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第7章
晴天でも雨は降る。
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♢コテージに泊まって朝
朝食を済ませた後は部屋で少し休憩。
フローリアのライブまで時間があるから
それまでこの辺りを見て回ろうと思う。
結局何もしてないのに申し訳がないけれど
来たからには楽しみたい。
「荷物はホテルの方に運んでおきますね」
「ありがとうミト。行ってきます」
密林地帯には古代ヤシが群生していて
ほかの植物も見かけないものばかり。
それにしても良い天気だ。.....あれ?
「今日から雨が降るんじゃなかったの?」
「うん...間違いないと思うよ」
まあ、観光には晴れてた方がいいのだけれど...
雨なんて降りそうもない感じで
木々の隙間から真っ青な空がのぞく。
「ここは私たち種族や精霊が守ってきた森です」
「だからこのように手付かずの自然がー」
この子はミトの双子の妹でヨツ。
性格は真逆で理性的。少しだけシャイ。
密林はガイドを付けないと危ないからと
一緒について来てくれたのだ。
「もうすぐ有名な大滝が見えてきますよ」
ポツポツ...ポツ.....
ザアァァァァァァァァァァッ......
空は晴れているのに
急に激しいスコールが降り出した。
南国らしい独特の天気だ。
「台風の目っ!」
「これがウェザー様の力なのですね...すごい」
その場で少し待ったけど
カレンの予報通り降り続きそうな感じだから
仕方なく今日泊まる別館のホテルに移動。
全然観光できなかったな...でも
「良かったね。念願の雨が降って」
「ウェザー様が雨雲を連れて来たのだと思います」
「そんなことないよー」
実際本当にそんなことはないらしい。
偶然が重なっただけだとカレンは言っていた。
結果オーライというやつだ。
「お待ちしておりました」
「レオナルド様とカレン様ですね」
ここで案内は交代。
昨日会えなかった長男のイトは
ホテルの総支配人兼コンシェルジュをしている。
獣の血が薄いのかほぼ人間で、結構イケメン。
別館のホテルは近代的な作りで
コテージとはまた違う高級感が漂っている。
人間も何人か雇っているようだ。
「今夜ライブを鑑賞されると伺いました」
「こちらが空いていれば是非ご利用ください」
ライブの件も話が通っていて
ロビーの大型魔術モニターを勧められた。
「実は私もファンなのですよ...」
こっそり教えてくれた。
なんだ仲間がいるじゃないか。
嬉しそうに尻尾をパタパタさせるイト。
........尻尾生えてるっ!?
「ああ、コレが気になりますか?」
「私は尻尾だけ獣が強いのです(フサフサ)」
「わぁー!かわ...(ふぐぅ)」
慌ててカレンの口を塞いだ。
危ないところだったな...
「ふふっ...別に構いませんよ。慣れてますから」
イケメンは内面までイケメンなのか...
素敵な笑顔でサラッとそう答えた。
俺が女だったら確実に惚れている。
それから昼食をとり館内で時間潰し。
トレーニングルームやサウナもあるけれど
暑いから誰も使ってなさそうだし
俺も昨日の稽古で疲れたからダラダラしていたい。
「お待たせいたしました」
「お部屋の準備が整いましたのでご案内します」
すごく高そうな部屋が用意されていた。
最上階で雨が降っていなければ海が見えるし
ふかふかで広いベッドも最高で
多分二度と泊まる機会はないと思う。
「くかぁ...(フニャフニャ...)」
カレンは寝溜めをすると言って横になった。
俺も目覚ましをかけてライブまで仮眠を...
ピッピッ...ピッピッ...ピッピッ...ピッピッ...
(んぅ...うるさいな。カレンまたピッピィを.....)
「ねえレオ、これさっきから鳴ってるよ?」
ゆさゆさと俺の体を揺するカレン。
ピッピィではなくて館内通信の音のようだ。
通話と書かれたボタンを押す。
「レオナルド様!もう十五分前ですよっ!」
(........やばっ!寝過ごしたぁぁぁ)
寝起きのままロビーまで走ると
イトの他にも何人か宿泊客が集まっていた。
魔術モニターは既に誰かの端末に繋がれていて
ライブ視聴シリアルコードも入力済のようだ。
「まだ開演前です。間に合いましたね」
「すみませんでした...」
ホテルの制服から私服に着替えたイトが
俺達の席を用意して待っていてくれた。
限定のI LOVE フローリアTシャツを着ていて
かなり熱狂的なファンのようだ。
「あ、始まりますよっ!フローリアァァァ!!」
爽やか大人イケメンのイメージが.....
いや、女子的にはコレはこれでギャップ萌えなのか?
