俺は勇者になりたくて今日もガチャを回し続ける。

横尾楓

文字の大きさ
23 / 92
第2章

西の森ノラ一掃。

しおりを挟む
翌朝。俺が少し遅めに目を覚ました頃には
他の冒険者達はもう身支度を整えていた。

今日から西の森 ノラ一掃 討伐イベントの開始だ。
早いもの勝ちなので皆我先にと森の中へ入って行く。

俺はというと、若干の筋肉痛が残っており
無理せずゆっくり朝食の後に出発する事にした。
それともう一つやりたい事もあるし。

とりあえずお湯を沸かしてシビ珈琲を入れる。
あのシビレ草のタネを煎ったもので
葉のような滋養強壮効果はないが目は覚める。
そして飲みやすい。

「ウェザーって苦いのは平気なの?」
「こども扱いしないっ!」

そう言うと彼女は珈琲をグビグビと飲み干した。
性格が子供っぽく見えるけど
甘いものが嫌いなだけで苦味は大丈夫らしい。
俺は角砂糖を二つ溶かして飲んだ。

朝食も食べ終えて準備を整える。

テントは湯を沸かしている間に
手早く彼女が片付けてくれていた。
あとは身支度が終わったら完璧。

俺は“ポッケ”の中から装備品を取り出す。
“騎士の鎧”も鍛錬の成果で着れるようになった。
少し重たいけど。

ウェザーもこの間の絶妙なコーデに着替えたから
これで準備は万端だ。

「本当にトンガリ靴じゃなくていいの?」
「ブーツがいいの!」

そこはやはり譲らなかった。
女の子は山であってもお洒落が大事なのだ。

深い森を掻き分けながら進む。
だいぶ出遅れたが結構すぐに魔物と出くわした。
俺はフィオの忠告通りウェザーにトドメを撃たせる。

「えいっ!」バゴーンッ!!!
軽い一撃で倒せるのに容赦ない破壊力だ。
かわいそうだが、まあいいか。

すぐに地面から離さないと消えてしまうので
倒したら急いで冷蔵保存する。
幸いにも俺は“ポッケ”を持っているので
丸々一匹持ち運ぶ事が出来た。

「あっちにも美味しそうなのがいたよ!」
「あのおにくは美味しいよ!」

次々と食べられる奴を探し当てる...ちょっと怖いこの子。
まあ晩ご飯には違いないけれど。
この後、肉食の女神は黙々と狩り続けるのであった。

これまでの成果は七匹。
アイテムは“ローチユー”と魔石が数個。
ウェザーは経験値が上がって何か覚えたようだけど
まだ見せられないからと教えてくれなかった。

日も暮れたので討伐一日目は終了。
俺は延々と、ただひたすらに肉だけを焼き続けている。
美味しそうに頬張る彼女を横目に見ては
最適な火力を保つべく一人戦っているのだ。

「やっぱり魔法で焼くと美味しいね~」
そう言ってくれると嬉しい。
苦手な魔法を使う価値があるってものだ。

他でも冒険者達がひと段落ついたのであろうか。
辺りはいい匂いが立ち込めている。
今日出遅れてしまった分を取り戻すために
俺達はその人達より少し早めに眠る事にした。

......横になって眠りにつく前。
ふと今朝やろうと思っていた事を思い出した。
それは前にガチャのジンクスだと噂に聞いた

“イベント会場で回すと出る”
(急いでいて結局忘れちゃったな...)

ー明日の朝はガチャを回すー
枕元にそうメモ書きを残し、テントの灯りを消した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。 ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

処理中です...