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序章 プロローグ
プロローグ 後編
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色彩の少ない写真が飾られている。
目の前には質素なご飯が並んでいた。
大人数で食べているのにそれぞれ口数が少なく、黙々と食べている。
その中、俺はそのご飯が喉を通らず、手をあまりつけていなかった。
テイクアウトできるらしいが、持ち帰りたいとも思えない。
その写真を見る度に視界が滲む。
なんで、なんで……。
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで。
なんで!
アイツが死なないといけなかったんだ……!
俺が代わりに死んであげられれば……!
気持ちを伝えたかった。
もっと一緒にいたかった。
旅行に行きたかった。
そんなことばかり脳裏に過っていた。
☆
一時解散となった。
っというか、俺があまり休めていない、ということで強制的に家に返されてしまった。
代わりにおばさんが付き添ってくれるらしい。
ぶっちゃけ家に帰ったとしても、眠ることは出来ないし、ゲームをやる気にもなれない。
ただ虚無の時間が続くだけだった。
さすがに隈を作ってアイツの元に戻りたくなかった俺は、親がたまに服用していた睡眠導入剤に手を出した。
薬を飲み、布団の元に戻る。
三十分程経った頃には、意識が遠のいていた。
あぁ、このままアイツの元に行ければいいのに。
このまま死ぬ事は出来ないだろうか。
そんなことを思いながら、俺は夢の中へ旅に出た。
☆
「……ん、んん、」
目を開けると、そこには知らない天井が拡がっていた。
「おはようございます、『村雨 八雲』様」
俺が寝ているベッドの隣に立っていた初老の男性がお辞儀をしながら挨拶してくる。
俺はそれに返すように会釈した。
「皆様がお待ちになっております。どうぞこちらへ」
俺は招かれるがまま進んだ。
一体ここはどこなんだ。
俺はついさっきまで自室にいたはず。
「あの……」
「……」
「……あの!」
「……」
返事はなかった。
なんなんだよ……!
「着きました。どうぞ、お入りください。」
無機質な扉の先には無機質な部屋が拡がっていた。
部屋の中には、見ただけでも三十人近く佇んでいた。
キョロキョロそれぞれが周りを見渡し様子を伺っている。
見たところそれぞれ容姿も性別も年齢もバラバラだった。
なんのために集められたんだ……?
「レディース・アンド・ジェントルメン! 皆さん、静粛にお願いします!」
奥のステージになっているところに立つ男がマイクに向かって声を上げた。
先程の初老男性だった。
その声を聞いた俺たちは、一斉に声のした方向に目を向けた。
しかし、見るからにヤンキーの見た目のイカつい男がガニ股で初老の男性に近づく。
「おいどうなってんだよ!」
「誰がステージに上がってもいいと言ったのですか?」
「っせんだよ! とっとと家に返せよ!」
「……元の位置に戻りなさい」
「大体よ、オレたちをここまで連れて来てる時点で犯罪なんだよ!」
「……もう一度言います。元の位置に戻りなさい」
「誘拐だぜ、誘拐! 拉致監禁、オレたちをなんだと思っ―――!」
バンっ!
大きい発砲音が鳴り響く。
ヤンキーの額に丸い穴が空いた。
辺り一体が騒然と静まり返った。
「私は採算忠告しましたよ。私の話を聞かなかったあなたが悪い、そうですよね?」
俺たちの方へクエスチョンを投げかけてくる。
空気が変わった。
恐怖が部屋中を支配し、反抗しようとする行動力が一気に削がれてしまった。
「これから皆さんにはゲームをやって頂きます!」
何を言っているのか分からない。
先程ので目は覚めたはずなのに、頭が働かない。
思考が逃げるように促しているが、体が言うことを聞いてくれない。
「さぁ、みんな。もっといっぱい遊びましょ?」
無邪気な子供のように、彼氏と遊ぶ彼女のように、孫と遊ぶ年寄りのように満面の笑みでその男性は、大きい声で俺たちに投げかけた。
目の前には質素なご飯が並んでいた。
大人数で食べているのにそれぞれ口数が少なく、黙々と食べている。
その中、俺はそのご飯が喉を通らず、手をあまりつけていなかった。
テイクアウトできるらしいが、持ち帰りたいとも思えない。
その写真を見る度に視界が滲む。
なんで、なんで……。
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで。
なんで!
