『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ

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7章 空鈴の夜置きと、復翼の走法

第70話 鈴柱帯、昼の鳴りとこちらの沈黙

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 灰葉のしきみを抜けた先で、景色が変わった。
 砂背は低い。風は浅い。だが、静かではない。

 等間隔に立つ柱。
 一本一本が、骨のような白でも、木でも、石でもない。淡い鈍色で、内側からわずかに震えている。
 柱の上部には輪。輪には鈴。鈴には舌。舌には細い膜。
 それは風も揺らしていないのに、かすかに、揺れていた。

 この帯は、こっちが触らなくても鳴る。
 いや、正確には――こっちを通したいときに、“先に”鳴らしてくる。

 昼の帯。
 鈴柱帯。

《行程ログ:“灰葉のしきみ”離脱→“鈴柱帯” 進入》
《搬送:復翼(二核)=同期 高/返鈴綾=張力 微増(昼準備)/状態=薄通し(待機)》
《環境:鈴柱(外鳴り)/鳴環(呼異)/足元=砂背安定/巡見=昼班》
《目的:通過。こちらからは鳴らさない/昼側の“呼び出し”に応じる時だけ、返し筋を白で渡す》

「まず確認」とセリューナが囁く。
「この帯は“街道扱い”。任意通行だけど、通る者は通過記録を残すのが本来の決まり。でもその記録ってのが、基本“音”」

「音で押されるの?」
 俺が小声で聞く。

「うん。こっちの意志より先に、“あなた通ってますよね”って証拠を鳴らされる。こっちが了承したことになる」

 ロゥナが小さく笑う。
「だからこそ、あんたが鳴らすのはぜんぶ負け。向こうが鳴らそうとする。その鳴りを“撫でてやる”ことで、こっちの都合の道に書き換える」

《帯ルール(セリューナ口述):
 ・鈴柱は向こうから鳴らす=通行登録を押し付ける
 ・こちらは触らない=能動の鳴りは拒否
 ・応じる必要がある場合のみ、“返す”=白返しで筋だけ渡す
 ・それで道は開く。ただし記録は“白い呼吸”になる》

 なるほど、こっちの署名を押される前に、こちらの署名で上書きするってことだな。

          ◇

 一本目の鈴柱に近づくと、柱の輪がゆっくり震え、舌の膜が空気をすべった。
 高い音じゃない。
 息を細く引っかけた時の、口の内側みたいな――湿った高音が、こちらの胸骨にだけ触れる。

《鈴柱①:鳴環 起動/音圧=局所(胸部)/内容:通行者識別→路筋強制登録》

 来る。
 音で、「お前は通った」と柱が決めようとしてくる。

「レク、今。受けで返す」
 セリューナの声は低い。

「手順、“昼帯通過・初回”」
 彼女は淡々と並べる。
 「一、こちらは鳴らない。
  二、返鈴綾を半拍遅らせ、白で一筋返す。
  三、最後に背。
  四、柱本体には触れない」

「了解」

 俺は胸の拍を一拍だけ白く緩め、返鈴綾を半拍遅らせた。
 その遅れが、俺の側の“はい”ではなく、“そこまでだ”になる。
 白返しを一筋だけ層へ薄通す――“通ってるけど自由ルートだよ”という主張。
 最後に、柱そのものじゃなく、足元の砂背を背で一撫でして締める。

 鈴柱は一度だけ震えを上げ、音を飲み込んだ。
 鳴りかけた鈴気が、声になる前に折れた。

《応対:白返し筋 受理→強制登録 拒否/通過権=発行/鳴記録=残留なし》
《記録形式:旅(撫・白)で保持》

 俺は喉の奥で小さく吐く。
 鳴らさずに、押し付けられるはずのサインを白で上書きした。
 柱は納得したらしい。道は開いた。

「よし。次からはそのままいける」とセリューナ。
「“昼帯の鳴り”に、こっちが鳴り返さないっていうのは、普通なら無礼なんだけど――」
「今はこっちが客だからね」とロゥナ。「文句言わせない」

          ◇

 二本目の鈴柱に近づく。
 今度は柱の輪が震えるより先に、地面の砂背がとくんと脈を打った。
 砂自身が、足元から俺に向けて「ここに足を置いた」という印象を押し付けてくる。
 この型ははじめて見る。

