少女は自重を知らない~私、普通ですよね?

チャチャ

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39 グラトンは強かった

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「グラトンって、よくない?ちょっと強そうだし!」

 私は、ぷにぷにボディでクローバーの頭の上に座っているスライム――じゃなくて、幻の神獣スニー種族・グラトンを見ながら、満足そうに頷いた。

「癒やし担当はクローバーがいるし、モフ丸は守護獣枠。じゃあ、グラトンは……戦闘担当?」

〈主ぅ~?それはさすがに無理があるような……ぷにぷにですよ?〉

「いや、でも考えてみて。あの子、**ユニークスキル【ゴッドハンド】**持ってるのよ。何が出来るのか試してみたくない?」

「ぷにゅっ?」

 名前を呼ばれて、グラトンがゆるっと跳ねる。無垢な目でこっちを見てくるけど、うーん、やっぱり強さは感じないなぁ……。

「とりあえず、魔物が出てきたら、少し戦ってみてもらおうかしら。レベル1だし、何もできないかもしれないけど」

〈主、それって実験台にするって意味では……〉

「違うわよ、実地訓練よ、訓練!!」

 そんな話をしていたその時――

《ギャアアアアアアッ!!》

 前方の木々がガサガサッと揺れた。

「! 来たわね!」

 姿を現したのは、大型の猪の魔物【ブラッドボア】だった。全身を赤い毛に覆われ、牙をむき出しにして突進してくる。

「みんな、下がって!ここは試してみたいの!」

 私はグラトンを前に出した。

「グラトン!あの魔物と戦ってみて!!何でもいいから、やってごらん!」

 グラトンは、しばしぽかんと魔物を見つめたあと、ゆっくりと前に跳ね出た。

「ぷにゅ~……ゴッドハンド、発動ですぅ~」

 ――次の瞬間。

《ドンッッッ!!》

 信じられないことが起きた。

 グラトンの身体から突然、巨大な“金色の手”が現れ、そのまま真っ直ぐに【ブラッドボア】をぶん殴ったのだ。

 そして――

《ギャオ……!?》

 【ブラッドボア】は、ものすごい勢いで吹き飛ばされ、木を何本もなぎ倒しながら消えていった。

「……え?」

〈……えぇえぇええ!?〉

〈な、なに今の!?魔法じゃない……物理だよね?〉

「ちょ、ちょっと待って!あれって……“ゴッドハンド”?なにそれ、もはや神の拳じゃないの!!」

「ぷにゅ?褒められたですぅ?」

 グラトンは、何もなかったかのように、またクローバーの頭の上に戻ってきて、ぷにぷにと揺れていた。

「信じられない……レベル1であの威力?しかも、あれがユニークスキルなの?チートじゃん……」

〈主、あの子……たぶん本当に神獣なんですよ……?〉

「いや、もう疑わないわよ……確定演出だったでしょ今の!」

 私たちは、呆然とその場に立ち尽くしたまま、風に揺れる草と、のんびりしているグラトンの対比にしばらく何も言えなかった。

「……ということで、決まりね!」

「な、なにが決まりなんだ?」

「グラトンは、うちの最終兵器に決定よ!!」

 この日、食いしん坊でぷにぷにな神獣が、最も頼りになる(かもしれない)仲間として正式に認識されたのであった――。


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