それはさておきライブが始まった。
ここは遠い南にあるホテルのロビーだけれども
ライブ会場さながらの盛り上がりをみせた。
朝食を済ませた後は部屋で少し休憩。
フローリアのライブまで時間があるから
それまでこの辺りを見て回ろうと思う。
結局何もしてないのに申し訳がないけれど
来たからには楽しみたい。
「荷物はホテルの方に運んでおきますね」
「ありがとうミト。行ってきます」
密林地帯には古代ヤシが群生していて
ほかの植物も見かけないものばかり。
それにしても良い天気だ。.....あれ?
「今日から雨が降るんじゃなかったの?」
「うん...間違いないと思うよ」
まあ、観光には晴れてた方がいいのだけれど...
雨なんて降りそうもない感じで
木々の隙間から真っ青な空がのぞく。
「ここは私たち種族や精霊が守ってきた森です」
「だからこのように手付かずの自然がー」
この子はミトの双子の妹でヨツ。
性格は真逆で理性的。少しだけシャイ。
密林はガイドを付けないと危ないからと
一緒について来てくれたのだ。
「もうすぐ有名な大滝が見えてきますよ」
ポツポツ...ポツ.....
ザアァァァァァァァァァァッ......
空は晴れているのに
急に激しいスコールが降り出した。
南国らしい独特の天気だ。
「台風の目っ!」
「これがウェザー様の力なのですね...すごい」
その場で少し待ったけど
カレンの予報通り降り続きそうな感じだから
仕方なく今日泊まる別館のホテルに移動。
全然観光できなかったな...でも
「良かったね。念願の雨が降って」
「ウェザー様が雨雲を連れて来たのだと思います」
「そんなことないよー」
実際本当にそんなことはないらしい。
偶然が重なっただけだとカレンは言っていた。
結果オーライというやつだ。
「お待ちしておりました」
「レオナルド様とカレン様ですね」
ここで案内は交代。
昨日会えなかった長男のイトは
ホテルの総支配人兼コンシェルジュをしている。
獣の血が薄いのかほぼ人間で、結構イケメン。
別館のホテルは近代的な作りで
コテージとはまた違う高級感が漂っている。
人間も何人か雇っているようだ。
「今夜ライブを鑑賞されると伺いました」
「こちらが空いていれば是非ご利用ください」
ライブの件も話が通っていて
ロビーの大型魔術モニターを勧められた。
「実は私もファンなのですよ...」
こっそり教えてくれた。
なんだ仲間がいるじゃないか。
嬉しそうに尻尾をパタパタさせるイト。
........尻尾生えてるっ!?
「ああ、コレが気になりますか?」
「私は尻尾だけ獣が強いのです(フサフサ)」
「わぁー!かわ...(ふぐぅ)」
慌ててカレンの口を塞いだ。
危ないところだったな...
「ふふっ...別に構いませんよ。慣れてますから」
イケメンは内面までイケメンなのか...
素敵な笑顔でサラッとそう答えた。
俺が女だったら確実に惚れている。
それから昼食をとり館内で時間潰し。
トレーニングルームやサウナもあるけれど
暑いから誰も使ってなさそうだし
俺も昨日の稽古で疲れたからダラダラしていたい。
「お待たせいたしました」
「お部屋の準備が整いましたのでご案内します」
すごく高そうな部屋が用意されていた。
最上階で雨が降っていなければ海が見えるし
ふかふかで広いベッドも最高で
多分二度と泊まる機会はないと思う。
「くかぁ...(フニャフニャ...)」
カレンは寝溜めをすると言って横になった。
俺も目覚ましをかけてライブまで仮眠を...
ピッピッ...ピッピッ...ピッピッ...ピッピッ...
(んぅ...うるさいな。カレンまたピッピィを.....)
「ねえレオ、これさっきから鳴ってるよ?」
ゆさゆさと俺の体を揺するカレン。
ピッピィではなくて館内通信の音のようだ。
通話と書かれたボタンを押す。
「レオナルド様!もう十五分前ですよっ!」
(........やばっ!寝過ごしたぁぁぁ)
寝起きのままロビーまで走ると
イトの他にも何人か宿泊客が集まっていた。
魔術モニターは既に誰かの端末に繋がれていて
ライブ視聴シリアルコードも入力済のようだ。
「まだ開演前です。間に合いましたね」
「すみませんでした...」
ホテルの制服から私服に着替えたイトが
俺達の席を用意して待っていてくれた。
限定のI LOVE フローリアTシャツを着ていて
かなり熱狂的なファンのようだ。
「あ、始まりますよっ!フローリアァァァ!!」
爽やか大人イケメンのイメージが.....
いや、女子的にはコレはこれでギャップ萌えなのか?
それはさておきライブが始まった。
ここは遠い南にあるホテルのロビーだけれども
ライブ会場さながらの盛り上がりをみせた。
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