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第8章
背に腹はかえられない。
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♢叔父の屋敷 客間
季節が変わってしまったかのように
屋敷の中は廊下から部屋まで一定の暖かさ。
ここには間違いなくアレがある。
「もうガチャ回したの?」
「ええ。日が変わってすぐに挑戦していました」
「新しいジンクスなのだそうですよ」
ガチャの内容が変わった直後に引いたらしい。
システム変更時に回すと来る噂は知っていたが
昨日は寒いし疲れていたから無理だった。
(残念...起きて回せばよかったな)
そして奴が当てたのはコレだ。
「結構大きい。屋敷中が温まるわけだ」
「魔力の消費は増えますけれどね」
魔術式の大型暖炉。
これは設置場所から熱を回しているわけではなく
設定した範囲の室温を魔力で上げている。
見た目は普通の暖炉でも火は着かないのだが
薪を入れる所に赤い火魔石が組み込まれていて
炎が燃えているように輝く仕組み。
昔の貴族が作ったものは無駄にデザインが良い。
ダッダッダッダッダッ...バンッ!
「戻ったかレオナルド~!(両手を広げる)」
「・・・・・・・」
もちろん無言でスルー。
なんだか最近見たデジャヴな気がするな。
「さあ、朝食を作りますのでテーブルへどうぞ」
フィオが嬉しそうに笑う。
テーブルには庭の花が飾られていて
白い綺麗なレースが敷かれていた。
「あれからさぁ、朝食に何枚パンケーキ食べさ...」
「フェルナンド!“ご静粛にっ!”」
慌てた様子で何かの魔法を放ったフィオ。
伯父はモゴモゴと声が出ない。
よくわからないけれど
いつも煩いから丁度いい感じ。
「す、すぐに焼いてきますのでっ!」
「私もお手伝いするよ~」
女子達は慌ただしく厨房へと消えて行き
俺はしばし焼き上がるのを待つ。
ガツン!(いてぇ...)
急に後頭部を何かで殴打された。
後ろには頬を膨らめてパタパタと飛ぶ妖精。
「.............(怒っている)」
「挨拶がまだだったねウィンディ。ただいま」
そう俺が言ったら近付いてきて
おデコにおかえりのキスをしてくれた。
このツンデレ妖精はあざとい。
「叩いては駄目ですよウィンディ」
「お待たせしました。紅茶も入れますね」
ティーカップの横に白い花が添えられている。
これは飾りかな...?
「それはシュガーフラワーという食用花です」
「紅茶に入れると美味しいんですよ」
ゴクリ...
フワァっと芳醇な香りと甘みが広がる。
カレンも真似して入れちゃったけど...
「はぁぁ...頭がふわふわするよ~」
「..............(うっとり)」
この花の甘さは大丈夫なようだ。
精霊や妖精が特別に好む香りらしく
大好き過ぎてネットでお取り寄せしているのだとか。
「パンケーキも最高だよ」
「絶対あの店のより美味しいと思う」
「それは褒めすぎです...」
フィオはまた嬉しそうに笑って
シュガーフラワーの紅茶を一口飲んだ。
「たはぁぁぁ!やっと声が出たぞぉー!!」
「黙ったままでも構いませんよ」
「ハッハー!ナイスジョークだなレオナルド!」
騒がしい伯父にはウンザリだけど
今日は聞きたいこともある。
「それで、どんな感じだったの(モグモグ)」
「ガチャの話だろ?相当シブかったぞ...」
回した感想についてだ。
伯父は引きがかなり良い方の人間なのだけど
今回の暖房アイテムガチャには苦戦したようだ。
暖房といっても魔装具から小物まで様々で
必ず魔術家電が当たる訳じゃない。
「結局三百くらいだ。まあしょうがないけれども」
(この廃課金勢めがっ!そりゃ当たるだろうさ...)
俺にはそんな回数は回せないから
少し不安な気持ちになった。
「でも背に腹はかえられないっていうだろ?」
「まあね。全力で回すつもりだよ」
武器や魔装具も欲しいけれど
この寒さを乗り越えるためには致し方ない。
貯めてきた石を全部つぎ込んで絶対に当ててやる...
