雨の向こう側へ

seiru

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雨の向こう側へ ⑫

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《Shou side》



"おはよう。
昨日はありがとね。
いい思い出が出来たよ。
また一緒に出掛けよう。"


次の日の日曜日、悠里さんからam9:00にLINEが届いていた。

昼まで寝てしまった僕は、いつもなら着替えもせずにぼんやりとやり過ごす休日なのに。

パジャマを脱いで洗濯機を回して、いつでも出掛けられるような服に身を包み、ソファーでコーヒーを飲んでいる。


悠里さんは今頃、店頭に出ているのかな。

それとも、昼休み?

返信を期待せずに、好きなタイミングで言葉を送ることが出来るLINEの便利さを、悠里さんとやり取りするうちにようやく理解出来てきた。


"こんにちは。
僕も忘れられない1日になりました。
ありがとうございます。
次も楽しみにしています。"


『次…か。』


悠里さんと行ってみたい場所。

背凭せもたれに寄り掛かり、携帯を胸に当て目を閉じる。

こんな風に、誰かと何処かへ出掛ける楽しみを得られる日が来るとは。

維月と付き合っていた時は、彼が俳優ということもあり、ホテルやバーで会うことしか出来なかった。

だけど、そもそも維月にとって僕は【恋人】と認識されていなくて、都合のいい体の関係だけの男だと思われていた。

その事実を知った時、【恋人】の維月の為に必死で身を隠す努力をしてきた自分を哀れんだ。

そして、そんな非情な人間を信じた未熟さに、ほとほと愛想が尽きて、命を絶とうとさえ思った夜もあった。

でも。

【恋人】ではなくても、悠里さんとこうして【友達】として存在出来ている今、あの時生きることを選んで良かったと心から想えている。


"♪♪…"


『あれ…?』


こんなに早く返信があるとは。

背凭れから飛び起きて、コーヒーを口に含んでから画面を開いた。


"次に行きたい場所があれば、教えてね。
それと、今週の金曜日にジムに行くつもりなんだけど、紫陽くんは忙しい?"


金曜日…。

思い出したくなかった予定に、深い溜め息と共に項垂うなだれていく。

その日は、悟さんとバーで会う約束をしていて。

もちろん、マスターが間に入ってくれる。

本当は最後まで断ろうか悩んだけど、僕の気持ちが明確になった以上は、ちゃんと区切りを付ける姿をマスターにも見届けてもらいたい気持ちが勝った。


"すみません。
行きたいけど、予定が入っていて。"

"そっか。
じゃ、またの機会にね。"


だけど、本音は怖くて、不安で、その日が近づくにつれ眠れなくなるだろう。

今だって、理性を保てられなくなったら、悠里さんに会いに行ってしまいそうなくらい、ひとりじゃ心細い。

こんな気持ちを悠里さんが知ったら、【我慢せずに伝えて。】と言ってくれるはずで。


"本当は、断りたかった予定なんです。"

"そうなの?
行かなきゃだめなのかな。"

"色々と整理をしなくちゃいけなくて。"

"そうか。
ひとりで大丈夫?"

"はい。
ただ、ひとつだけワガママを言ってもいいですか?"

"うん、いいよ。"

"その予定が終わった後、少しだけ会えませんか?"


伝えてしまった。

そう思う間もなく、既読が付いて返信がすぐに返ってくる。


"解った。
何処に行けばいいかな?"

"僕の家の最寄り駅に来れますか?
恐らく、21:00頃になると思います。
無理だけはしないでください。"

"大丈夫。
ジムの後、そのまま向かえばいいから。"

"ありがとうございます。
お陰で頑張れます。"

"良かった。
頼ってくれてありがとう。"


悠里さんは裏切らない。

僕が欲しい言葉を与えてくれる。

僕が求めることをしてくれる。


"RRRRR…RRRRR…"

