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第42話 ゴーレム技師、昇格試験に挑む
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ゴブリンたちを全滅させた翌日。
僕とアルカは、ゴールド級への昇格試験を受けに、街の外れにある冒険者ギルドの支部に来ていた。
冒険者試験を受けに来た時と同じ場所だ。
今日の試験内容は、実技試験、筆記試験、応急処置実技試験の3つ。
すべての試験で合格点以上を出せれば、ゴールド級へ昇格できる。
「では、早速第1試験の説明を始める」
試験監督は、前回の冒険者試験の時と同じ人がつとめている。
「試験内容は冒険者登録試験と同じ、ターゲットの破壊試験だ」
「はい、頑張ります! あれから僕もアルカも強くなりました。今度は、前の半分の時間で全部のターゲットを破壊してみます」
「いや、やらんでいい」
!?
「この試験の合格ラインは、時間内にターゲットを半分破壊することだ。
ナット君は前回の試験で合格ラインの倍の数字を出している。今更テストは不要だ。
というか、直すのが大変だからやりたくない!」
やりたくないと言われてしまった。
「というわけで、第1試験はパス。第2試験へ移る」
第2試験は筆記試験。冒険者の心構え、モンスターの知識、ダンジョン内でのサバイバル知識、などなど。冒険者にとって必要なさまざまな知識が出題される。
「――そこまで! では、採点に移る」
なんとか9割は取れたんじゃなかろうか。勇者パーティー時代に色々と勉強したので、こういうのは得意だ。
「採点の結果、文句なしに合格だ。おめでとう。それでは、最後の試験に移る」
最終試験の内容は、ヒール魔法を使わない治療だ。
最終試験を行う部屋の中央には、ベッドがおかれている。
そこに、呻いている男性が横たわっている。
「こちらが、今回の患者だ。魔法で疑似的に症状を作り出している」
男性は顔が赤くなっており、大量の汗をかいている。とても苦しそうだ。
「この患者の想定状況は、A級ダンジョン”バルエル火山”の奥地。症状は見ての通り発熱と発汗」
試験監督さんがシチュエーションを説明していく。
「このダンジョンでは有毒ガスが発生している。毒を持つモンスターも、エビルスネーク、ポイズンスネーク、マッドスネークの3種類が生息している。この患者の症状を正しく分析して、治療してくれ。薬や水は、隣の机に並べてある」
回復の魔法が使える持つヒーラーがいればどの毒でも簡単に解除できる。しかし、薬で毒を治すには知識がいる。
間違えた薬を投与すると、かえって悪化することもある。
僕はじかに触れて、患者役の症状を確認する。
……妙だ。
有毒ガスやモンスターの毒とは、微妙に症状が違う。
まさか、新種の毒を持つモンスターか?
いや、そんなものを出題するはずがない。
……そうか、分かった。
僕は、薬ではなく机の上から水の入った革袋を手に取る。
そして、水を患者の上に掛ける!
「マスター、一体何を!?」
僕は水を口元にも運んで患者に飲ませる。
「……ダンジョンに住んでいる蛇モンスターの情報や、解毒剤は引っ掛けですね。この症状は単なる”熱中症”です。体を冷やし、水分と塩分を取って安静にしていれば回復するでしょう」
……試験監督が、ゆっくりとうなづく。
「見事だ。よくぞ見抜いた、ナット君。これは、よくある事故だ」
試験監督さんが、拍手しながら言う。
「毒を持つモンスターがいるダンジョンだから、単なる熱中症を毒と勘違いして治療する。基本を忘れてしまったためにこういうことが起きる。
この試験は、基本を忘れるなという、冒険者ギルドからのメッセージでもある。
合格おめでとう、ナット君」
僕は試験監督さんから差し出された、プラチナ級冒険者のライセンスを受け取った。
僕とアルカは、ゴールド級への昇格試験を受けに、街の外れにある冒険者ギルドの支部に来ていた。
冒険者試験を受けに来た時と同じ場所だ。
今日の試験内容は、実技試験、筆記試験、応急処置実技試験の3つ。
すべての試験で合格点以上を出せれば、ゴールド級へ昇格できる。
「では、早速第1試験の説明を始める」
試験監督は、前回の冒険者試験の時と同じ人がつとめている。
「試験内容は冒険者登録試験と同じ、ターゲットの破壊試験だ」
「はい、頑張ります! あれから僕もアルカも強くなりました。今度は、前の半分の時間で全部のターゲットを破壊してみます」
「いや、やらんでいい」
!?
「この試験の合格ラインは、時間内にターゲットを半分破壊することだ。
ナット君は前回の試験で合格ラインの倍の数字を出している。今更テストは不要だ。
というか、直すのが大変だからやりたくない!」
やりたくないと言われてしまった。
「というわけで、第1試験はパス。第2試験へ移る」
第2試験は筆記試験。冒険者の心構え、モンスターの知識、ダンジョン内でのサバイバル知識、などなど。冒険者にとって必要なさまざまな知識が出題される。
「――そこまで! では、採点に移る」
なんとか9割は取れたんじゃなかろうか。勇者パーティー時代に色々と勉強したので、こういうのは得意だ。
「採点の結果、文句なしに合格だ。おめでとう。それでは、最後の試験に移る」
最終試験の内容は、ヒール魔法を使わない治療だ。
最終試験を行う部屋の中央には、ベッドがおかれている。
そこに、呻いている男性が横たわっている。
「こちらが、今回の患者だ。魔法で疑似的に症状を作り出している」
男性は顔が赤くなっており、大量の汗をかいている。とても苦しそうだ。
「この患者の想定状況は、A級ダンジョン”バルエル火山”の奥地。症状は見ての通り発熱と発汗」
試験監督さんがシチュエーションを説明していく。
「このダンジョンでは有毒ガスが発生している。毒を持つモンスターも、エビルスネーク、ポイズンスネーク、マッドスネークの3種類が生息している。この患者の症状を正しく分析して、治療してくれ。薬や水は、隣の机に並べてある」
回復の魔法が使える持つヒーラーがいればどの毒でも簡単に解除できる。しかし、薬で毒を治すには知識がいる。
間違えた薬を投与すると、かえって悪化することもある。
僕はじかに触れて、患者役の症状を確認する。
……妙だ。
有毒ガスやモンスターの毒とは、微妙に症状が違う。
まさか、新種の毒を持つモンスターか?
いや、そんなものを出題するはずがない。
……そうか、分かった。
僕は、薬ではなく机の上から水の入った革袋を手に取る。
そして、水を患者の上に掛ける!
「マスター、一体何を!?」
僕は水を口元にも運んで患者に飲ませる。
「……ダンジョンに住んでいる蛇モンスターの情報や、解毒剤は引っ掛けですね。この症状は単なる”熱中症”です。体を冷やし、水分と塩分を取って安静にしていれば回復するでしょう」
……試験監督が、ゆっくりとうなづく。
「見事だ。よくぞ見抜いた、ナット君。これは、よくある事故だ」
試験監督さんが、拍手しながら言う。
「毒を持つモンスターがいるダンジョンだから、単なる熱中症を毒と勘違いして治療する。基本を忘れてしまったためにこういうことが起きる。
この試験は、基本を忘れるなという、冒険者ギルドからのメッセージでもある。
合格おめでとう、ナット君」
僕は試験監督さんから差し出された、プラチナ級冒険者のライセンスを受け取った。
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