど」
「いや、だから! 俺は今日王都にきたばっかりだし、これからギルドに行って身分証とか住居移動の手続きとかする前に財布をスられたって言ったでしょうが!」
だめだ、こっちの話を全然聞いてくれていない。
全くこちらに寄り添ってくれない、状況を理解しようとしてくれないのでこの騎士様とは話が噛み合わない。
「おいおい、なんだよその態度。こっちはお前みたいな移民族にも優しく対応してやってるっていうのにさー。ありえねぇんだけど」
「……っ!」
「親の顔を拝んでみたいね。ま、同じような地味なツラばっかりで見分けなんてつかないだろうけどさ」
言いたい放題言いやがって。
言い返してしまいそうになって、思わず口を開いた唇を噛み締めた。
「あーあ、とりあえず調書は残さないとだしなー。あんた名前なんだけっけ?」
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「ふーん、じゃ保護者は?」
「最近じいちゃんが死んじゃって今は1人です」
「じいさんね……。相当な世間知らずなじいさんだったんだろうな。お前みたいな迷惑なやつを生み出した報いだな。
東の民が1人死んでくれてよかったわ」
「は?」
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