アイツが死なないといけなかったんだ……!
俺が代わりに死んであげられれば……!
気持ちを伝えたかった。
もっと一緒にいたかった。
旅行に行きたかった。
そんなことばかり脳裏に過っていた。
☆
一時解散となった。
っというか、俺があまり休めていない、ということで強制的に家に返されてしまった。
代わりにおばさんが付き添ってくれるらしい。
ぶっちゃけ家に帰ったとしても、眠ることは出来ないし、ゲームをやる気にもなれない。
ただ虚無の時間が続くだけだった。
さすがに隈を作ってアイツの元に戻りたくなかった俺は、親がたまに服用していた睡眠導入剤に手を出した。
薬を飲み、布団の元に戻る。
三十分程経った頃には、意識が遠のいていた。
あぁ、このままアイツの元に行ければいいのに。
このまま死ぬ事は出来ないだろうか。
そんなことを思いながら、俺は夢の中へ旅に出た。
☆
「……ん、んん、」
目を開けると、そこには知らない天井が拡がっていた。
「おはようございます、『村雨 八雲』様」
俺が寝ているベッドの隣に立っていた初老の男性がお辞儀をしながら挨拶してくる。
俺はそれに返すように会釈した。
「皆様がお待ちになっております。どうぞこちらへ」
俺は招かれるがまま進んだ。
一体ここはどこなんだ。
俺はついさっきまで自室にいたはず。
「あの……」
「……」
「……あの!」
「……」
返事はなかった。
なんなんだよ……!
「着きました。どうぞ、お入りください。」
無機質な扉の先には無機質な部屋が拡がっていた。
部屋の中には、見ただけでも三十人近く佇んでいた。
キョロキョロそれぞれが周りを見渡し様子を伺っている。
見たところそれぞれ容姿も性別も年齢もバラバラだった。
なんのために集められたんだ……?
「レディース・アンド・ジェントルメン! 皆さん、静粛にお願いします!」
奥のステージになっているところに立つ男がマイクに向かって声を上げた。
先程の初老男性だった。
その声を聞いた俺たちは、一斉に声のした方向に目を向けた。
しかし、見るからにヤンキーの見た目のイカつい男がガニ股で初老の男性に近づく。
「おいどうなってんだよ!」
「誰がステージに上がってもいいと言ったのですか?」
「っせんだよ! とっとと家に返せよ!」
「……元の位置に戻りなさい」
「大体よ、オレたちをここまで連れて来てる時点で犯罪なんだよ!」
「……もう一度言います。元の位置に戻りなさい」
「誘拐だぜ、誘拐! 拉致監禁、オレたちをなんだと思っ―――!」
バンっ!
大きい発砲音が鳴り響く。
ヤンキーの額に丸い穴が空いた。
辺り一体が騒然と静まり返った。
「私は採算忠告しましたよ。私の話を聞かなかったあなたが悪い、そうですよね?」
俺たちの方へクエスチョンを投げかけてくる。
空気が変わった。
恐怖が部屋中を支配し、反抗しようとする行動力が一気に削がれてしまった。
「これから皆さんにはゲームをやって頂きます!」
何を言っているのか分からない。
先程ので目は覚めたはずなのに、頭が働かない。
思考が逃げるように促しているが、体が言うことを聞いてくれない。
「さぁ、みんな。もっといっぱい遊びましょ?」
無邪気な子供のように、彼氏と遊ぶ彼女のように、孫と遊ぶ年寄りのように満面の笑みでその男性は、大きい声で俺たちに投げかけた。
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