『ひまりのスローライフ便り 〜異世界でもふもふに囲まれて〜』

チャチャ

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第24話「はじまりの兆し、君と見る夕暮れ」

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畑に咲いたラベンダーの花が、風に揺れてささやいている。ひまりはその香りに包まれながら、今日も朝から畑仕事に精を出していた。

「ラベンダー、そろそろ乾燥させないとね。お茶にするといい香りなんだよ」

誰に話しかけるでもなく、土の中に手を伸ばしながらひまりは微笑む。その横で、まるまるちゃんがころりと転がって日向ぼっこをしていた。ふわふわの毛並みが朝日を受けて、まるで綿菓子のようにきらきらしている。

そんなのんびりとした時間の中、遠くの道から軽い足音が近づいてきた。

「おはよう、ひまりさん」

「ユウトくん!」

少し汗をにじませながら、村の青年・ユウトくんが手を振って近づいてくる。ひまりは慌てて手をふき、笑顔を返した。

「今日はどうしたの?畑に何か用?」 「ううん、手伝おうと思って。昨日のカボチャ、運ぶの大変そうだったでしょ?」

そう言ってユウトくんは笑う。ひまりは少しだけ顔を赤くして、そっと視線を逸らした。

「ありがと……すごく助かるよ」

ふたりは並んで畑の作業を始めた。会話は少しずつ途切れながらも、どこか心地よい沈黙が流れる。ユウトくんはとても手際がよくて、力もある。重たい収穫物もあっという間に運んでくれた。

「ほんと、助かるなぁ……」 「ひまりさんがひとりで頑張りすぎるから。もっと頼ってよ」

ユウトくんの言葉に、ひまりの胸が少しだけきゅんとする。彼の優しさが、まっすぐ心に届いた。

「ねえ、ユウトくん……」

「ん?」

「私、この村に来てから、すごく幸せなの。畑があって、動物がいて、こうして手伝ってくれる人がいて……。なんだか、やっと自分の居場所ができたみたい」

ユウトくんは照れたように笑って、土のついた手で頭をかいた。

「俺も、ひまりさんが来てから村が明るくなったと思うよ。まるまるちゃんも、みんなも、きっとそう感じてる」

ふたりの間に、静かに風が吹き抜けた。ラベンダーの香りがふわりと舞って、空は茜色に染まり始めていた。

「……ねえ、今日の夕ごはん、いっしょにどう?」

思い切ってそう誘うと、ユウトくんはちょっと驚いたように目を見開いて——すぐにうれしそうに頷いた。

「うん、行く。楽しみにしてる」

その夕暮れ。ひまりの家の小さな食卓には、焼きたての野菜のキッシュと、ラベンダーの香るハーブティーが並んだ。ひまりとユウトくん、そしてまるまるちゃんが囲むその時間は、何よりも温かくて、穏やかだった。

恋というにはまだ早いかもしれない。 でも、心の距離が確かに一歩、近づいた——そんな一日だった。

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