『えっ…。』


仕事の邪魔になっていないかと頭を過ぎれば、こうして電話もかけてきてくれる。

でもまだ電話が苦手な僕には、コールが鳴ると戸惑って、受話するまでに勇気が必要で。

深く息を吸い込んで、吐き出しながら通話ボタンに触れた。


『もしもし…。』

【ごめん、もうすぐ裏に戻らなきゃだから電話かけちゃった。】

『いえ…仕事、大丈夫かなと思ってたんで。』

【ありがと。
金曜日、会えるの楽しみにしてる。】

『はい…あのっ。』

【ん?】

『その日、悠里さんにちゃんと伝えたいことがあって。
よかったら、うちに寄っていきませんか?』

【ぇ…いいの?】

『はい。
人を呼んだことがない家ですけど…。』

【紫陽くんが無理してないなら、喜んで。】

『ありがとうございます。』


電話を切り、再び背凭れにしな垂れ掛かる。

僕というひとりの人間が、みるみると変化していく毎日。

悠里さんと出会わなければ、絶対に起こり得なかった変化。

ふと携帯を握る指が、じんじんと痺れていることに気づいた。

血が通って、ほんのりと赤くなって、温かい。


『早く、会いたい…。』


天井を仰いだ勢いで、思わず本音が漏れ出た。


『会ったばかりなのに、重症だな…。』


呆れてひとり笑う時間も、有意義に感じられた。



________




《Yuuri side》




水曜日の黄昏たそがれ時__。



久しぶりの夕焼けだ。

夕日を浴びたくなって、仕事帰りの会社員達が店の前を通り過ぎていくのを背にして、店の前の掃き掃除をしている。

西日を受けて、アスファルトや壁に映し出される自分の影をチラチラと見ながら、やっぱり俺は太陽が好きだと実感する。

すると、もうひとりの影が重なった気がして振り返ると、小柄な女性が微笑んで立っていた。


『こんにちは。』

『こんにちは。』

『あのー、紹介でこちらに寄ってみたんですけど。』

『そうなんですね。
どうぞ、中へ。』

『はーい。』


ほうきをドアの脇に立て掛け、ブラウスにダークグレーのスカート姿の女性をカウンター前に誘導する。


カウンター内から面と向かってみると、俺より30cmは背が低いんじゃないかと思う。

胸元に両手を重ねて握り締め、俺を見上げてジッと見つめてくる。



『改めまして、いらっしゃいませ。
どなたからのご紹介ですか?』

『佐々木珠伽じゅかちゃんです。』

『あー、佐々木さんですか。
それはありがとうございます。』

『とても腕が良くて、しかもイケメンな店員さんがふたりで切り盛りしているって聞いて。
興味津々で来ちゃいました。』

『いやいや、そんな…イケメンなんかじゃないですよ。』

『いーえっ。
お会いしてビックリしました、飲み会の日に。』

『え?飲み会?』

『渡辺くんが倒れた時です。
私もあの場に居たんですよ。』

『あー!あの時ですか。
すみません、覚えていなくて。
彼のことで必死だったもので。』

『いえいえ。
ヒーローみたいに現れて、しかも背が高くて笑顔も素敵で。』

『はぁ…ありがとうございます。』


えーっと、ほぼ初対面で数分後にまさかの褒め殺し?

冷やかしなのかもしれないけど、ここは上手く切り替えねば。


『えっと…お預かりする品物はございますか?』

『あ、はいっ。
これ…お気に入りのスカートなんですけど。
この前の日曜日に参加した合コンで、隣に座ってた男性に派手にワインをこぼされちゃって。』

『そうですか。
先日もワインのシミを持参された方がいますし…結構多いんですよね。』

『そうなんですね。
落ちます?』

『はい、お任せあれ。』

『わぁ!よかった!』

『最短で、明日の午前中にはお渡し出来ますが。』

『じゃぁ、明日は予定があるので、明後日の帰りに寄ります。
あ…でも、お兄さんはその日、いらっしゃいますか?』

『えっと…自分は留守にするので、もうひとりの者が店頭にいるかと。』

『そうなんですね…。
残念ですけど、その方に会うのも楽しみだなぁ。
あ、もしよかったら、お名前聞いてもいいですか?』

『自分ですか?』

『はい。』

『えっと、雨宮あめみやと申します。』  

『下のお名前は?』

悠里ゆうりです。』

『悠里さんっ!
かっこいいーっ♪』

『いやいや…。』


うーん、ずばり苦手なタイプ。

この人と佐々木さんじゃ、どう考えても合わないと思うんだけど。

でも、お客様の人柄をたった数分で判断しちゃいけないと、母親にも寛太さんにも散々教わってきたじゃないか。

ここは、グッとこらえて…と。


『私、やなぎかえでです。
宜しくお願いします。』

『柳様…ですね、承知致しました。
では、明後日の金曜日にお待ちしております。』


紫陽くんは、柳さんのことは知っているんだろうか。

外までお見送りして、振り返ってお辞儀をする彼女に、申し訳ないけど警戒心しか感じられず店内へ戻る。

今まで何人もの女性客を接客してきて、何度か告白をされたり手紙を渡されたりした経験はある。

だからか、俺に対して好意を寄せてしまっている女性を、態度や視線で察知する能力が身についているようで、正直困る。


『俺って、女性恐怖症…?』


エプロンのポケットから携帯を取り出して、紫陽くんにLINEを送ってみることにした。


"お疲れ様。
さっき、柳さんっていう方が佐々木さんの紹介で来店されたんだけど、紫陽くんは知り合いかな?"


きっと残業で忙しいだろうからと、掃き掃除の続きを始めようと外へ出ようとした時。


"♪♪♪…"


『あ…。』


紫陽くんからの返信が届いた。

残業?

それとも、もう家?


"お疲れ様です。
柳さんは僕と佐々木の同期です。
社屋は別なので、悠里さんのお店までは3駅ほど離れているのですが…。"

"そうなの?
わざわざこっちまで来てくれたんだね。"

"そのようですね。
何か言ってましたか?"

"圧が凄かった笑"

"圧…ですか。
悠里さんのこと、かっこいいとか言ってませんでしたか?"

"んー、言われたかも。"


……。


あれ?

既読は付いたけど、トークが途切れた。

やっぱり残業で、仕事に戻ったのかな。

こうして何気ないやり取りが出来ているってことは、紫陽くんと【友達】という関係にはなれているわけで。

俺に心を開いてくれたと、安心してもいいのかな。


改めてほうきを握り締め、外へ出る。

さっきは気づかなかったけど、遠くの空に濃いグレーの雨雲が見えていて。

また明日から梅雨空に戻るのか。

少し雨にウンザリしてきたな。

そんな時こそ、紫陽くんを見習って散歩でもしてみるか。

夕日の位置がだいぶ下まで降りてきたのを確認して、急ピッチで掃いていると、また人影が重なった。

え?また来たのか?


『来ちゃいました…。』

『ぇ…。』


柳さんではなく、紫陽くんだった。

驚きを通り越して、安堵と喜びが込み上げてきて、思わず抱き締めたくなってしまう。

しかも【来ちゃいました】って…。


『会社を出てすぐに、悠里さんからLINEが届いたんです。』

『そうだったんだ。』

『文字を打ちながらより、寄り道してお話出来るならと思って…。
お仕事、大丈夫ですか?』

『うん、大丈夫。
あ、中、入って。』

『はい。』


流石に抱き締めるわけにはいかないとこらえたけど。

店内へ先に入ってもらい、紫陽くんの後ろ姿を見ても、何故かこの腕で包み込みたくなるこの衝動は、一体何なんだろう。

再び箒を立て掛けた俺を振り返った紫陽くんは、変わらず美人だけど、今までとはまた違って見えて。


『柳さん、来たんですね。』

『うん。
こう言っては何だけど…ちょっと苦手なタイプだったというか。』

『そうなんですか?』

『うん。
初対面なのにめちゃくちゃ褒めちぎってくるし、佐々木さんとはまた違った感じがしたからさ。』


軽く下唇を噛んで、俺から目を逸らした紫陽くんは、仁のお気に入りの観葉植物まで移動しながら続けた。


『実は…彼女から本命チョコをもらったんです。
今年のバレンタインデーに。』

『マジっ?』

『はい…。
その気がないことは伝えていたんですけど、この前の飲み会でも、少しアプローチされたというか。
でも、いろんな人に声を掛けているって噂も耳にしたことがあるから、もしかしたら悠里さんにも…と思いまして。』

