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第41話 ゴーレム技師、ダンジョンのモンスターを1回の探索で全滅させる
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勇者ハロンとの決闘から2日後。
僕とアルカは、あるクエストを受注していた。
シルバー級からゴールド級に上がるには、貢献度ポイントと昇格試験が必要だ。
そしてゴールド級からプラチナ級に上がるためには、プラチナ級にふさわしい実力があると証明する推薦状があればよい
その推薦状も、既にリエルさんからもらっている。
つまり、あとはポイントを稼いで昇格試験に受かれば、一気にプラチナ級に上がれる。
そのためにこのダンジョンにやってきた。
B級ダンジョン、メレウスの洞窟。
このダンジョンに生息しているモンスターは、ゴブリンだ。
ゴブリンとは小型モンスターの1種だ。姿は人間に近いが、肌は緑色。大きさは子供くらい。
道具を扱う知恵があるうえに、明確に人間に敵意を持っているモンスターなので非常に危険だ。
定期的にゴブリンの数を減らさないと集団で人間の町を襲いに来るので、冒険者ギルドでは常にゴブリンの討伐クエストを募集している。
このダンジョン攻略のために、僕は新しい技術を開発した。
それは、魔石の魔力を使ってインスタントゴーレムを動かす方法だ。
これまで、インスタントゴーレムの魔力は全て僕の魔力で賄ってきていた。
しかし今回は、あらかじめ用意した、モンスターからとれる魔石の魔力でインスタントゴーレムを動かす。
ゴブリン討伐のために大型インスタントゴーレム30体、小型インスタントゴーレム20体を用意した。
小さな町なら潰してしまえるほどの一大戦力だ。
「よし、行こう!」
僕たちは、洞窟の分岐の一つに突入する。
ゴブリンには、陣形を組むだけの知恵がある。
今回も、弓を持ったゴブリンが後ろの高台に陣取り、剣や棍棒を持ったゴブリンが前衛にいる。
普通に戦えば、前衛に足止めされている間に矢の攻撃を浴びせられてしまうだろう。
だが、そうはいかない
「後衛はお任せ下さい、マスター!」
戦乙女形態になったアルカと聖剣バーレスクが合わされば、前衛のゴブリンなど敵ではない。
一気にゴブリンの戦線を突き破り、高機動力で矢をかわしながらゴブリンの後衛部隊のもとへ斬りこんでいく。
後衛ゴブリン達では、戦乙女形態のアルカに手も足も出ない。
嵐の中の枯れ葉のように、あっという間に蹴散らされていく。
前衛の剣や棍棒をもったゴブリン達がアルカの方へ向かう。だが、そうすると僕らの主戦力である大型ゴーレム達に背中を見せることになる。
大型ゴーレムとアルカ、どちらに対処するべきか迷っているゴブリン達を、大型ゴーレムが蹴散らしていく。
ゴブリンたちはパニックになり、洞窟の小さい横穴に逃げ込んでいく。だが、ミニゴーレムが手分けして穴の中に潜っていき、撃破する。
僕の指示で、ゴーレムたちがゴブリン達を片端から倒していく。順調だ。
1つの分岐路のゴブリンを倒し終えたら、その道は土木工事で完全にふさぐ。そして、次の道へ。
こうすることで、ゴブリンがまたその道に逃げ込むことを防げる。
僕の指示で、倒したゴブリンから魔石を回収する。
この魔石を砕いて魔力に変換することで、ある程度はゴーレムを動かす魔力がまかなえる。足りない分の魔石は、街で買い込んでおいた。
今回は事前に大量に魔石を買ったので、報酬金をもらっても、収支はプラスマイナスゼロになってしまう。
急ぎで貢献度ポイントを稼がなくてはならないので、仕方ない。
「ここから先は、誰も踏み込んだことがない領域だ。警戒していこう」
「了解です、マスター」
僕たちは慎重に、洞窟の未踏破領域をゴブリンを倒しながら進んでいく。
探索は1日では終わらないので、ゴーレムに簡易的なキャンプを作らせてそこで寝る。
魔力さえ供給すればアルカは睡眠が必要ないので、僕が寝ている間はアルカとゴーレムに見張りをしてもらった。
そして翌日、僕たちはついに再奥地にある大広間にたどり着いた。
そこは他とは違う、異質な空間だった。
石でできた壇があり、その中心には玉座のようなものが設置されている。
玉座に座るのは、ゴブリンキング。
普通のゴブリンは人間よりも小柄なのだが、ゴブリンキングは普通の人間より遥かに大きい。体長3メートルはあるのではなかろうか。
僕が普段使うインスタントゴーレムと同じくらいの体格だ。
”ゲナ・エベカ! レレソコレソ!”
