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【ざまぁ回】第13話 ゴーレム技師、試験補佐官を無自覚のまま圧倒的戦力でねじ伏せてしまう
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――試験開始。
アルカは通常の形態で剣を構え、踏み込み。
一気に横柄な補佐官との距離を詰める。
「ほえ?」
補佐官が素っ頓狂な声を上げる。まるで『気が付いたら目の前まで距離を詰められていた』とでも言わんばかりの、すごく真に迫る演技だ。ここへ来てまだ実力を隠すというのか。凄い余裕だ。
補佐官がとっさに構えた(風に演技している)木刀に、アルカが斬撃を叩き込む。
「ほぎゃあぁーー!!」
補佐官が、まるで嵐の中の落ち葉の様に、すごい勢いで吹っ飛ばされていく。
……なぜか、妙な手応えのなさを感じる。
あり得ない話だが、アルカが補佐官を圧倒している様だ。もちろん、そんなことがあるわけがない。
そんなことがあったら、まるで、補佐官が『実力差を全く分かっていない馬鹿』みたいではないか。
もちろんそんなはずはない。補佐官は僕らよりも上の実力差。決して油断してはいけない。
追撃の手は抜かない。
僕は土属性魔法を発動。遠隔でインスタントゴーレムを作り出す。ゴーレムが、吹っ飛んできた横柄な補佐官の身体をがっちり捕まえる。
「今だ、アルカ!」
「了解です!」
「形態変更、火炎放射形態!」
アルカが右腕の火炎放射装置を構えて、ゴーレムに捕まったままの補佐官に狙いを定める。
「え? なんだこの土人形、抜け出せない! 何されるの? 俺今から何されるのー!?」
みっともなくジタバタする(演技をしている)補佐官に向けて、アルカが魔法を放――
「――そこまで!」
試験監督さんが大声で制止する。
「この模擬戦、ナット&アルカペアの勝利とする!」
へ?
「おめでとう。2人の圧勝だ。あのまま続けたら、あいつは黒コゲになっていたよ」
「で、でもあの人はまだ実力を隠し持っていたんじゃ……?」
「そんなものはない。君たちの方が、あいつより遥かに強い。そしてあいつは君たちの実力を見抜けなかった。それだけだ」
そうだったのか。
「……あいつは才能だけはそこそこあるんだが、調子に乗りやすい奴でな。いい機会だから、君たちにちょっと懲らしめて貰おうと思ってな」
と、試験監督さんがウインクしながら補佐官の方を指さす。いつの間にか補佐官は、ゴーレムの腕の中で白目をむいて気絶していた。
そうか、何度も『くれぐれも全力で行けよ』と念押しされたのはそのためか。
「利用して悪かったな。あいつにもいい薬になっただろう。感謝する。そして、君の実力はゴールド級冒険者を遥かに超えている。文句なしに冒険者試験合格だ」
「……やったぞ、アルカ!」
「やりましたね、マスター!」
僕とアルカはハイタッチを決めて冒険者試験合格の喜びを分かち合ったのだった。
アルカは通常の形態で剣を構え、踏み込み。
一気に横柄な補佐官との距離を詰める。
「ほえ?」
補佐官が素っ頓狂な声を上げる。まるで『気が付いたら目の前まで距離を詰められていた』とでも言わんばかりの、すごく真に迫る演技だ。ここへ来てまだ実力を隠すというのか。凄い余裕だ。
補佐官がとっさに構えた(風に演技している)木刀に、アルカが斬撃を叩き込む。
「ほぎゃあぁーー!!」
補佐官が、まるで嵐の中の落ち葉の様に、すごい勢いで吹っ飛ばされていく。
……なぜか、妙な手応えのなさを感じる。
あり得ない話だが、アルカが補佐官を圧倒している様だ。もちろん、そんなことがあるわけがない。
そんなことがあったら、まるで、補佐官が『実力差を全く分かっていない馬鹿』みたいではないか。
もちろんそんなはずはない。補佐官は僕らよりも上の実力差。決して油断してはいけない。
追撃の手は抜かない。
僕は土属性魔法を発動。遠隔でインスタントゴーレムを作り出す。ゴーレムが、吹っ飛んできた横柄な補佐官の身体をがっちり捕まえる。
「今だ、アルカ!」
「了解です!」
「形態変更、火炎放射形態!」
アルカが右腕の火炎放射装置を構えて、ゴーレムに捕まったままの補佐官に狙いを定める。
「え? なんだこの土人形、抜け出せない! 何されるの? 俺今から何されるのー!?」
みっともなくジタバタする(演技をしている)補佐官に向けて、アルカが魔法を放――
「――そこまで!」
試験監督さんが大声で制止する。
「この模擬戦、ナット&アルカペアの勝利とする!」
へ?
「おめでとう。2人の圧勝だ。あのまま続けたら、あいつは黒コゲになっていたよ」
「で、でもあの人はまだ実力を隠し持っていたんじゃ……?」
「そんなものはない。君たちの方が、あいつより遥かに強い。そしてあいつは君たちの実力を見抜けなかった。それだけだ」
そうだったのか。
「……あいつは才能だけはそこそこあるんだが、調子に乗りやすい奴でな。いい機会だから、君たちにちょっと懲らしめて貰おうと思ってな」
と、試験監督さんがウインクしながら補佐官の方を指さす。いつの間にか補佐官は、ゴーレムの腕の中で白目をむいて気絶していた。
そうか、何度も『くれぐれも全力で行けよ』と念押しされたのはそのためか。
「利用して悪かったな。あいつにもいい薬になっただろう。感謝する。そして、君の実力はゴールド級冒険者を遥かに超えている。文句なしに冒険者試験合格だ」
「……やったぞ、アルカ!」
「やりましたね、マスター!」
僕とアルカはハイタッチを決めて冒険者試験合格の喜びを分かち合ったのだった。
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