【2章完結】超古代技術【ゴーレム】を扱える世界唯一の少年、不当に勇者パーティを追放されるが、戦闘も農業も全自動化し、世界最強に成りあがる!!

音速炒飯

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第44話 ゴーレム技師、勇者選抜試験に挑む

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 ついに、この時が来た。

 僕とアルカは、普段活動している街から大分離れた田舎の山に来ていた。

 ここにある小さな冒険者ギルドの支部で、いよいよ勇者選抜試験が行われる。

「凄いな、みんな迫力がある」

「街で見かける冒険者とは明らかにレベルが違いますね、マスター」

 会場に集まっているのは猛者達。この中の誰もが勇者たりえる実力を持っているのだ。

 装備、体格、感じる圧。どれをとっても、普段見ている冒険者とは格が違う。

「時間だな。では、これより選抜試験のルールを説明する」

 貫禄ある声が響く。僕たち受験者の前に、鋭い雰囲気をまとった老人が現れた。

「私の名は冒険者ギルド本部所属、マキオス。今回の選抜試験の監督をつとめさせてもらう」

 マキオスだって!?

 元第1位の勇者じゃないか!!

 勇者は大抵、ダンジョン探索の途中で力尽きてその生涯を閉じる。

 だが、マキオスは現役無敗。仲間を一度も失うことなく、勇者としてダンジョンに挑み続けた。

 歳で引退してしまったが、凄まじい圧を感じる。きっと今でも実力は現役勇者と遜色ないだろう。

 まさに、生きる伝説。

 そんな大物を生で見れるなんて、何という幸運だろう!

 これだけでこの選抜試験に参加した甲斐があったというものだ。

「では、選抜試験のルールを説明しよう。前回までは、1対1のトーナメント形式で戦ってもらい勇者を決めたが、今年は違う。受験者には、これを首から下げてもらう」

 マキオスが取り出したのは、小さなクリスタル。首から下げられるようになっている。

「他の受験者のクリスタルを破壊し、最後の1人にまで生き残った者が勇者だ。あとは、受験者を殺してはならない。これだけがルールだ。あとは、好きにやるとよい」

 試験補佐官たちが、受験者たちにクリスタルとリュックを配っていく。

「試験会場に持ち込める物資は、装備品以外はそのリュックのみ! 中には1週間分の食料と水が入っている。足りなければ、現地で調達するなり奪うなり自由にやるとよい。

 試験会場は、ここらの山一帯! 一般人は寄り付かない土地だ、自由に暴れてよし!

 受験者全員、全霊を尽くして臨め!」

 マキオスが活を入れると、受験者全員の雰囲気が引き締まる。僕も高揚で手が震えてきた。

「アルカ、僕たちも頑張ろう!」

「やりましょう、マスター!」

――――

 そして、試験開始の翌朝。

「なんとか夜明けには間に合ったな……!」

「見事です、マスター」

 僕はゴーレムを総動員して、小さな砦を完成させていた。
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