俺は勇者になりたくて今日もガチャを回し続ける。

横尾楓

文字の大きさ
45 / 92
第4章

感謝祭を楽しめない。

しおりを挟む
「じゃあそろそろ行くよ」
「今日もお祭りに行かれるのですね」

フィオは羨ましそうにそう言った。
今年も感謝祭には行けそうもないからだ。

「“報告・連絡・相談”といつも注意するのですが...」

自分で勝手に安請け合いした雑誌の連載を
彼女に伝えないまま自分も忘れてしまい
今週末までに提出しなければならないらしい。
他にも色々と仕事を抱えているのに...

「まぁ、よくあるミスってやつだよねぇ...」
「それが命取りになる事だってあるのですよっ!」

本気で怒られてる。大人なのに。
責任感の強い彼女は他人ひとに迷惑をかける事が大嫌いだ。
親父の家系はこれだから...フィオが可哀想。

「ちゃっちゃと片付けて今年は連れてくからさぁ...」
「............(フィオ、疑いの目)」
「............(ウィンディ、真似して疑いの目)」

「なっ、なんだよぉ~!そんな目するなって二人とも」

せっかくなので感謝祭最後の日曜日に
みんなで一緒に行こうと誘った。

「それまでには絶対に終わらせてよ」
「ハハッ。レオナルドも言うようになったなぁ~」

俺は半分、今年も一緒には行けないだろうなと思った。

ガチャの召喚者から離れられる範囲はおよそ2km。
魔力の大きさや特殊なアイテム使用などで違いはあるが
基本的にはそんな感じ。

カレン曰く
大きな声で「コラッ!」って怒られた時みたいに
身体がビィーンと萎縮してしまうそうで
それ以上遠くへは行きたくなくなるのだという。

だから遠い所へ出かけるには必ず保護者マスター同伴。
フィオだけを感謝祭に連れ出す事は出来ないのだ...残念。

「大丈夫です。必ず間に合わせますので!」

フィオが早速プラン立てて伯父に指示を出す。
(これじゃどっちがマスターかわからないよな...)
まるで夏休みの宿題が終わらない子供のように
ヒィヒィ泣き事を言いながら仕事を進めるのであった。


彼らを残して俺達は今日もお祭り会場へ。
今回は遊びに来たわけじゃなくて
頼まれ物とプレゼントを買いに来たのだ。

「えぇっと...ウミブドウのパウンドケーキと...」
「ホッキョクモグラの缶詰...(美味いのか?コレは)」

母さんから手紙が来ていた。
少し離れた村に住んでいる母さんは
毎年欲しい物を買ってきてと俺にお願いする。

この街の感謝祭は規模が大きくて大人気。
各地から珍しい食べ物や飲み物、雑貨などが多く集まる。

ケニーの店から送れば簡単だけれど
顔を出しついでにいつも直接実家まで届けに行く。
......お小遣いもくれるし。

「ウミブドウのケーキ、売り切れてる...」

悲しい。
毎年買っていたのにタルトしか残っていなかった。

「今年のブドウは特別甘くて美味しいよ~!」
「ただ海水温が高いから収穫量が少なくてねぇ...」

そういえば難しいニュースで“ヒドラ”の大量発生による
温暖化が問題になってるとか言ってた。
竜というより蛇の見た目をした炎タイプの厄介な奴で
上級だから討伐は中々難しいのだ。

「じゃあ、タルトを貰うよ」
「はい、毎度ありぃ~」

仕方がないので1ホール購入する。
日持ちするから初日に買えばよかったな...


家に戻って明日の準備。
カレンは“ボンゴリジャーキー”を急いで作成中。
初めて会う母さんに贈り物をしたいのだという。

「喜んでくれるかなぁー?」
「きっと喜ぶと思うよ」

彼女によると明日の天気は晴れ。
午後から風が強く吹くというので早めに出かける予定。
ひさしぶりに会う母さんの喜ぶ顔を
ボンヤリと思い浮かべながら眠りについた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。 ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

処理中です...