《鈴柱②:足下脈動型/地脈の押印→歩幅の“居場所”を固着》

「これ、足の位置を勝手に決めるやつだ」とロゥナが言う。
「足跡が道じゃなくて、道が足跡になるやつ。放っておくと、帰路が“こっちに戻れ”って勝手に固まる」

「帰路の自由を縛られる」とセリューナ。「白で消す。
 レク、”白返し”を二筋、ゆっくり。あと、背は“砂じゃなく柱の影”」

「了解」

 俺は胸の拍を白く緩め、返鈴綾を半拍遅らせ、白返しを二筋。
 今度は早くではなく、遅く。
 “ここが俺の足場だ”ではなく、“俺の足場は俺が呼ぶ”という時間差の主張。
 ロゥナが横受け座を前→後に反転させ、足裏の重さを半拍ずらす。
 セリューナは柱の影を指先で背に一撫で。

 砂背の脈は一度だけ跳ね、固着しかけた“場所”はほどけた。
 代わりに、白い余白だけが、俺たちの後に薄く残る。

《応対:足下脈動=固着 失敗/帰路 固定=回避》
《白返し二筋:帰路=“呼べば戻る”形式に維持》
《背の位置:柱本体ではなく“柱影”にのみ合いを残存(非刻)》

「ふむ」とロゥナ。
「これで、帰りの道は“おいで”って呼べば戻るようになってる。
 こっちから“帰らされる”筋は抹消済み。つまり、帰還が俺たち都合」

「うん」とセリューナ。「あとは“鳴りを無視させたい鈴柱”だね」

          ◇

 三本目の鈴柱は低い。
 柱というより杭に近い。杭の先に、ちいさな輪鈴がいくつも束ねられている。
 わずかな振動でまとめて鳴るための束鈴。
 いやらしいことに、風も触れてないのに、もう揺れてる。

「これ、もう鳴ってるよな」
 俺は声を落とす。

「鳴ってる」とセリューナ。「そしておそらく、この鳴りはすでに誰かに聞かれてる。
 “誰が通ったか”というより、“誰を通したか”を向こう側に送る用」

「向こう側?」
「監視。もしくは管理側。昼帯の許可を出してる連中」

 つまり、ここでしくじると、俺たちは“通してもらった存在”として扱われ、勝手にあっちの管理下に分類される。
 ……それは、嫌だ。

「これは“受けない”にしておく」とセリューナ。
「こっちが勝手に通ったことにする。
 つまり、“道が勝手に開いてただけです”っていう扱い」

「可能か?」と俺。

「うん。やることは単純。
 一、こちらの拍は“白”にせず、あえて“薄い無”に落とす。
 二、返鈴綾は、遅らせない。
 三、背もしない。
 四、何もしないで通る。
 ……つまり、“あなた誰ですか”への返答を丸ごと拒否する。
 普通はやっちゃいけない。でも、今はやる」

 ロゥナが笑う。「昼帯の礼法で言えば、これ最高に失礼」

 俺は、喉をならさずに頷き、呼吸を一瞬だけ止め――拍を、落とす。
 白くもしない。返しもしない。
 ただ、そこに“誰もいません”という、うすい無だけを置く。

 束鈴は震え続ける。けれど、その鳴りは俺たちに“紐”を付けられなかった。
 代わりに、鈴の音だけが、自分たちの柱の上で空転した。

《応対:識別呼び出し=無返答/管理側への“通過認証”送信=不成立》
《状態:帯そのものは通過可/拘束義務=発生せず》

 セリューナが、ほんの少しだけ息を吐く。
「突破。よし」

「問題は、その無礼で誰かが出張ってこないかだけど」とロゥナ。
「……聞こえない。今のところ、こっちを捕まえる足音はない」

          ◇

 四本目の鈴柱は、逆にほとんど揺れていない。
 柱の輪も静か。舌も静か。
 ただ、近づいた瞬間、胸と喉の間に小さな重みが落ちた。

 息が、少しつかえる。

《鈴柱④:鳴らない鈴柱/“呼異”の下ろし=通行者に“合い”を一拍だけ載せる》

「これ、なんだ」
 ごくわずか、鎖みたいな重さ。
 身体に“お前は今この帯の拍で歩いてるよね”ってタグを付けられた感覚がする。

 セリューナの目が細くなる。
「それ、返す」

「返す?」
「そう。もらいっぱなしにしない。
 こっちが“はい、返しました”って渡すと、帯側のほうが“あ、タグもういらないならいいや”って勝手に思って離す」

 俺はうなずき、胸のその重み――“合いの一拍”をそっと浮かせるイメージを作る。
 返鈴綾を軽く指先で撫で、白返しではなく“返却”のつもりで、帯の層に向けて押し戻す。

