13 / 79
第13話 王城前大通り、旗を揺らす風
しおりを挟む
王城前の大通りは、まるで空気が溜め息をついているみたいだった。
人は多いのに、旗は垂れ下がり、熱気と煤(すす)が滞っている。
「現状確認。敵は三つ。人の渋滞、煤煙の層、旗の無風」
「理論上は祭り前の賑わい」ノラが呟く。
「現実上は祭り前の窒息。——段取り出すよ」
「俺は群衆整理。通路、左回り一方通行! ……へっ、我慢」
「ナイス克己。王都は礼儀が正義、声も丁寧に」
一手目、動線の分離。
仕分けタグを三色貼る。赤は城下への往来、青は露店へ、黄は“止まって見る”人用。
「止まる人は黄。動線を分けて“混線”を掃く」
ざわつきが一段落ち、流れができる。
二手目、煤煙の拭き取り。
汚滅桶に酢水と香草を落とし、微温湯で霧に。風路扇で上抜き。
灰色の層が持ち上がり、梁に沿って逃げていく。
【清浄度:19→52/会心 +1%/被弾 -4%】
三手目、旗に風を。
「旗は風で映える。通すよ、“横抜き”」
扇を水平に仰ぎ、王城門の上窓と大通り入口を一本で結ぶ。
細い風路ができ、人の頭上をすっと抜けた瞬間、旗がぱん、と広がった。
歓声が上がる。
「……空気が変わった!」
「床は中立。裏切ったのは塞板。犯人は——利権」
そのとき、群衆の中から鋭い声。
「この者、風を勝手に通した!」
見上げれば、公社の紋章を胸に付けたギルバート卿。
「王城前の風は、管理下にある。勝手は許されぬ」
私は光磨布を胸に掲げる。
「勝手じゃなく“即応作業”。許可、マダム・コルネからいただいてます。記録封緘、こちら」
封緘印の写しを見せると、人々がざわめき、卿の顔が強張る。
【清浄度:52→100】
【清浄波:小スタン1.5秒/群衆の滞留率 -40%(短時間)】
大通りは一枚軽くなり、人々の笑い声が風に混じる。
旗は翻り、王城門も映えた。
――――
【作業結果】
清浄度:19→100/所要 6分
動線:往来・露店・観覧の三分離
風:横抜き一本(入口→王城門)
効果:滞留率 -40%/祭前雰囲気 +30%(体感)
――――
視界にお知らせ。
――――
【ステータス】
名前:ミナ・ハルノ/職業:清掃士/レベル:13
体力:136/136 魔力:106/106 運:24(↑)
固有スキル〈お片付け〉Lv4
新規:〈群衆整理〉(人数百単位の動線をタグと色で最適化/渋滞率 -30%)
既存:光磨布/〈書類整頓〉〈記録封緘〉〈除塩拭き〉〈消臭調合〉〈結束術〉〈背ラベル生成〉〈仕分けタグ〉〈除菌配分〉〈動線マップ〉
相棒:洗剤スライム・ポンポン(満腹度 65%/旗を見て「ぱん!」と跳ねた)
――――
「……卿の顔色、煤より黒い」ノラがささやく。
「理論上は、次に直接ぶつかる」
「現実上も。——旗は揺れた。風は味方」
人々の視線がこちらに集まる。
“清掃士”の名が、王都で一歩、風に乗った。
-------
📖ここまで読んでくださってありがとうございます!
