『スキル〈お片付け〉で世界最強!? 掃除するだけで経験値25倍生活』

チャチャ

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第13話 王城前大通り、旗を揺らす風

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王城前の大通りは、まるで空気が溜め息をついているみたいだった。
人は多いのに、旗は垂れ下がり、熱気と煤(すす)が滞っている。

「現状確認。敵は三つ。人の渋滞、煤煙の層、旗の無風」
「理論上は祭り前の賑わい」ノラが呟く。
「現実上は祭り前の窒息。——段取り出すよ」

「俺は群衆整理。通路、左回り一方通行! ……へっ、我慢」
「ナイス克己。王都は礼儀が正義、声も丁寧に」

一手目、動線の分離。
仕分けタグを三色貼る。赤は城下への往来、青は露店へ、黄は“止まって見る”人用。
「止まる人は黄。動線を分けて“混線”を掃く」
ざわつきが一段落ち、流れができる。

二手目、煤煙の拭き取り。
汚滅桶に酢水と香草を落とし、微温湯で霧に。風路扇で上抜き。
灰色の層が持ち上がり、梁に沿って逃げていく。
【清浄度:19→52/会心 +1%/被弾 -4%】

三手目、旗に風を。
「旗は風で映える。通すよ、“横抜き”」
扇を水平に仰ぎ、王城門の上窓と大通り入口を一本で結ぶ。
細い風路ができ、人の頭上をすっと抜けた瞬間、旗がぱん、と広がった。
歓声が上がる。

「……空気が変わった!」
「床は中立。裏切ったのは塞板。犯人は——利権」

そのとき、群衆の中から鋭い声。
「この者、風を勝手に通した!」
見上げれば、公社の紋章を胸に付けたギルバート卿。
「王城前の風は、管理下にある。勝手は許されぬ」

私は光磨布を胸に掲げる。
「勝手じゃなく“即応作業”。許可、マダム・コルネからいただいてます。記録封緘、こちら」
封緘印の写しを見せると、人々がざわめき、卿の顔が強張る。

【清浄度:52→100】
【清浄波:小スタン1.5秒/群衆の滞留率 -40%(短時間)】

大通りは一枚軽くなり、人々の笑い声が風に混じる。
旗は翻り、王城門も映えた。

――――
【作業結果】
清浄度:19→100/所要 6分
動線:往来・露店・観覧の三分離
風:横抜き一本(入口→王城門)
効果:滞留率 -40%/祭前雰囲気 +30%(体感)
――――

視界にお知らせ。

――――
【ステータス】
名前:ミナ・ハルノ/職業:清掃士/レベル:13
体力:136/136 魔力:106/106 運:24(↑)
固有スキル〈お片付け〉Lv4
新規:〈群衆整理〉(人数百単位の動線をタグと色で最適化/渋滞率 -30%)
既存:光磨布/〈書類整頓〉〈記録封緘〉〈除塩拭き〉〈消臭調合〉〈結束術〉〈背ラベル生成〉〈仕分けタグ〉〈除菌配分〉〈動線マップ〉
相棒:洗剤スライム・ポンポン(満腹度 65%/旗を見て「ぱん!」と跳ねた)
――――

「……卿の顔色、煤より黒い」ノラがささやく。
「理論上は、次に直接ぶつかる」
「現実上も。——旗は揺れた。風は味方」

人々の視線がこちらに集まる。
“清掃士”の名が、王都で一歩、風に乗った。

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