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【ざまぁ前フリ回】第19話 勇者パーティー、ゴーレム技師を連れ戻すためにマイホームと全財産(1500万円)を賭けてゴーレム技師に決闘を挑む
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「何で、決闘なんですか……?」
僕はリエルさんに尋ねる。
「冒険者同士の揉め事は、これが一番早くて分かりやすくて後腐れないんですよ♪」
確かに分かりやすいとは思うが……。
「裁判って言う手もありますが、あれは費用も時間もかかりますからねぇ。欲が多くて短気な冒険者には向かないんですよ。さぁどうしますか?」
キキとカカは胸の前で拳を打ち付けている。やる気のようだ。
「……分かりました、やります」
僕は何の落ち度もないのに、一度勇者ハロンのパーティーを追放された。
そしてこれからもまた、勇者ハロン達は僕の冒険者生活の足を引っ張ろうとするだろう。
ここできっぱりと決着をつけ、清算する。
むしろキキとカカだけでなく、勇者ハロンも一緒に挑んできてほしいくらいだ。
「やります。この2人との因縁を、ここですっぱり切ります!」
「良いお返事です♪」
リエルさんが獰猛な笑みを浮かべて手をパァン! と叩く。
「それでは双方、相手に何を求めるか教えてください。それが釣り合っているか私が判断し、公平な条件の決闘にします」
リエルさんがまるで天秤のように、僕とアルカ、キキとカカの両方に手のひらを差し出す。
「俺たちが要求するのは、ナットがパーティーに戻ってきて前と同じようにゴーレムのメンテナンスと雑用をこなすことだぜ!」
「別にお前に戻ってきてほしくなんかないんだけどな!」
と、また無茶苦茶な要求を突きつけるキキとカカ。
「僕は、この2人がもう2度と僕とアルカにかかわってこないこと、を要求します」
「……ふむ、これでは釣り合いませんねぇ」
リエルさんが手でつくる天秤が、大きくキキとカカ側に傾く。
「キキさんカカさん。あなた達は、ナットさんの言い分を全く聞かずにパーティーから追放し、自分たちが困ると戻ってこいと言う。
道理が通らない要求を吹っ掛けているのをご自覚くださいね~?」
リエルさんは、これまでの僕らの事情を全て把握している。おちゃらけた雰囲気だが底が知れない。
だが、公平な判断はしてくれている。信頼はできるだろう。
「一方のナットさんの言い分は至極全うなものです。これ以上自分に迷惑を掛けるな、というのは当然の権利です。要求としては、あまりに軽い」
キキとカカの要求が重いから、天秤があちら側に倒れているのか。
「更に、ナットさんの隣にいる少女はナットさんが作ったゴーレム。なのでナットさん自身の戦力とカウントされます~。
つまり、キキさんとカカさん2人VSナットさん1人、となるわけですね。
有利な条件で挑んでいる分、キキさんとカカさんはナットさんより多くのものを賭けなければなりませんね~?」
天秤がさらにキキとカカ側に傾く。
「「ええ!? その女の子ゴーレムなのか!?」」
驚くキキとカカを無視してリエルさんは続ける。
「公平な条件にするために、とりあえずお金でも賭けてもらいましょうか~? キキさんカカさん、追加で”金貨300枚”賭けてもらいます」
「「き、金貨300枚だって!?」」
とんでもない金額に僕も驚く。
繰り返しになるが、一般職の市民が稼ぐ月収が金貨1枚と言われている。
それが300枚。途方もない金額だ。数十年何もしないで暮らせるぞ。
「そ、そんな大金を賭けさせるんですか……?」
「ええ。冒険者ギルド本部所属の私が計算した金額に狂いはありません。ナットさんはもっと、自分の力の凄さを自覚したほうがいいですよ♪」
「「俺たちそんな金払えねぇよ! 今金貨130枚しか持ってねぇ!」」
キキとカカが猛抗議する。
「では仕方ないですねぇ~。今払えるだけのお金に加えて、”明後日完成する予定のお2人のマイホーム”、これを賭けて下さい」
「「ええ、俺たちのマイホームを!?」」
キキとカカが家を建てようとしているというのは、僕も初めて知った。
この人は本当に、どこまで下調べしているんだ。
「ええ、それでやっと釣り合いが取れます。さぁ、どうしますか?」
リエルさんがキキとカカの顔を覗き込む。流石のキキとカカもびびって”賭ける”とは決断できない。
「ふざけるな、せっかく貯金して建てたマイホームを、なんで賭けなきゃいけないんだ」
「兄者の言うとおりだ、ナットが戻ってくる程度じゃ釣り合わねぇぞ!」
「もしかしてお2人、マスターと私に負けるのが怖いのですか?」
アルカが2人を挑発する。こんなに好戦的なのは珍しいな。
(あの2人はマスターを馬鹿にしました。マスターのゴーレムとして、絶対に許せません)
アルカが小声でつぶやく。
好戦的なのはよくないが、僕のために心底怒ってくれるのは嬉しい。
「「だ、誰がビビるかよ! 俺たちが負けるわけねえだろうが! マイホームだろうが全財産だろうが命だろうが何だって賭けてやるぜ!!」」
キキとカカが怒鳴る。