ゴブリンキングが何か叫ぶと、部屋の奥から武装したゴブリン達が出てくる。
そして、僕らに突撃してきた。
「アルカはゴブリンキングを! インスタントゴーレム達は邪魔が通常のゴブリンたちを蹴散らせ!」
「了解しました!」
アルカが聖剣バーレスクの能力で加速、一気にゴブリンキングとの間合いを詰める。
そして――
「【ミリオンスラスト】!」
聖剣バーレスク無しで、アルカは勇者の技【サウザンドスラスト】を再現した。
そこへ、聖剣バーレスクの力を合わせて新たに編み出したアルカの必殺技が【ミリオンスラスト】だ。
1秒間に34連撃という常識外れの速度で敵を切り刻む。
【ミリオンスラスト】を受けたゴブリンキングは、防御に使った大剣ごとばらばらになった。
どころか、後ろにあった石製の玉座も粉みじんになっている。
ボスを失ってパニックになるゴブリンたちを、インスタントゴーレム達が撃破していく。
こうして、メレウスの洞窟のゴブリンたちは全滅した。
――――
「ナットさんは毎回、私たちの予想を更に超えて来ますよねぇ」
冒険者ギルドで、受付のお姉さんに呆れられながら僕はクエストの完了報告をする。
「もちろん、これだけの偉業を達成すれば昇格のための貢献度ポイントは十分です」
「と、いうことは――」
「はい。ナットさん、明日のゴールド級への昇格試験に合格すればゴールド級へ昇格、推薦状があるのでそのままさらに次のプラチナ級へ昇格です」
僕とアルカは、あるクエストを受注していた。
シルバー級からゴールド級に上がるには、貢献度ポイントと昇格試験が必要だ。
そしてゴールド級からプラチナ級に上がるためには、プラチナ級にふさわしい実力があると証明する推薦状があればよい
その推薦状も、既にリエルさんからもらっている。
つまり、あとはポイントを稼いで昇格試験に受かれば、一気にプラチナ級に上がれる。
そのためにこのダンジョンにやってきた。
B級ダンジョン、メレウスの洞窟。
このダンジョンに生息しているモンスターは、ゴブリンだ。
ゴブリンとは小型モンスターの1種だ。姿は人間に近いが、肌は緑色。大きさは子供くらい。
道具を扱う知恵があるうえに、明確に人間に敵意を持っているモンスターなので非常に危険だ。
定期的にゴブリンの数を減らさないと集団で人間の町を襲いに来るので、冒険者ギルドでは常にゴブリンの討伐クエストを募集している。
このダンジョン攻略のために、僕は新しい技術を開発した。
それは、魔石の魔力を使ってインスタントゴーレムを動かす方法だ。
これまで、インスタントゴーレムの魔力は全て僕の魔力で賄ってきていた。
しかし今回は、あらかじめ用意した、モンスターからとれる魔石の魔力でインスタントゴーレムを動かす。
ゴブリン討伐のために大型インスタントゴーレム30体、小型インスタントゴーレム20体を用意した。
小さな町なら潰してしまえるほどの一大戦力だ。
「よし、行こう!」
僕たちは、洞窟の分岐の一つに突入する。
ゴブリンには、陣形を組むだけの知恵がある。
今回も、弓を持ったゴブリンが後ろの高台に陣取り、剣や棍棒を持ったゴブリンが前衛にいる。
普通に戦えば、前衛に足止めされている間に矢の攻撃を浴びせられてしまうだろう。
だが、そうはいかない
「後衛はお任せ下さい、マスター!」
戦乙女形態になったアルカと聖剣バーレスクが合わされば、前衛のゴブリンなど敵ではない。
一気にゴブリンの戦線を突き破り、高機動力で矢をかわしながらゴブリンの後衛部隊のもとへ斬りこんでいく。
後衛ゴブリン達では、戦乙女形態のアルカに手も足も出ない。
