【2章完結】超古代技術【ゴーレム】を扱える世界唯一の少年、不当に勇者パーティを追放されるが、戦闘も農業も全自動化し、世界最強に成りあがる！！

音速炒飯

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第2章　S級ダンジョン攻略編

第６２話　ゴーレム技師、過去最大の強敵【階層守護モンスター】と対峙する

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　２層へ向かう僕たちの行く手を、早速モンスターが阻む。

　キラースコーピオン。最奥到達地点に来る途中にも遭遇した、巨大なサソリだ。

「もう傷は快復しましたニャ。ここはボクにまかせてほしいニャ」

　武器の棍棒を振り上げて、マロンが突撃する。

”ガキィン！”

　キラースコーピオンのハサミと棍棒が激突、火花を散らす。

　小さい身体ながら、マロンは棍棒でキラースコーピオンの素早い攻撃を全てさばく。見事だ。

　だが――

「危ない！」

　キラースコーピオン毒針がマロンさんに直撃。ティースプーン１杯分で人間を１０人殺せると言われている猛毒がマロンの体にたっぷりと注がれる。

　普通なら即死なのだが……。

「なんのこれしきニャ！」

　マロンは即死どころか苦しむ素振りすらなく、棍棒で反撃する。渾身の一撃が、尻尾を引きちぎる。

”ダンッッ！”

　マロンさんの姿がかき消える。

「必殺、【トライアングルスマッシュ】ニャ！」

”ダン、ダンッッッ！！！”

　マロンが猛スピードで樹に向かってジャンプし、その樹を蹴りつけてジャンプ。三角跳びの勢いを全て棍棒に乗せて叩き込む。

　その破壊力は、強固なキラースコーピオンの頭を甲殻ごとぺしゃんこにする程だった。

「凄い、プラチナ級……いや、近接戦闘だけなら聖剣バーレスク無しの勇者ハロンに匹敵するかもしれない」

　キャト族はこんな凄い人ばかりなのだろうか。

　考えてみれば、ここは強力なモンスターがひしめくS級ダンジョン。生き抜くためには、これくらいの強さは必要なのだろう。

　それにしても、見た目によらないなぁ……。

　その時、樹が倒れる音がした。重い足音が近づいてくる。

「マスター、また敵です。今度は私が相手をしますね」

　現れたのは、凶悪なモンスター【ガーゴイル】。翼を持つ、動く石像だ。

　防御力、攻撃力共にキラースコーピオンを遥かに上回る。

「アルカ様、あれは強敵ですニャ。お１人では危険ですニャ」

「問題ありません。【ミリオンスラスト】！」

　アルカの超高速の斬撃が、ガーゴイルの石の体を切り刻む。

「おおおお！　お見事です！　流石アルカ様！」

　マロンは興奮して飛び上がりながら手を叩いていた。

　アルカとマロンが協力して、道中のモンスターを蹴散らしていく。

　道中、樹が塞いでいたり落石で塞がれたりしていて、マロンさんには通れても人間には進みにくい道もあった。そういう時は、ガレックが壊して切り開いていく。

「うはー！　凄いパワーですニャ。見ていて気持ちいい壊しっぷりですニャ。これだけの使い魔を操るナット様、やはりタダモノではないのですニャ」

　そうしてダンジョンを凄まじい速度で踏破していく。

　道が分かっているのと、マロンさんも戦闘に参加してくれるので進む速度がとても早い。

　約３時間後。

　何とか日が沈み始める前に、湖にたどり着けた。風で波が立っていて、湖面に光が反射する様がとても美しい。ここがダンジョンの中だということを忘れて、見入ってしまいそうだ。

「あそこですニャ！　あの島に仲間が取り残されているのニャ！」

　目を凝らすと、確かに湖の中央に島がある。

「持ち込んだ食料はあと２週間分くらいしかないのですニャ。それまでに、階層守護モンスターを倒してほしいのですニャ！」

　その時、ひときわ大きな波が立つ。湖の中で何か巨大なものが動いた。

　水面下を突き破り、灰色の生物が顔を出す。

　現れたのは、太くて長い首。そしてドラゴンの頭。

　見えているのは首から上だけだが、３階建ての建物よりもさらに高い。

　水中にある身体はぼんやりとしか見えないが、大きさからしてどうやら普通のドラゴンよりも首が長い体格のようだ。

　その姿は、遥か太古に滅びた水棲の【恐竜】にも似ていた。僕はあのドラゴンを、【首長竜メネストサウルス】と名づけることにした。

　メネストサウルスが、空に目を向ける。メネストサウルスの上空を、小型の飛竜――ワイバーンが飛んでいた。

　メネストサウルスが口を開き、攻撃態勢に入る。かなり離れた僕らの場所でも感じ取れるほどの凄まじい魔力が集中していく。そして、発射。

　ワイバーンが直前で攻撃に気付き、炎を吐く。アルカの火炎魔法に匹敵する火力だ。

　だが、メネストサウルスの口から放たれた冷気は、炎ごと一瞬でワイバーンを凍らせる。間違いなく即死だ。

　凍結したワイバーンが真っ逆さまに湖に落ちていき、着水。水柱をあげる。

　メネストサウルスは悠々と、凍ったワイバーンにかじりついていく。

「あれが階層守護モンスターですか……凄まじいです。残念ながら、今の私の火力ではとても真っ向から戦えません」

　アルカが、絶望的な声を出していた。

　アルカの考えは間違っていない。真っ向から戦うのはまず無理だ。

　しかし、僕には勝算があった。

　メネストサウルスの動きを封じ、有利な条件で戦うために……。

「よし、この湖の水、全部抜いちゃおう」

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