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第11話:ギンと依頼
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俺とギンは、昼過ぎにギルドに顔を出して依頼を探していた。
……が、なんだか周囲の視線が刺さるように痛い。
「なんか、目立ってない……?」
その原因は、俺の頭の上で大あくびしてる、もふもふの元凶――ギンだ。
〈ふぁぁ~。なぁ、まだ決まんないのかー?飽きたー〉
「今来たばっかだよ!」
掲示板を眺めていると、ガタイのいい冒険者がこっちにやってきた。
「おい、新人。……そいつ、従魔か?」
「え?あ、はい。ギンっていいます。可愛いでしょ?」
「うおお……さ、触ってもいいのか!?」
「ど、どうぞ!」
男はギンを両手でむぎゅぅと撫で、頬をとろけさせた。
「……ッッ、なにこの触り心地……天国……」
その瞬間からだった。ギルド中の冒険者が集まりはじめ、いつの間にかギンの“もふもふ会”が始まっていた。
ギルド職員が止めに来るかと思いきや、しれっと最後尾に並んでいる。
「……仕事しろよ、皆……」
ようやく静かになった頃、掲示板に張られた新しい依頼に目が止まった。
【ポイズンスパイダー討伐】
・Dランク
・猛毒の液を放つ危険な魔獣
「これにしよう。ギン、毒に気をつけてな?」
〈うん!やっつけてやるー!〉
* * *
ポイズンスパイダーが出没したという森に入り、すぐに“それ”は現れた。
「……でかっ……!」
体長は俺の身長を優に超える。黒紫の甲殻がギラつき、足音は地面を打つように重い。
俺は剣を構え、距離を詰める。
「うわっ!」
ブシャァッ――と、紫色の液体が一直線に飛んできた。咄嗟に避けると、毒液は地面をジューッと焼いて穴を空けた。
「……あぶねっ。ギンに気をつけろって言ったの、俺だったのにな……!」
横合いからギンが飛びかかる。風のような速さで、敵の背に乗ると一閃。
スパイダーは短い悲鳴を上げて崩れ落ちた。
「ギン、ナイス!」
〈へへっ、役に立ったかー?〉
「大活躍だったよ!マジで助かった!」
* * *
ギルドに戻って報告を終えると、報酬をもらってそのまま飯屋に直行した。
「今日は本当に助けられたな。ギン、いっぱい食べていいからな!」
〈わーい!お肉!お肉いっぱい食べるー!野菜はいらなーい!〉
「ダメ。野菜もちゃんと食べなさい。好き嫌いしてると大きくなれないぞ」
〈うぅ……母ちゃんみたいなこと言うなよー!ハルトだって野菜残してたじゃん!〉
「俺はもうこれ以上大きくならないからいいの!」
〈ズルいぞそれ!〉
「も~、仕方ないなぁ。今日だけ特別だぞ!」
〈やったー!〉
結局、ギンは肉だけぺろりと平らげて満足そうにしていた。
宿に戻る道すがら、俺はギンを頭に乗せながらぽつりと呟いた。
「俺、アマアマだなぁ……」
〈それがハルトのいいとこー〉
もふもふの感触に癒されながら、少し頬がゆるんだ。
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……が、なんだか周囲の視線が刺さるように痛い。
「なんか、目立ってない……?」
その原因は、俺の頭の上で大あくびしてる、もふもふの元凶――ギンだ。
〈ふぁぁ~。なぁ、まだ決まんないのかー?飽きたー〉
「今来たばっかだよ!」
掲示板を眺めていると、ガタイのいい冒険者がこっちにやってきた。
「おい、新人。……そいつ、従魔か?」
「え?あ、はい。ギンっていいます。可愛いでしょ?」
「うおお……さ、触ってもいいのか!?」
「ど、どうぞ!」
男はギンを両手でむぎゅぅと撫で、頬をとろけさせた。
「……ッッ、なにこの触り心地……天国……」
その瞬間からだった。ギルド中の冒険者が集まりはじめ、いつの間にかギンの“もふもふ会”が始まっていた。
ギルド職員が止めに来るかと思いきや、しれっと最後尾に並んでいる。
「……仕事しろよ、皆……」
ようやく静かになった頃、掲示板に張られた新しい依頼に目が止まった。
【ポイズンスパイダー討伐】
・Dランク
・猛毒の液を放つ危険な魔獣
「これにしよう。ギン、毒に気をつけてな?」
〈うん!やっつけてやるー!〉
* * *
ポイズンスパイダーが出没したという森に入り、すぐに“それ”は現れた。
「……でかっ……!」
体長は俺の身長を優に超える。黒紫の甲殻がギラつき、足音は地面を打つように重い。
俺は剣を構え、距離を詰める。
「うわっ!」
ブシャァッ――と、紫色の液体が一直線に飛んできた。咄嗟に避けると、毒液は地面をジューッと焼いて穴を空けた。
「……あぶねっ。ギンに気をつけろって言ったの、俺だったのにな……!」
横合いからギンが飛びかかる。風のような速さで、敵の背に乗ると一閃。
スパイダーは短い悲鳴を上げて崩れ落ちた。
「ギン、ナイス!」
〈へへっ、役に立ったかー?〉
「大活躍だったよ!マジで助かった!」
* * *
ギルドに戻って報告を終えると、報酬をもらってそのまま飯屋に直行した。
「今日は本当に助けられたな。ギン、いっぱい食べていいからな!」
〈わーい!お肉!お肉いっぱい食べるー!野菜はいらなーい!〉
「ダメ。野菜もちゃんと食べなさい。好き嫌いしてると大きくなれないぞ」
〈うぅ……母ちゃんみたいなこと言うなよー!ハルトだって野菜残してたじゃん!〉
「俺はもうこれ以上大きくならないからいいの!」
〈ズルいぞそれ!〉
「も~、仕方ないなぁ。今日だけ特別だぞ!」
〈やったー!〉
結局、ギンは肉だけぺろりと平らげて満足そうにしていた。
宿に戻る道すがら、俺はギンを頭に乗せながらぽつりと呟いた。
「俺、アマアマだなぁ……」
〈それがハルトのいいとこー〉
もふもふの感触に癒されながら、少し頬がゆるんだ。
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