嵐の中の枯れ葉のように、あっという間に蹴散らされていく。
前衛の剣や棍棒をもったゴブリン達がアルカの方へ向かう。だが、そうすると僕らの主戦力である大型ゴーレム達に背中を見せることになる。
大型ゴーレムとアルカ、どちらに対処するべきか迷っているゴブリン達を、大型ゴーレムが蹴散らしていく。
ゴブリンたちはパニックになり、洞窟の小さい横穴に逃げ込んでいく。だが、ミニゴーレムが手分けして穴の中に潜っていき、撃破する。
僕の指示で、ゴーレムたちがゴブリン達を片端から倒していく。順調だ。
1つの分岐路のゴブリンを倒し終えたら、その道は土木工事で完全にふさぐ。そして、次の道へ。
こうすることで、ゴブリンがまたその道に逃げ込むことを防げる。
僕の指示で、倒したゴブリンから魔石を回収する。
この魔石を砕いて魔力に変換することで、ある程度はゴーレムを動かす魔力がまかなえる。足りない分の魔石は、街で買い込んでおいた。
今回は事前に大量に魔石を買ったので、報酬金をもらっても、収支はプラスマイナスゼロになってしまう。
急ぎで貢献度ポイントを稼がなくてはならないので、仕方ない。
「ここから先は、誰も踏み込んだことがない領域だ。警戒していこう」
「了解です、マスター」
僕たちは慎重に、洞窟の未踏破領域をゴブリンを倒しながら進んでいく。
探索は1日では終わらないので、ゴーレムに簡易的なキャンプを作らせてそこで寝る。
魔力さえ供給すればアルカは睡眠が必要ないので、僕が寝ている間はアルカとゴーレムに見張りをしてもらった。
そして翌日、僕たちはついに再奥地にある大広間にたどり着いた。
そこは他とは違う、異質な空間だった。
石でできた壇があり、その中心には玉座のようなものが設置されている。
玉座に座るのは、ゴブリンキング。
普通のゴブリンは人間よりも小柄なのだが、ゴブリンキングは普通の人間より遥かに大きい。体長3メートルはあるのではなかろうか。
僕が普段使うインスタントゴーレムと同じくらいの体格だ。
”ゲナ・エベカ! レレソコレソ!”
ゴブリンキングが何か叫ぶと、部屋の奥から武装したゴブリン達が出てくる。
そして、僕らに突撃してきた。
「アルカはゴブリンキングを! インスタントゴーレム達は邪魔が通常のゴブリンたちを蹴散らせ!」
「了解しました!」
アルカが聖剣バーレスクの能力で加速、一気にゴブリンキングとの間合いを詰める。
そして――
「【ミリオンスラスト】!」
聖剣バーレスク無しで、アルカは勇者の技【サウザンドスラスト】を再現した。
そこへ、聖剣バーレスクの力を合わせて新たに編み出したアルカの必殺技が【ミリオンスラスト】だ。
1秒間に34連撃という常識外れの速度で敵を切り刻む。
【ミリオンスラスト】を受けたゴブリンキングは、防御に使った大剣ごとばらばらになった。
どころか、後ろにあった石製の玉座も粉みじんになっている。
ボスを失ってパニックになるゴブリンたちを、インスタントゴーレム達が撃破していく。
こうして、メレウスの洞窟のゴブリンたちは全滅した。
――――
「ナットさんは毎回、私たちの予想を更に超えて来ますよねぇ」
冒険者ギルドで、受付のお姉さんに呆れられながら僕はクエストの完了報告をする。
「もちろん、これだけの偉業を達成すれば昇格のための貢献度ポイントは十分です」
「と、いうことは――」
「はい。ナットさん、明日のゴールド級への昇格試験に合格すればゴールド級へ昇格、推薦状があるのでそのままさらに次のプラチナ級へ昇格です」
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