「では、決闘成立ということでいいですね~? 勝負は明日の正午、市民闘技場にて行います! 両者とも、全力を尽くしてくださいね」
リエルさんの口元にはまたいたずらっぽい笑みが浮かんでいた。
僕はリエルさんに尋ねる。
「冒険者同士の揉め事は、これが一番早くて分かりやすくて後腐れないんですよ♪」
確かに分かりやすいとは思うが……。
「裁判って言う手もありますが、あれは費用も時間もかかりますからねぇ。欲が多くて短気な冒険者には向かないんですよ。さぁどうしますか?」
キキとカカは胸の前で拳を打ち付けている。やる気のようだ。
「……分かりました、やります」
僕は何の落ち度もないのに、一度勇者ハロンのパーティーを追放された。
そしてこれからもまた、勇者ハロン達は僕の冒険者生活の足を引っ張ろうとするだろう。
ここできっぱりと決着をつけ、清算する。
むしろキキとカカだけでなく、勇者ハロンも一緒に挑んできてほしいくらいだ。
「やります。この2人との因縁を、ここですっぱり切ります!」
「良いお返事です♪」
リエルさんが獰猛な笑みを浮かべて手をパァン! と叩く。
「それでは双方、相手に何を求めるか教えてください。それが釣り合っているか私が判断し、公平な条件の決闘にします」
リエルさんがまるで天秤のように、僕とアルカ、キキとカカの両方に手のひらを差し出す。
「俺たちが要求するのは、ナットがパーティーに戻ってきて前と同じようにゴーレムのメンテナンスと雑用をこなすことだぜ!」
「別にお前に戻ってきてほしくなんかないんだけどな!」
と、また無茶苦茶な要求を突きつけるキキとカカ。
「僕は、この2人がもう2度と僕とアルカにかかわってこないこと、を要求します」
「……ふむ、これでは釣り合いませんねぇ」
リエルさんが手でつくる天秤が、大きくキキとカカ側に傾く。
「キキさんカカさん。あなた達は、ナットさんの言い分を全く聞かずにパーティーから追放し、自分たちが困ると戻ってこいと言う。
道理が通らない要求を吹っ掛けているのをご自覚くださいね~?」
リエルさんは、これまでの僕らの事情を全て把握している。おちゃらけた雰囲気だが底が知れない。
だが、公平な判断はしてくれている。信頼はできるだろう。
「一方のナットさんの言い分は至極全うなものです。これ以上自分に迷惑を掛けるな、というのは当然の権利です。要求としては、あまりに軽い」
キキとカカの要求が重いから、天秤があちら側に倒れているのか。
「更に、ナットさんの隣にいる少女はナットさんが作ったゴーレム。なのでナットさん自身の戦力とカウントされます~。
つまり、キキさんとカカさん2人VSナットさん1人、となるわけですね。
有利な条件で挑んでいる分、キキさんとカカさんはナットさんより多くのものを賭けなければなりませんね~?」
天秤がさらにキキとカカ側に傾く。
「「ええ!? その女の子ゴーレムなのか!?」」
驚くキキとカカを無視してリエルさんは続ける。
「公平な条件にするために、とりあえずお金でも賭けてもらいましょうか~? キキさんカカさん、追加で”金貨300枚”賭けてもらいます」
「「き、金貨300枚だって!?」」
とんでもない金額に僕も驚く。
繰り返しになるが、一般職の市民が稼ぐ月収が金貨1枚と言われている。
それが300枚。途方もない金額だ。数十年何もしないで暮らせるぞ。
「そ、そんな大金を賭けさせるんですか……?」
「ええ。冒険者ギルド本部所属の私が計算した金額に狂いはありません。ナットさんはもっと、自分の力の凄さを自覚したほうがいいですよ♪」
「「俺たちそんな金払えねぇよ! 今金貨130枚しか持ってねぇ!」」
キキとカカが猛抗議する。
「では仕方ないですねぇ~。今払えるだけのお金に加えて、”明後日完成する予定のお2人のマイホーム”、これを賭けて下さい」
「「ええ、俺たちのマイホームを!?」」
キキとカカが家を建てようとしているというのは、僕も初めて知った。
この人は本当に、どこまで下調べしているんだ。
「ええ、それでやっと釣り合いが取れます。さぁ、どうしますか?」
リエルさんがキキとカカの顔を覗き込む。流石のキキとカカもびびって”賭ける”とは決断できない。
「ふざけるな、せっかく貯金して建てたマイホームを、なんで賭けなきゃいけないんだ」
「兄者の言うとおりだ、ナットが戻ってくる程度じゃ釣り合わねぇぞ!」
「もしかしてお2人、マスターと私に負けるのが怖いのですか?」
アルカが2人を挑発する。こんなに好戦的なのは珍しいな。
(あの2人はマスターを馬鹿にしました。マスターのゴーレムとして、絶対に許せません)
アルカが小声でつぶやく。
好戦的なのはよくないが、僕のために心底怒ってくれるのは嬉しい。
「「だ、誰がビビるかよ! 俺たちが負けるわけねえだろうが! マイホームだろうが全財産だろうが命だろうが何だって賭けてやるぜ!!」」
キキとカカが怒鳴る。
「では、決闘成立ということでいいですね~? 勝負は明日の正午、市民闘技場にて行います! 両者とも、全力を尽くしてくださいね」
リエルさんの口元にはまたいたずらっぽい笑みが浮かんでいた。
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