異世界タクシー(個人)始めました

Tkata

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盗賊襲来

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 片山はアクセルを思い切り踏み込んだ。
 クルマはぐんぐん加速しタイヤが草原を蹴散らしながら素早く回転していく。
 2人はそれを肌で体感しながらこのクルマを頼もしく思った。
「片山さん!草むらに隠れてる岩に気を付けて!」
 アリファが後ろを振り返りながらアドバイスをくれる。
「任しといてちょーだい!ドライバー歴20年やで!こっちは!」
 片山は普段のタクシー業務ではすることないアグレッシブな運転とこの状況に軽い高揚感を覚えてきた。
 後方から迫りくる盗賊の乗ったトカゲもどきは思ったよりスピードが早い。徐々に距離を詰めてくる。
「アリファさん!魔石銃は使えますか!?」
 片山はアリファに問いかけたが首を横に振りながら
「魔石が無い!」
   と残念な答えが帰ってきた。
『武器がないんか…振り切るしかないんやな!』片山はアクセルを踏み込み続ける。スピードメーターは忙しなく数値を変えながらとうとう130kmを超えた。舗装道路ならもっと速度を上げることができるのだが未舗装の草原では限界がある。車体がガタガタと揺れ片山は汗ばむ手で強くハンドルを握り直した。
 周りが大草原で景色に変化がないので片山が思ったよりは速度が出ている。『しかし…あのトカゲ…めっちゃ 早いな』片山は何度もそう思いながらしきりにルームミラーを確認する。
 ついにルームミラー越しに盗賊の姿がはっきりと分かるようになってきた。盗賊が銃を構えている姿が確認できるまでに近づいてきている。
「アリファさん、そろそろ打ってきますかね?」
 先ほどアリファが言った間合いというのが気になりだした。
「そろそろ…ね。ヤツラが持ってる魔石銃なら…そろそろ…」
 片山は緊張で口の中が乾いてきて思わずツバを飲んだ。
ビシッ!
クルマの後方に何かが当たった音がした。
「打ってきた!」
アリファが叫んだ。
片山は当然だがタクシーに乗務中、銃撃など受けたことが無い。対処のしようも無くただクルマを走らすだけしか出来ない。
「このまま走り続けて!竜は長い間、全力で走れない!」
『あれが竜?』片山はちらっとアリファの方を見る。
ビシッ!ビシッ!
何発も魔石銃の弾丸がクルマに当たるが幸い走行に支障は無いようだ。
「捕まったら身ぐるみ剥がされて命の保証もないわ!良くて奴隷市場行きね!」
アリファが物騒な事を言う。
片山は頷くことしかできず先程の高揚感はすっかり消え失せ、ただ怯える心を気力で乗り切るしかなかった。
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