【2章完結】超古代技術【ゴーレム】を扱える世界唯一の少年、不当に勇者パーティを追放されるが、戦闘も農業も全自動化し、世界最強に成りあがる!!

音速炒飯

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【ざまぁ回】第55話 黒幕、1週間、馬車馬のように雑用をさせられる羽目になる

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 ゴーレム研究院の本部は、首都にほど近い街にある。

 というより、街1つが丸ごとゴーレム研究院の施設になっていた。

 この街に住むのは、ゴーレム研究院に所属する研究者か、研究者の生活を支えるための衣食住に関する仕事をしている者である。

 そして、街の中央にある、ひときわ大きい塔。

 その最上階に、ボイルは呼び出されている

 呼び出したのは、ゴーレム研究院の院長。紗幕の奥にいて姿は見えない。

 そして、部屋の中央にボイルは正座していた。

「さて、ボイル。ナットに直接対決を挑み、我がゴーレム研究院に引き込む作戦は失敗したらしいな?」

 紗幕の奥から、院長の低い声が響く。

「は。申し訳ございません。失敗しました」

 額に汗をかきながらボイルは答える。

「ゴーレム対決で完全敗北。ゴーレム研究院の名を汚したと」
「はい、完全敗北しました」

「しかも聞いたぞ? 甲冑を被ってゴーレムのフリをしたらしいな」
「はい、ゴーレムのフリをしました」

「そして、貴重な研究資料である卵を、賭けで奪われたと」
「はい、卵を奪われました……。申し訳ありません」

 地面に頭をこすりつけてボイルは謝る。背中には冷や汗がダラダラと流れていた。

「いや、面白い」
「へ?」

「自分自身がゴーレムになるというそのアイデア、面白いじゃないか」
「あ、ありがとうございます……?」

 思っていたのと違う反応に、ボイルは混乱する。

「ボイル、お前はゴーレムになれ」

 部屋の扉を開けて、1人の低い階級の研究員が木製の札を持ってきた。

 札には、『私はゴーレムです。皆さんのいうことをなんでも聞きます』と書かれていた。

「ボイル、お前は1週間、ゴーレムだ。その札を首からかけて、周りの人間の命令を聞け。それが終わったら、次の作戦に移ることを許可してやる」
 
 研究員がボイルの首から紐で札をぶら下げる。

「おいゴーレム、肩を揉めよ」

 突然、下っ端研究員が言い放つ。

「なに!? 貴様、下っ端の分際で、俺に命令だと?」

 目下に偉そうに命令されたボイルが、顔を真っ赤にして怒る。

 だが、

「なんだボイル? お前はゴーレムのくせに口応えするのか?」

 院長に聞かれて、言い返せない。

「そこの君。いうことを聞かないゴーレムは、どうするべきかなぁ?」

「不良品でございますね。土に分解して庭にでも撒くのが妥当な処置かと思います」

 こうなってはボイルは黙るしかなかった。

 命令されるまま、ボイルは下っ端研究員の肩をもむ。

 指が痛くなるまで肩をもんだところで、ようやく解放される。

「では、これで失礼します」

 ボイルは部屋を立ち去ろうとする。

(おのれぇ! これもすべて、あのクソガキ、ナットのせいだ! 1週間経ったら、更に綿密な作戦を立てて、貴様を今度こそ陥れてやる!)

 などと考えながら扉を開けるボイル。

 扉を開けると、行列ができていた。

「これは、一体……」

「みんなゴーレムに命令してみたくってワクワクしてるんだ」

 並んでいるのは、全てボイルの知っている、ボイルより下の立場の研究員や清掃員だった。

「今日から1週間、ボイルはゴーレムなんだって? 代金渡すから、昼飯のサンドイッチ買ってこいよ」
「私は畑の手入れをお願いしに来たの」
「通りの掃除をしておいて」
「退屈だから面白い話してよ」

 次々に仕事を言い渡されるボイル。

 こうしてボイルは、1週間下の立場の人間にこき使われまくった。
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