 喉の重みは、すっと消えた。

《呼異タグ:返却 成功/帯側の持続監視=中断/拘束なし》

「問題なし」とセリューナ。
「昼帯は基本“お客扱い”だから、ちゃんと返せば、しつこくはしない」

「“客”の理屈、便利だな」と俺。

「便利にしてきたの。夜の側と、昔の人たちが」とセリューナは笑った。
「あんたが今それに乗ってる。正しく使えてる」

          ◇

 鈴柱帯の出口が見えてくる。
 鈴柱はもう立っていない。代わりに、遠目に低い建造物の影――丘のふちに、石と布と骨を組んで立つ見張り棚がある。

 昼帯の管理者はこっちを見ていないように見える。
 けれど、こちら側はもう監視の射程に入っている。

《視界先:丘縁 見張り棚(昼帯管理の監視点)/距離=近い》
《こちらの状態:
 ・復翼=安定(二核同期 高)
 ・返鈴綾=薄通し 維持
・昼走位相=確立(浅)
・帰路用白返し筋=保持(上書きなし)》

 セリューナが言う。
「この先、正式に“昼”に入る。
 ここまでみたいに“鳴る前に撫でる”だけじゃ、足りない場面も出る。
 今度は“鳴った後、それを握らせない”に変わる」

「昼帯の本域は、“鳴りをこっちのものにする”領分だよ」とロゥナ。
「だからそこで、あんたにはもう一つやってもらうことがある」

「俺に?」
「うん」

 ロゥナは続ける。
「さっきまで、返し筋とか白返しとか、ぜんぶセリューナとあんたの合わせで捌いたろ?
 次は違う。
 次から、“あんたの呼吸そのもの”が鍵になる。
 戻る道も、通す道も、起こす道も、全部お前の息で開く帯になる」

 俺は息をのむ。
「……つまり、俺の呼吸が勝手に記録されるってことか?」

「違う」とセリューナ。
「“記録されない呼吸”を、自分のものとして帯に通すってこと。
 簡単に言うと――あんたが“鳴りの外”として扱われるんじゃなく、“鳴りを持ち歩く側”として振る舞うってこと」

「それ、やっていいやつ?」

「ふつうはダメ」とロゥナがあっさり言う。
「けど、あんた今、復翼で二核つないでる。勝手にやれる肩書き、もう背負ってる。
 だから“やらされる前に、やっておいたほうが楽”」

 セリューナが、わずかに柔らかい声で言った。
「レク。
 ここから先は、“鳴らさず、触れず、撫でて”だけじゃ足りない。
 次は――
 “抱えて歩く”。」

          ◇

 鈴柱帯の最後に、いつものように小さな風壇と息留め石が置かれていた。
 空鈴枠が横倒しにされ、背だけこちらへ向けられている。
 ただ一つ違うのは、背にうっすら、昼の鈍い光が乗っていること。

 土色の外套の守が一人、視線をこちらに向けないまま口を開く。

「昼は、先に鳴る。
 おまえは、返すだけにするな。
 持て。
 ……それで、道は、おまえになる」

 それだけ伝えて、もう俺たちのほうを見ずに、柱の影へ戻っていった。

《守の宣言:
 ・以降の帯=昼本域
 ・受け身では足りない
 ・“鳴り”そのものを抱え込んで運べ
 ・それが通行権になる》

 俺は封球に掌を当て、復翼の二核の呼吸を確かめる。
 揺れない。
 ただ、今までより、ほんのわずかに――拍が、明るい。

《旅路ログ:鈴柱帯 通過/強制登録なし/監視タグ返却済》
《復翼:二核同期=高/昼走位相=安定(浅→中)/返鈴綾=薄通し 維持》
《帰路:白返し筋=健在/帰路拘束=無》
《次行程:昼帯本域 “見張り棚の境” → 第71話》

 俺は静かに答えた。

「鳴らさない。
 鳴らされない。
 でも――抱える」

 風は、裾を一度だけ持ち上げてくれた。
 その拍は、もう夜ではなかった。
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