もし少しでも「面白い」と思ってもらえたら、
お気に入り登録・応援ポチっとしてもらえると励みになります✨
人は多いのに、旗は垂れ下がり、熱気と煤(すす)が滞っている。
「現状確認。敵は三つ。人の渋滞、煤煙の層、旗の無風」
「理論上は祭り前の賑わい」ノラが呟く。
「現実上は祭り前の窒息。——段取り出すよ」
「俺は群衆整理。通路、左回り一方通行! ……へっ、我慢」
「ナイス克己。王都は礼儀が正義、声も丁寧に」
一手目、動線の分離。
仕分けタグを三色貼る。赤は城下への往来、青は露店へ、黄は“止まって見る”人用。
「止まる人は黄。動線を分けて“混線”を掃く」
ざわつきが一段落ち、流れができる。
二手目、煤煙の拭き取り。
汚滅桶に酢水と香草を落とし、微温湯で霧に。風路扇で上抜き。
灰色の層が持ち上がり、梁に沿って逃げていく。
【清浄度:19→52/会心 +1%/被弾 -4%】
三手目、旗に風を。
「旗は風で映える。通すよ、“横抜き”」
扇を水平に仰ぎ、王城門の上窓と大通り入口を一本で結ぶ。
細い風路ができ、人の頭上をすっと抜けた瞬間、旗がぱん、と広がった。
歓声が上がる。
「……空気が変わった!」
「床は中立。裏切ったのは塞板。犯人は——利権」
そのとき、群衆の中から鋭い声。
「この者、風を勝手に通した!」
見上げれば、公社の紋章を胸に付けたギルバート卿。
「王城前の風は、管理下にある。勝手は許されぬ」
私は光磨布を胸に掲げる。
「勝手じゃなく“即応作業”。許可、マダム・コルネからいただいてます。記録封緘、こちら」
封緘印の写しを見せると、人々がざわめき、卿の顔が強張る。
【清浄度:52→100】
【清浄波:小スタン1.5秒/群衆の滞留率 -40%(短時間)】
大通りは一枚軽くなり、人々の笑い声が風に混じる。
旗は翻り、王城門も映えた。
――――
【作業結果】
清浄度:19→100/所要 6分
動線:往来・露店・観覧の三分離
風:横抜き一本(入口→王城門)
効果:滞留率 -40%/祭前雰囲気 +30%(体感)
――――
視界にお知らせ。
――――
【ステータス】
名前:ミナ・ハルノ/職業:清掃士/レベル:13
体力:136/136 魔力:106/106 運:24(↑)
固有スキル〈お片付け〉Lv4
新規:〈群衆整理〉(人数百単位の動線をタグと色で最適化/渋滞率 -30%)
既存:光磨布/〈書類整頓〉〈記録封緘〉〈除塩拭き〉〈消臭調合〉〈結束術〉〈背ラベル生成〉〈仕分けタグ〉〈除菌配分〉〈動線マップ〉
相棒:洗剤スライム・ポンポン(満腹度 65%/旗を見て「ぱん!」と跳ねた)
――――
「……卿の顔色、煤より黒い」ノラがささやく。
「理論上は、次に直接ぶつかる」
「現実上も。——旗は揺れた。風は味方」
人々の視線がこちらに集まる。
“清掃士”の名が、王都で一歩、風に乗った。
-------
📖ここまで読んでくださってありがとうございます!
もし少しでも「面白い」と思ってもらえたら、
お気に入り登録・応援ポチっとしてもらえると励みになります✨
10
あなたにおすすめの小説
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~
ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆
ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。
我が家と異世界がつながり、獣耳幼女たちのお世話をすることになった件【書籍化決定!】
木ノ花
ファンタジー
【第13回ネット小説大賞、小説部門・入賞!】
マッグガーデン様より、書籍化決定です!
異世界との貿易で資金を稼ぎつつ、孤児の獣耳幼女たちをお世話して幸せに! 非日常ほのぼのライフの開幕!
パワハラに耐えかねて会社を辞め、独り身の気楽な無職生活を満喫していた伊海朔太郎。
だが、凪のような日常は驚きとともに終わりを告げた。
ある日、買い物から帰宅すると――頭に猫耳を生やした幼女が、リビングにぽつんと佇んでいた。
その後、猫耳幼女の小さな手に引かれるまま、朔太郎は自宅に現れた謎の地下通路へと足を踏み入れる。そして通路を抜けた先に待ち受けていたのは、古い時代の西洋を彷彿させる『異世界』の光景だった。
さらに、たどり着いた場所にも獣耳を生やした別の二人の幼女がいて、誰かの助けを必要としていた。朔太郎は迷わず、大人としての責任を果たすと決意する――それをキッカケに、日本と異世界を行き来する不思議な生活がスタートする。
最初に出会った三人の獣耳幼女たちとのお世話生活を中心に、異世界貿易を足掛かりに富を築く。様々な出会いと経験を重ねた朔太郎たちは、いつしか両世界で一目置かれる存在へと成り上がっていくのだった。
※まったり進行です。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる