75 / 191
魔界編:第4章 与太話
≪小話≫図書室のユキ(※更新ペースのお知らせ)
しおりを挟む
※小説のストックがなくなってしまい、現在推敲・校正が難しくなっております
少しの間週1土曜更新とさせて頂きたく、ご報告となりました。
余力が出てきましたら週2更新に戻したいと思っておりますので
引き続きよろしくお願いいたします。
下記、他サイトに掲載しておりましたユキの小話となります
第2部 あなたの願いを叶える本 のユキSideのお話となります。
感情が揺さぶられる。長い間閉じ込めていた強い感情が、近くにいるだけで揺さぶられて溢れ出す。
その瞳に映れば、会話をすれば、平静を装える自信など微塵もない。柄にもなく緊張していて、心臓の音が酷くうるさい。
----
初夏の暖かい気候の中、衣替えの季節なのか校内には冬服と夏服の生徒が混在していた。
悪魔ユキは学校にいた。
堂々と正門から入り、土足でズケズケと校内を歩き回るが、咎める者は誰もいない、そもそも誰にも見えていないからだ。
図書室まで迷わず向かう、何度も来たことがあるこの建屋は、勝手知ったるものだった。なんなら壁や階段をすり抜けて、目的地まで最短距離でショートカットできるくらいだ。
図書室の壁をすり抜けて、本棚から頭が出る。念のため左右を確認して、近くに居ないことが分かると、全身全てを図書室の中へと入れた。
複数の本棚に体を通しながら、一直線に真里の元に向かう。その魂の輝きは眩しいほどで、凄まじい存在感だったのだが……今日は深く、暗く、黒く、闇に覆われて渦巻いている。
これはこれでなかなかの存在感で、どこにいるかはすぐに分かった。
昨日まで笑って過ごしていたこの場所で、荒んだ顔で学校での仕事をこなす姿が痛々しい。本棚の隙間から、向こう側にいる真里を見ながら、"抱きしめてあげたい……"などと考えていた。
そんなことができる筈もないのだが、思わずにはいられなかったのだ。昔自分が拠り所にしていた……底なしに優しかった彼を、目の前にいるのに支えてあげることもできない、それはとても胸が苦しかった。
真里のために準備した本を向こう側の通路へ落とす、無事手に取ってくれたのを確認して、ふぅーと深いため息を吐き出した。本当にガラにもなく緊張している……と、思わず自嘲してしまう。
いつ本を開くか、いつ自分を認識するか判断しかねたユキは、その日真里の後ろをずっとウロウロしていた。時々急に後ろを振り返ったりする度、緊張と期待で胸が高鳴った。
そして真里はユキの考えより早く、その本の指示に従った。
真里が自分を認識する瞬間だ、あの瞳に自分が映るのだと思うだけで、嬉しくてたまらなかった。
緊張で震える声と手を落ち着かせて、声をかける。
「思ったより早かったな」
「誰っ!?」
(ああ、やはり覚えていないか)
しかしそれでいい、全てを思い出していない事が真里を連れて行ける条件だ。
お陰で舞い上がった感情がストンと落ち着いた。大丈夫だ、また一から関係を築けばいい……一緒に行きたいと言わせてみせる、絶対に。
(……しかし、触りたくて辛抱たまらんのだが、どうしたらいいんだ)
結局ユキは我慢ができずに、信頼関係を築く前から手を出してしまうのだった。
次回更新は10/17(土)の予定です。
少しの間週1土曜更新とさせて頂きたく、ご報告となりました。
余力が出てきましたら週2更新に戻したいと思っておりますので
引き続きよろしくお願いいたします。
下記、他サイトに掲載しておりましたユキの小話となります
第2部 あなたの願いを叶える本 のユキSideのお話となります。
感情が揺さぶられる。長い間閉じ込めていた強い感情が、近くにいるだけで揺さぶられて溢れ出す。
その瞳に映れば、会話をすれば、平静を装える自信など微塵もない。柄にもなく緊張していて、心臓の音が酷くうるさい。
----
初夏の暖かい気候の中、衣替えの季節なのか校内には冬服と夏服の生徒が混在していた。
悪魔ユキは学校にいた。
堂々と正門から入り、土足でズケズケと校内を歩き回るが、咎める者は誰もいない、そもそも誰にも見えていないからだ。
図書室まで迷わず向かう、何度も来たことがあるこの建屋は、勝手知ったるものだった。なんなら壁や階段をすり抜けて、目的地まで最短距離でショートカットできるくらいだ。
図書室の壁をすり抜けて、本棚から頭が出る。念のため左右を確認して、近くに居ないことが分かると、全身全てを図書室の中へと入れた。
複数の本棚に体を通しながら、一直線に真里の元に向かう。その魂の輝きは眩しいほどで、凄まじい存在感だったのだが……今日は深く、暗く、黒く、闇に覆われて渦巻いている。
これはこれでなかなかの存在感で、どこにいるかはすぐに分かった。
昨日まで笑って過ごしていたこの場所で、荒んだ顔で学校での仕事をこなす姿が痛々しい。本棚の隙間から、向こう側にいる真里を見ながら、"抱きしめてあげたい……"などと考えていた。
そんなことができる筈もないのだが、思わずにはいられなかったのだ。昔自分が拠り所にしていた……底なしに優しかった彼を、目の前にいるのに支えてあげることもできない、それはとても胸が苦しかった。
真里のために準備した本を向こう側の通路へ落とす、無事手に取ってくれたのを確認して、ふぅーと深いため息を吐き出した。本当にガラにもなく緊張している……と、思わず自嘲してしまう。
いつ本を開くか、いつ自分を認識するか判断しかねたユキは、その日真里の後ろをずっとウロウロしていた。時々急に後ろを振り返ったりする度、緊張と期待で胸が高鳴った。
そして真里はユキの考えより早く、その本の指示に従った。
真里が自分を認識する瞬間だ、あの瞳に自分が映るのだと思うだけで、嬉しくてたまらなかった。
緊張で震える声と手を落ち着かせて、声をかける。
「思ったより早かったな」
「誰っ!?」
(ああ、やはり覚えていないか)
しかしそれでいい、全てを思い出していない事が真里を連れて行ける条件だ。
お陰で舞い上がった感情がストンと落ち着いた。大丈夫だ、また一から関係を築けばいい……一緒に行きたいと言わせてみせる、絶対に。
(……しかし、触りたくて辛抱たまらんのだが、どうしたらいいんだ)
結局ユキは我慢ができずに、信頼関係を築く前から手を出してしまうのだった。
次回更新は10/17(土)の予定です。
0
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる