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第5章
考えなくてよい方法。
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♢早朝 伯父の屋敷近くの森
「今日から戦闘訓練を開始します」
ずっと基礎的な稽古だけだったのだが
遂に実戦を意識した特訓が始まる。
「大丈夫なので本気でかかって来て下さい」
(フィオが相手じゃやりづらいな...でも)
シャキンッ!.....あれ?
俺が思い切って剣を振り抜いたあと
彼女の姿はそこにはなかった。
カシャン...「はっきり言って遅いです」
俺は後頭部に剣先を突きつけられていた。
この状態で自分で言うのもカッコ悪いけれど
アカデミーでの実技は優秀だったはず。
特訓も頑張って続けていたのに...
「迷いがありますね」
「考えている分、少しの間がありましたよ」
そんなに間を空けたつもりはないが
やはり彼女に剣を向けづらかったからか。
「ではこれならどうでしょうか」
ゴク...ゴクゴク
フィオが液体の入った瓶を取り出して飲む。
まわりが黒い煙に包まれてなんだかヤバイ雰囲気...
シュゥゥン...ザザッ...
煙が引くと、そこには見覚えのあるものがいた。
「リザードファフニール.....」
.....怖い。
一瞬で血の気が引いた。
それに変な汗まで流れ出す。
あの時と同じように竜がゆっくりと前進して
俺はその場から一歩も動けなくなっていた。
“レオナルド、まだ怖いですか”
“大きさや等級に惑わされてはいけません”
“考えながら手を止めずに次の一手を撃つのです”
フィオの声だった。
さっきの瓶は幻術ポーションか何かだろう。
確かにあの時のブルーは冷静だった。
的確に状況を判断して動きを止める事を優先。
一方の俺は斬りつけたり逃げたりで...
“判断力と決断力が足りていませんね”
そう、その通りだ。
あの時は地に足がついていない感じで
その場しのぎでどうしようかと“思っていた”だけ。
それは“考えていた”わけではない。
“考えなくてよい方法もありますよ”
“基本的にドラゴンの動きを鈍らせるには尻尾です”
ブン.....
フィオ(竜)が大きくターンして見せる。
巨体が遠心力を使ってグルっと向きを変えた。
“では、尻尾を斬り落としてみてください”
「えっと...それってダメージとかはー」
“核以外でしたらただの幻ですのでご安心を”
そう言う事ならと俺は勢いよく剣を振るう。
シュパーン.....ドンッ
切れた尾の先は煙となって消えた。
“それではもう一度”
またグルっとターンして見せるフィオ。
今度は一気にじゃなくてその場で数歩足を動かした。
身体のバランスが悪くなり動きが鈍ったのだ。
こうしていれば俺達は逃げ切れたかもしれないし
竜が振り返ってカレンに向かう事もなかった。
“聴覚が悪いと分析出来ていた事は素晴らしいです”
“それをどう活かすかが問題ですね”
ずっと戦術は敬遠してた。
強ければ倒せると思っていたから。
でもただ強いだけでは何の意味も持たない。
ちゃんと物事には理屈があって法則もある。
無闇矢鱈に剣を振るっても勝てないのだ。
「もっと勉強するよ...」
.....ポワンッ!
俺がそう肩を落とすと
フィオが姿を戻してこう言った。
「レオナルドは活字が苦手かと思うので」
「これからは戦術も実戦形式にしましょうっ!」
(それって嬉しいような、傷付くような.....)
たしかに活字は苦手だけれども
落ちこぼれの生徒みたいな言われようだ。
屋敷に戻って軽くシャワーを浴びてから
カレンを連れていつもの仕事場へ。
苦手だけど休み時間も戦術ノートを開いた。
「こう来たらこうで...ああやって...」
今日の特訓で少し意識が変わったのだろうか?
俺は読み返しながら何度も頭の中で竜と戦っている。
「今日から戦闘訓練を開始します」
ずっと基礎的な稽古だけだったのだが
遂に実戦を意識した特訓が始まる。
「大丈夫なので本気でかかって来て下さい」
(フィオが相手じゃやりづらいな...でも)
シャキンッ!.....あれ?
俺が思い切って剣を振り抜いたあと
彼女の姿はそこにはなかった。
カシャン...「はっきり言って遅いです」
俺は後頭部に剣先を突きつけられていた。
この状態で自分で言うのもカッコ悪いけれど
アカデミーでの実技は優秀だったはず。
特訓も頑張って続けていたのに...
「迷いがありますね」
「考えている分、少しの間がありましたよ」
そんなに間を空けたつもりはないが
やはり彼女に剣を向けづらかったからか。
「ではこれならどうでしょうか」
ゴク...ゴクゴク
フィオが液体の入った瓶を取り出して飲む。
まわりが黒い煙に包まれてなんだかヤバイ雰囲気...
シュゥゥン...ザザッ...
煙が引くと、そこには見覚えのあるものがいた。
「リザードファフニール.....」
.....怖い。
一瞬で血の気が引いた。
それに変な汗まで流れ出す。
あの時と同じように竜がゆっくりと前進して
俺はその場から一歩も動けなくなっていた。
“レオナルド、まだ怖いですか”
“大きさや等級に惑わされてはいけません”
“考えながら手を止めずに次の一手を撃つのです”
フィオの声だった。
さっきの瓶は幻術ポーションか何かだろう。
確かにあの時のブルーは冷静だった。
的確に状況を判断して動きを止める事を優先。
一方の俺は斬りつけたり逃げたりで...
“判断力と決断力が足りていませんね”
そう、その通りだ。
あの時は地に足がついていない感じで
その場しのぎでどうしようかと“思っていた”だけ。
それは“考えていた”わけではない。
“考えなくてよい方法もありますよ”
“基本的にドラゴンの動きを鈍らせるには尻尾です”
ブン.....
フィオ(竜)が大きくターンして見せる。
巨体が遠心力を使ってグルっと向きを変えた。
“では、尻尾を斬り落としてみてください”
「えっと...それってダメージとかはー」
“核以外でしたらただの幻ですのでご安心を”
そう言う事ならと俺は勢いよく剣を振るう。
シュパーン.....ドンッ
切れた尾の先は煙となって消えた。
“それではもう一度”
またグルっとターンして見せるフィオ。
今度は一気にじゃなくてその場で数歩足を動かした。
身体のバランスが悪くなり動きが鈍ったのだ。
こうしていれば俺達は逃げ切れたかもしれないし
竜が振り返ってカレンに向かう事もなかった。
“聴覚が悪いと分析出来ていた事は素晴らしいです”
“それをどう活かすかが問題ですね”
ずっと戦術は敬遠してた。
強ければ倒せると思っていたから。
でもただ強いだけでは何の意味も持たない。
ちゃんと物事には理屈があって法則もある。
無闇矢鱈に剣を振るっても勝てないのだ。
「もっと勉強するよ...」
.....ポワンッ!
俺がそう肩を落とすと
フィオが姿を戻してこう言った。
「レオナルドは活字が苦手かと思うので」
「これからは戦術も実戦形式にしましょうっ!」
(それって嬉しいような、傷付くような.....)
たしかに活字は苦手だけれども
落ちこぼれの生徒みたいな言われようだ。
屋敷に戻って軽くシャワーを浴びてから
カレンを連れていつもの仕事場へ。
苦手だけど休み時間も戦術ノートを開いた。
「こう来たらこうで...ああやって...」
今日の特訓で少し意識が変わったのだろうか?
俺は読み返しながら何度も頭の中で竜と戦っている。
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