【2章完結】超古代技術【ゴーレム】を扱える世界唯一の少年、不当に勇者パーティを追放されるが、戦闘も農業も全自動化し、世界最強に成りあがる!!

音速炒飯

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第45話 ゴーレム技師、四天王を名乗る勇者候補を撃破する

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 ナットの作った砦から、少し離れたテント。

 そこでは4人の勇者候補が話し合っていた。

 長い髪の青年、索敵のナッシュ。

 妖艶な若い女、幻惑のナルタリア。

 腕が太い巨漢、怪力のウォズ。

 そしてリーダーを務めるメガネを掛けた青年、知恵のリッド。

 4人は同じ街の出身で、街の冒険者からは尊敬の念を込めて”四天王”と呼ばれている

「では、あの砦の攻略法を考えるとしよう」

 そういったのは、知恵のリッドだ。

「あの砦は、切り立った崖の上に建っている。崖と反対側には分厚い防壁。そして、壁の中には幾つか塔が立っている。

 崖側から侵攻するのはほぼ不可能。

 防壁を壊すか登るかすれば、恐らく塔から遠距離攻撃を受ける。と、普通は考える」

 知恵のリッドが冷静に状況を分析していく。

「あれだけの建築物を1日で用意するには、土属性の魔法使いが最低でも10人は必要だ。だが、逆に言えばあの砦の中には土属性の魔法使いしかいない。

 砦の中に火炎魔法使いや剣士や自立行動する使い魔がいるなら勝ち目はないが、土属性の魔法使いしかいないなら恐れることはない。

 地面を使った土属性魔法にだけ気を付ければ、楽勝だ」

 リッドの分析に、他の四天王が頷く。

「よし、任せろけリーダー。俺が正面からぶっ壊してきてやる」

 ずしん、と重い音を立てて怪力のウォズが立ち上がる。背中には無骨なハンマーを背負っていた。

「ウォズ1人で片が付くだろうが、念のためナッシュもついていってくれ」

「了解した」

 こうして怪力のウォズと索敵のナッシュが砦に向かった。

「2,3時間もすればいい知らせが聞けるだろう。それまで私は、ほかの勇者候補を倒す策でも練っているとしよう」

「頼りにしてるわよ、リーダー」

――――10分後。

「大変だリーダー、ウォズがやられた!」

 血相を変えた索敵のナッシュがキャンプに飛び込んできた。

「何だと?」

 しかし、リーダーである知恵のリッドは動揺していない。

「ふん、あの筋肉馬鹿……どうせ、リミッターを外す前に負けたんだろう? 力を出し惜しみするのがあいつの悪い癖だ」

 怪力のウォズは、日常生活で物をよく壊してしまうため、筋力を抑える魔法のかかったベルトを普段から着けていた。

 しかし、

「いや、ちゃんとリミッターは外していた。そのうえで、1対1の決闘で負けたんだ」

「嘘だろ!?」

 ここで初めて、知恵のリッドが動揺した。

「しかも、遠距離攻撃魔法とかではなく、剣を使う相手に近接戦で負けた。”アルカ”と名乗る少女が砦から出てきて決闘したんだが、パワーも技もスピードも、全てウォズより上だった」

「そうか。とんでもない化け物もいたものだ。だがウォズは我ら四天王の中でも1番……1番強かったんだが……どうしよう……」

「ああ、あいつが1番強かったぜ……」

「強かったわよねぇ……」

 テントの中は、重苦しい空気になった。

「認めよう。その”アルカ”という少女は、桁違いに強い。だが、正面から戦わなければ勝ち目はある。3時間くれ。何か策を考える」

「それがリーダー、実はウォズの足跡を辿って、土でできた使い魔たちがこのキャンプに迫ってる。多分あと5分くらいでここへ着くと思う」

「それを先に言えー!」

 3人になった四天王が、荷物を抱えて慌ててテントを飛び出す。

 しかし、テントの周りは既にゴーレムと達によって包囲されていた。

「御覧のように、包囲は完成しています。覚悟してください」

 ゴーレムたちの中から、戦乙女形態ヴァルキリーモードのアルカが歩み出てくる。

「絶対絶命、というやつだな。こうなれば私にも考えがある」

 知恵のリッドは、不敵な笑みを浮かべる。

「この状況から、どうするというのですか?」

「”こう”するのさ」

 知恵のリッドは、自分のクリスタルを手に取り、破壊した。

「選抜試験では、クリスタルを破壊されたものは失格となる。そのルールを利用させてもらった。君たちと戦って怪我をして負けるくらいなら、戦わずに無傷で撤退したほうが良いという判断だ」

「あの、それはつまり降参しただけなのでは」

「降参と戦略的撤退は違うさ」

「そうだとしても、それは降参ですよね?」

 四天王の残りのメンバーも、自分のクリスタルを破壊する。

「では、我々はこれで失礼するよ。私たちの持っていた物資は好きにするといい。君たちの健闘を祈っているよ」

 そういって颯爽と四天王たちは去っていった。
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