綴り継ぐ寓話

授業料無料

　西アニマル村のイノシシ村長は、仲間を集めてイノシシの会を作りました。「改革でもっと住み良い村に」が、会のモットーです。
　イノシシ村長は、「村で費用を出して、学校の授業料をただにしましょう」と言いました。
　西アニマル村には、村が建てた村立学校と、ニワトリ学園長が建てた私立鶏王学園の２つがあります。
　ただで勉強ができるとあって、村のみんなは大喜びで賛成しました。
　素晴らしい学校だけれど、これまで高い授業料を払わなければ勉強を教えてもらえなかった私立学校にただで通えるとあって、鶏王学園は大人気。
　一方、授業料の安いだけが取り柄だった村立学校に通う生徒はほとんどいなくなりました。
　それを見計らって村長は言いました。
「誰も行かなくなったので、村立学校は廃校にします。」
　反対の声は出ませんでした。
　村立学校の土地建物はタヌキ社長のポンポコ不動産が買い取り、学校の先生たちにもやめてもらったので、私立学校の高い授業料の負担を差し引いても、村の財政は潤いました。
　一方、村立学校というライバルが無くなったために、ニワトリ学園長はためらうことなく、授業料以外の名目で、生徒たちから高額の費用を集めだしました。村のみんなは、何だかおかしいと感じましたが、もう村に学校は１つしかないので、言いなりになるしかありません。
　そして、タヌキ社長は、村立学校の土地建物を転売して大儲け。
　ニワトリ学園長もタヌキ社長も、イノシシ村長と同じイノシシの会の仲間です。
「うまい具合にいったね」
　３匹は、祝杯を上げました。