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宿屋
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「お二人さんね~」
太った貫禄のある女主人が上目遣いにジロッとこちらを睨むような仕草をしながら言った。
「部屋あったかね~」
指に唾を付け分厚い宿帳をペラペラとめくりながらめんどくさそうに言葉を吐き捨てる。
宿は竜車駅の広場に沿った道沿いにあり、5階建ての木造建物で部屋数はざっと見たところ5.60はありそうな立派な宿だった。
クルマを竜車止に停め、とりあえず中に入ってみる。1階は酒場になっていた。夕飯時ということもあって8割方、席は埋まっており従業員も忙しなく料理や酒を運び続けている。
あちこちから笑い声や言い争う様な声が聞こえてくる。
客達の間を縫って、店の奥にある立派な長い一枚板のカウンターに近づくとアリファは
「今晩泊まりたいんだけど?」
と手近にいたバーテンダーらしき男に声をかけた。
男は親指とアゴでクイッと視線をやりながらカウンターの端を指した、そこにいる金勘定をしてる太った女の方に聞け、という具合に。それを察した女はこちらの方に歩み寄って
「なんだい?宿を探してるのかい?」
と無愛想な表情で話しかけてきた。
「あー、1部屋なら空いてるよ。ちょっと埃っぽいかもしれないけどね。しばらく使って無い部屋なもんでさ。」
2人が顔を見合わせ思案していると、女主人は続けた。
「今日はどこの宿もいっぱいだよ。なにせダルフォイの頭領がおいでなすってるからね、そのお供やらなんやらで賑わってるのさ。小さい竜車駅なんでね。」
「そう、なら仕方ないわね!お願いするわ。」
アリファは吹っ切れたようなヤケクソの様な笑顔を浮かべ女主人に言い放った。
『えぇ…見知らぬ女性と2人で同じ部屋に泊まるってちょっと…決断早すぎるやろ…』と片山が戸惑っているとアリファはサッと鍵を受け取り
「片山さん?どうしたの?こっちよ。」
とスタスタと歩きだした。
『この世界では当たり前なんか?仕方ない…泊まるところあらへんのやったら…』片山は妥協するしかない、と自分に言い聞かしアリファの後についてトボトボと歩きだした。
ギシギシ軋む木階段を登り、3階の端にその部屋はあった。鍵を回し、建て付けの悪いドアを力任せにこじ開ける。意外にも部屋の中は整然としておりベッドルームが1部屋にトイレ、バスルームが備え付けられているシンプルな作りで古さはあるが埃っぽさは感じなかった。どこも綺麗に手入れがされている。
「案外悪くないじゃない。」
アリファはそう言うと広場に面した窓に近寄り、外を眺めた。魔石ランタンの仄かな光に照らされた広場に夜を楽しむ人々が大勢集まっている姿がうつる。この竜車駅一番の目抜き通りといった装いだ。
「片山さん、お腹空いてない?下で何か食べましょうよ。」
アリファがそう言うと、片山は忘れてたかのように腹が空いてきた。
太った貫禄のある女主人が上目遣いにジロッとこちらを睨むような仕草をしながら言った。
「部屋あったかね~」
指に唾を付け分厚い宿帳をペラペラとめくりながらめんどくさそうに言葉を吐き捨てる。
宿は竜車駅の広場に沿った道沿いにあり、5階建ての木造建物で部屋数はざっと見たところ5.60はありそうな立派な宿だった。
クルマを竜車止に停め、とりあえず中に入ってみる。1階は酒場になっていた。夕飯時ということもあって8割方、席は埋まっており従業員も忙しなく料理や酒を運び続けている。
あちこちから笑い声や言い争う様な声が聞こえてくる。
客達の間を縫って、店の奥にある立派な長い一枚板のカウンターに近づくとアリファは
「今晩泊まりたいんだけど?」
と手近にいたバーテンダーらしき男に声をかけた。
男は親指とアゴでクイッと視線をやりながらカウンターの端を指した、そこにいる金勘定をしてる太った女の方に聞け、という具合に。それを察した女はこちらの方に歩み寄って
「なんだい?宿を探してるのかい?」
と無愛想な表情で話しかけてきた。
「あー、1部屋なら空いてるよ。ちょっと埃っぽいかもしれないけどね。しばらく使って無い部屋なもんでさ。」
2人が顔を見合わせ思案していると、女主人は続けた。
「今日はどこの宿もいっぱいだよ。なにせダルフォイの頭領がおいでなすってるからね、そのお供やらなんやらで賑わってるのさ。小さい竜車駅なんでね。」
「そう、なら仕方ないわね!お願いするわ。」
アリファは吹っ切れたようなヤケクソの様な笑顔を浮かべ女主人に言い放った。
『えぇ…見知らぬ女性と2人で同じ部屋に泊まるってちょっと…決断早すぎるやろ…』と片山が戸惑っているとアリファはサッと鍵を受け取り
「片山さん?どうしたの?こっちよ。」
とスタスタと歩きだした。
『この世界では当たり前なんか?仕方ない…泊まるところあらへんのやったら…』片山は妥協するしかない、と自分に言い聞かしアリファの後についてトボトボと歩きだした。
ギシギシ軋む木階段を登り、3階の端にその部屋はあった。鍵を回し、建て付けの悪いドアを力任せにこじ開ける。意外にも部屋の中は整然としておりベッドルームが1部屋にトイレ、バスルームが備え付けられているシンプルな作りで古さはあるが埃っぽさは感じなかった。どこも綺麗に手入れがされている。
「案外悪くないじゃない。」
アリファはそう言うと広場に面した窓に近寄り、外を眺めた。魔石ランタンの仄かな光に照らされた広場に夜を楽しむ人々が大勢集まっている姿がうつる。この竜車駅一番の目抜き通りといった装いだ。
「片山さん、お腹空いてない?下で何か食べましょうよ。」
アリファがそう言うと、片山は忘れてたかのように腹が空いてきた。
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