転生実況はじまりました ～異世界でも仲間と一緒に～

第17章《嵐に備える日々》

森の中、槍が風を切る音と、
矢が的を打つ軽い衝撃音が響いていた。

KILOとイソクマはそれぞれの師匠から
指導を受け、長い訓練の日々を過ごしていた。

KILO
「くそっ、全然上手くいかねぇ……」

彼は槍を振り下ろしたが、
木の幹に届く前に止まってしまう。

グラド
「槍を振るうのは力じゃない。
重さを活かして動きを作れ」

KILO
「力任せで何が悪いんだよ！
どうせ俺にはそれしかない！」

グラドは槍を地面に突き刺し、
険しい目でKILOを睨んだ。

グラド
「そんなことを言ってる間に、お前は死ぬぞ。
やるか、やられるか。それが戦場だ」

KILOは苛立ちを隠せないまま、
槍を握り直す。悔しさがにじむ顔で、
彼は再び槍を振った。

その一方、少し離れた場所では、
イソクマが弓を引いていた。

イソクマ
「集中って言っても難しいっすよね。
お茶でも飲んで落ち着けってことっすか？」

エルフの女性は呆れたようにため息をついた。

エルフの女性
「あなた、本当にふざけた人間ね。
それでも、弓のセンスだけはあるわ」

イソクマ
「おおっ！それは褒め言葉っすか？」

エルフの女性
「私はフィリネ。この森で弓を扱う者よ。
あなたに教えているのは単なる興味よ」

イソクマ
「フィリネさん！名前も素敵っすね！
僕の才能、期待しちゃっていいっすか？」

フィリネ
「軽口を叩くのは、
矢を的の中心に当ててからにしなさい」

イソクマは苦笑しながらも、
弓を握り直して再び矢を引いた。

訓練の日々は二週間続き、
KILOとイソクマは汗と泥にまみれながらも、
確かな成長を感じていた。

イソクマ
「いやー、KILOさんも強くなったっすね。
なんか、槍がすごく似合う感じっす！」

KILO
「イソさんこそ！才能があって、
羨ましいっすよ、俺なんて全然で…」

グラド
「その通りだ。ちょっと訓練しただけで、
強くなったつもりになるなよ」

その言葉が終わる前に、森の奥から、
不気味な唸り声が響いた。

木々が揺れ、空には大きな影が現れる。
巨大な鳥型モンスターが翼を広げていた。

KILO
「ちっ……またモンスターかよ！
ちょっとは休ませてくれよっ！」

イソクマ
「いや、なんかヤバそうなやつっすね！
KILOさん、どうするっすか？」

グラド
「落ち着け。お前達、訓練の成果を見せろ。
あの鳥を仕留めるんだ」

KILOは鑑定スキルを発動した。
久しぶりに詳細が表示される。

鑑定スキルが反応し、
頭に情報が流れ込む。
KILOはその内容を確認し、
驚きと喜びの声を上げた。

KILO
「おっ！鑑定成功した！」

イソクマ
「おおっ！KILOさん、久々の大成功っすね！
これでどんなヤツか分かるっすか？」

KILO
「そうすっね！」

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【鑑定結果】
名称: テンペストウィング
分類: 魔獣種（鳥型）
危険度: C級
特徴: 風を操る巨大な鳥。
高速飛行と鋭い爪での攻撃を得意とする。
備考: 地上に降りると動きが鈍る。
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イソクマ
「おお！地上に降りたら遅くなるって！
これ、狙い目っすね！」

KILO
「簡単に言うなよ。あんな速さの相手、
どうやって地上に降ろすんよっ！」

テンペストウィングが上空を舞いながら、
鋭い風刃を放つ。その刃は木を切り裂き、
砂を巻き上げながら二人に迫った。

グラド
「KILO！怯むな！槍を構えて、
あいつの動きを止める隙を作れ！」

KILO
「分かってるけど……速すぎる！」

フィリネがイソクマに声をかける。

フィリネ
「イソクマ！翼を狙いなさい！
あれが傷つけば飛べなくなる！」

イソクマ
「了解っす！でも、動きが速すぎて……
よし、当たるまで撃ち続けるっす！」

イソクマの矢が次々と放たれるが、
そのほとんどが外れる。

KILO
「イソさん、早くしてくれ！
このままじゃ、俺が突っ込めない！」

イソクマ
「ちょっと待つっす！今、
最高の一発を見せるっすよ！」

集中したイソクマの矢が放たれると、
それはテンペストウィングの翼を正確に貫いた。

テンペストウィングは
悲鳴を上げながら地上に降りる。

KILO
「今だ！このまま行くぞ！」

怒りを感じたKILOの体が熱を帯び、
彼は無意識のうちに槍を突き立てる。
その一撃は、モンスターの胴体を深く貫いた。

テンペストウィングは短い叫び声を上げ、
地面に崩れ落ちた。

戦闘後、二人の頭に謎の声が響いた。

謎の声
「レベルが1 → 5にアップしました。
職業が変更されました。
新しくスキルを複数獲得しました」

KILOとイソクマは、
それぞれのステータスを確認する。

KILO
「……これ、本当に俺の？」

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【ステータス】
名前: KILO
種族: ？？？
レベル: Lv: 5
職業: 狂戦槍士
称号: 異世界人、短気

【スキル一覧】
E級: 投擲入門Lv.1、体力強化Lv.4
D級: 狂乱突撃Lv.1、連続突撃Lv.1
S級: 鑑定Lv.2
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イソクマ
「おおお！俺もすごいっす！
KILOさん、見てみて！」

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【ステータス】
名前: イソクマ
種族: ？？？
レベル: Lv: 5
職業: 弓術師
称号: 異世界人、陽気な狙撃手

【スキル一覧】
E級: 投擲入門Lv.1、初級茶道Lv.1
D級: 初級弓術Lv.1、狙撃強化Lv.1
S級: 鑑定Lv.1
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KILO
「狂戦槍士……これ、怒りを力に変える職業か」

イソクマ
「弓術師！これで俺も超一流の狙撃手っすよ！」

フィリネ
「今更、職業が変わるなんて……。
あなた達、今まで引きこもってたの？」

グラド
「まぁこれで、次に進む準備が
できたな。嵐の尾根へ行け」

新たな力を得た二人は、仲間を探す為に
嵐の尾根を目指して旅立つ。