『なるほどね…そりゃ要注意人物だわ。』

『たぶん…一目惚れしたんじゃないですかね。』

『俺に?あんな短時間で?
そうだとしたら、人を見た目で判断しちゃダメだよねぇ。
男なら誰でもいいのかって。』

『一目惚れって、したことないですか?』


面と向かって突如聞かれて、過去の記憶を急いで呼び起こしてみる。

小学校、中学校、高校、大学…。

そもそも、自分から誰かを好きになって告白したことが無いんだから、一目惚れなんて有り得ないよな。

店を始めてからだって、お客様はもちろん元カノも違うし…それから…。


『ぁ…』

『??』

『ある、かも。』

『その人のことは、見た目で判断してしまってましたか?』

『いや…性格もいい。』

『そ…そうだったんですか。』


ジムで紫陽くんと出会った後、ここに佐々木さんと来てくれた場面が浮かんできたら、それが一目惚れに値するんじゃないかと思えてしまった。

さっきまでの【抱き締めたい】という衝動も、【一目惚れ】って感覚も、俺はやっぱり…。


『柳さんに付きまとわれないことを祈ります。』

『あの人、佐々木さんと仲いいの?』

『仲がいいというか…あの、悠里さんだから相談したいんですけど、絶対に他の人には秘密にしてくれますか?』

『うん、解った。』


神妙な表情で語り出した内容は、俺には全く予想出来るはずもないものだった。

佐々木さんが、柳さんに好意を持っている。

つまり、紫陽くんと同じく同性が恋愛対象になる人だということ。

そして、柳さんの気が多い性格を知っている紫陽くんとしては、佐々木さんに現実を知ってほしいと思っている。

一通り聞いて、紫陽くんにも大事にしている同僚が居ることにまず安堵した。


『恋は盲目ってやつかなぁ。』

『そうなんでしょうね…。』

『まだ柳さんがどういうつもりなのか、ハッキリした訳じゃないからさ。
ただの冷やかしで、もう二度と俺と会わないかもしれないし。
今後の動きに注視して、何かあれば紫陽くんに伝えるよ。』

『はい…ありがとうございます。』

『もし佐々木さんと話す機会があるなら、それとなくチョコの話や俺の話をしてみるのもアリかもね。
それを聞いた上で、佐々木さんがどう判断するかは彼女次第だから。』

『そうですね。
相談してスッキリしました。
ひとりでずっと引っ掛かっていたことだったので。』

『そう。
お役に立てて俺も嬉しいよ。』


照れ臭そうにする様子も愛おしい。

そうか…こうして不意打ちで来てくれたことも、相談してくれることも、紫陽くんの行動全てが俺は愛おしいのか。


『明後日、まずは俺と会う前にひと仕事だね。』

『はい…。
本当のことを言うと…悠里さんの顔を見れば、もっと勇気がもらえそうだなと思って。
だから、今日か明日にクリーニングを頼みに来てみようかと迷ってたんですけど…。』


ヤバい…。

身悶みもだえそうというのはこういう感覚なのか。

目の前の紫陽くんに触れたいと疼く自分の体が怖くなって、彼を視界に入れないように携帯をポケットから取り出した。


『タイミング良く、俺からLINEが届いたんだね。』

『はい…。』

『来てくれてありがとね。
そんなに勇気が必要なことが待ってるんだね。』

『そう、ですね…。』

『じゃぁ、握手する?』

『えっ?』

『パワーチャージ。』


何言ってるんだろ。

でも、これ以上触れられないのは無理で。

俺も君から、明後日までのパワーを貰いたい。

ゆっくりと差し出してくれた白い右の手を、そっとすくい上げる。

片手じゃ足りなくて両手で包み、願いを込めようと口元に運ぶと、ぴくりと紫陽くんの指が揺れたけど。

今だけは、祈らせて。

大切なこの手の持ち主の、

心が傷つかないように。

勇気が報われるように。


『紫陽くんが、無事に俺の元へ帰って来れますように。』

『悠里さん…。』

『何時になっても構わないから。
駅でハチ公みたいに待ってる。』

『ぷ…っ。』

『あ、笑ってくれた。』

『悠里さん、犬っぽいから…。』

『そうそう、よく言われる。』

『ふふ…。
ありがとうございます。』



神様なんて信じない人間だったのに。

恋をするとすがりたくなるものなんだと、紫陽くんに教わった。



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