「食べ終わったら皆でガチャパーティーだな」
「当たるといいですね」「頑張るよ」
頑張ってどうこうなるモノではないけれど
大好きなパンケーキも食べたし
美味しい紅茶も飲んだから
俺は絶対に負ける気がしなかった。
季節が変わってしまったかのように
屋敷の中は廊下から部屋まで一定の暖かさ。
ここには間違いなくアレがある。
「もうガチャ回したの?」
「ええ。日が変わってすぐに挑戦していました」
「新しいジンクスなのだそうですよ」
ガチャの内容が変わった直後に引いたらしい。
システム変更時に回すと来る噂は知っていたが
昨日は寒いし疲れていたから無理だった。
(残念...起きて回せばよかったな)
そして奴が当てたのはコレだ。
「結構大きい。屋敷中が温まるわけだ」
「魔力の消費は増えますけれどね」
魔術式の大型暖炉。
これは設置場所から熱を回しているわけではなく
設定した範囲の室温を魔力で上げている。
見た目は普通の暖炉でも火は着かないのだが
薪を入れる所に赤い火魔石が組み込まれていて
炎が燃えているように輝く仕組み。
昔の貴族が作ったものは無駄にデザインが良い。
ダッダッダッダッダッ...バンッ!
「戻ったかレオナルド~!(両手を広げる)」
「・・・・・・・」
もちろん無言でスルー。
なんだか最近見たデジャヴな気がするな。
「さあ、朝食を作りますのでテーブルへどうぞ」
フィオが嬉しそうに笑う。
テーブルには庭の花が飾られていて
白い綺麗なレースが敷かれていた。
「あれからさぁ、朝食に何枚パンケーキ食べさ...」
「フェルナンド!“ご静粛にっ!”」
慌てた様子で何かの魔法を放ったフィオ。
伯父はモゴモゴと声が出ない。
よくわからないけれど
いつも煩いから丁度いい感じ。
「す、すぐに焼いてきますのでっ!」
「私もお手伝いするよ~」
女子達は慌ただしく厨房へと消えて行き
俺はしばし焼き上がるのを待つ。
ガツン!(いてぇ...)
急に後頭部を何かで殴打された。
後ろには頬を膨らめてパタパタと飛ぶ妖精。
「.............(怒っている)」
「挨拶がまだだったねウィンディ。ただいま」
そう俺が言ったら近付いてきて
おデコにおかえりのキスをしてくれた。
このツンデレ妖精はあざとい。
「叩いては駄目ですよウィンディ」
「お待たせしました。紅茶も入れますね」
ティーカップの横に白い花が添えられている。
これは飾りかな...?
「それはシュガーフラワーという食用花です」
「紅茶に入れると美味しいんですよ」
ゴクリ...
フワァっと芳醇な香りと甘みが広がる。
カレンも真似して入れちゃったけど...
「はぁぁ...頭がふわふわするよ~」
「..............(うっとり)」
この花の甘さは大丈夫なようだ。
精霊や妖精が特別に好む香りらしく
大好き過ぎてネットでお取り寄せしているのだとか。
「パンケーキも最高だよ」
「絶対あの店のより美味しいと思う」
「それは褒めすぎです...」
フィオはまた嬉しそうに笑って
シュガーフラワーの紅茶を一口飲んだ。
「たはぁぁぁ!やっと声が出たぞぉー!!」
「黙ったままでも構いませんよ」
「ハッハー!ナイスジョークだなレオナルド!」
騒がしい伯父にはウンザリだけど
今日は聞きたいこともある。
「それで、どんな感じだったの(モグモグ)」
「ガチャの話だろ?相当シブかったぞ...」
回した感想についてだ。
伯父は引きがかなり良い方の人間なのだけど
今回の暖房アイテムガチャには苦戦したようだ。
暖房といっても魔装具から小物まで様々で
必ず魔術家電が当たる訳じゃない。
「結局三百くらいだ。まあしょうがないけれども」
(この廃課金勢めがっ!そりゃ当たるだろうさ...)
俺にはそんな回数は回せないから
少し不安な気持ちになった。
「でも背に腹はかえられないっていうだろ?」
「まあね。全力で回すつもりだよ」
武器や魔装具も欲しいけれど
この寒さを乗り越えるためには致し方ない。
貯めてきた石を全部つぎ込んで絶対に当ててやる...
「食べ終わったら皆でガチャパーティーだな」
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頑張ってどうこうなるモノではないけれど
大好きなパンケーキも食べたし
美味しい紅茶も飲んだから
俺は絶対に負ける気がしなかった。
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