異世界少女が無茶振りされる話 ~異世界は漆黒だった~

ガゼル

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10.車軸の怪

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 また円形となり、火をたく。この日もまた無言で魔獣の警戒に当たる。たまに何かの遠吠えが聞こえるが、昼間に交替で睡眠を取っているので、昨夜ほどの緊張感はない。
 リンも寝ようとしたところ、リッカが声をかけてきた。
 『それにしても馬車がもろすぎるな。あのマーレの馬車の鉄の補強はわざとらしいし。何か小細工しているかもな』
 リンはシーマにリッカの言っていることを伝えた。
 シーマは頷くとランプを持って馬車の下に入って車軸を確認した。ランプの半分を黒い布で隠し、周りからは明かりが見えないようにするのを忘れない。
 そして軸受に少しの砂がこびりついているのを発見した。普通の人の半分の大きさしかないシーマだから発見できたような場所である。おそらく、軸受にぽつぽつとした細かい穴のようなものがあり、そこに砂や石がはさまって軸受をすり減らしているのだろう。そしてそのわずかにすり減ったことで車軸がぶれるようになって、石が多い道が続くと振動がより大きくなって折れるのだ。
 「この分だと最終日に各馬車の車軸はもう一回折れるわ。そこで修理と証拠隠滅というわけね」
 足しげくマーレの奴隷が各馬車の掃除をしていたのが思い出される。しかしマーレが何かをしていたという証拠はなく、軸受の単独修理は現時点で無理である。
 「マーレの売店で軸受は金貨三百だったわ」
 シーマはそう言ってため息をついた。 
 リンはそのような回答をもらうと、タロスに改めて車軸の値段交渉をしようとした。シーマはそれを制すると、カルネのところに相談に行くと言った。
 マーレと彼の奴隷が各馬車を行き来しているので、見つからないように自分が行ってくるという。リンはシーマを一人で行動させるのが不安であったが、この状況でシーマに危害を加えようとする者がいるとは思えない。
 リンが見守る中、シーマが巧みにマーレ一行の目をかいくぐり、カルネの御者に挨拶をしながらカルネのところにうまく潜り込んでいった。
 しばらくしてまたシーマが忍び出て馬車に戻ってきた。
 マーレの不正の証拠が見つけられたのだろうか?
 「状況証拠だけでは無理ね。とりあえず今日は寝ましょう」
 魔獣の遠吠えの中、単独行動したり平気で寝たりするシーマの胆力にリンはあきれるやら感心するやらであった。
 翌朝、六日目は最終日である。今日の夕方にはサベンテに到着すると思うと、皆の心は少し弾んでいた。
 そしてカルネは今日は余裕があるから明るいところでお互い最後の商売といこうかと言った。短い間だが、ティードの酒やジルの宝石、マーレの雑貨などが良く売れた。カルネの衣料やタロスの靴や帽子などはそれほど売れてはいない。
 しばらくしてカルネはサービスだと言ってここで売り出されている最も高価なものを買おうじゃないかと機嫌よく宣言した。
 販売されているもので最も高い値段だったのはやはり硬木で製作された車軸受けだった。金三百である。おお、と皆拍手をしてカルネを称えた。
 その後、カルネは出発時に馬車の順番を変更することを隊商に伝えた。
 カルネ隊、タロス隊、ジル隊、ティード隊、マーレ隊である。
 「最終日は少し順番を変えさせてもらった。まあ、私のわがままが入っているが、皆承知していただきたい」
 カルネの馬車が先頭で、最も目的地に近いので各馬車から文句が出る。自分だけ良ければいいのかとか、そのような声があちこちから聞こえる。
 最も強く抗議したのはマーレであった。
 「最終隊では私の隊が一番危険ではないか。今まで物資を供給してきたのに最終日にこの仕打ち。納得いく説明をいただこう」
 あちこちでそうだと言う声が聞こえる。
 「わかった。護衛を三人マーレ殿の馬車に配置しよう。それで文句はなかろう」
 カルネがすかさずそのようにマーレに告げる。
 「出発だ」
 有無を言わさずカルネは馬車を進め始めた。
 道はだいぶなだらかになっていたが、山道であり路面は荒い。道は右手が崖になってそびえており、左手は崖で下の方に川が流れている。
 そして想像していた通り、昼前にティードの馬車の車軸がまた折れたのだ。
 後方からの連絡を受けたカルネは笛を吹いて隊商全体を止めさせた。
 ティードは口をパクパクさせてマーレの方を見た。マーレは車軸を取り出そうとしていたが、その車軸には金貨四百枚の値札が付いていた。
 「いや、車軸が売り切れでしてね。もう車軸と車軸受けのセットしかないのです。単独で購入されるとそれぞれ金二百枚と三百枚ですから百枚のお得なんですよ」
 長く伸びた隊列をそのままにして護衛を伴ったカルネが駆け付けた時には商売人の笑顔でティードに迫るマーレの姿があった。ティードが泣きそうになりながらカルネとマーレの顔を交互に見ている。
 「マーレ殿、ティード殿にその車軸を売ったのは昨日だ。それが折れたからと今日また売るのは信義に反していないかね?」
 「いやいや、私も商人ですから。そしてこのように商売させていただいているのですよ。その車軸は不正なものではない一般的なものです。カルネ殿とは今後の道中も商売を継続したいので、ここは邪魔はしないでいただきたいのですが」
 カルネの抗議に対してマーレは一歩も引かない。奴隷が予約済みの字が書かれた札を先ほどの車軸セットに掛けた。暗に予約済みという名目でカルネの馬車には売り切れがありうるという脅しに近い行為だ。
 「ふむそうだな、だがティードの馬車を修理しないとマーレ殿の馬車も一歩も前に進めないが。ここは一蓮托生ということで、修理すべきかと思うが」
 「お言葉ですが、進めなくて困っているのは私なのですよ。私の馬車は何の異常もないのに足止めされて。こんな故障した馬車など谷底に落としてしまえば進めるのですがね」
 いつの間にかカルネの後ろに各隊の隊長が集まって来ており、成り行きを見守っている。
 ここにきてようやくカルネがマーレを最後尾にした意図が皆にわかったようである。ここでティードが支払えば、次に自分の車軸が折れたときにマーレに支払いをしなければならない。
 かなりの時間二人はにらみ合い、しばらくして「ふう」とカルネはため息をついた。
 「では仕方がない、このまま遅れて今日中にサベンテに到着しなかったら隊全体が魔獣のえさだ。案として隊商全体で故障した馬車の修理をマーレ殿が金四百で賄うということで良いかな?」
 「それは私達にも負担せよと?」
 「そうだ」
 また少しの間にらみ合いが続いた。
 「いいでしょう。これまでお世話になったカルネ様ですから。私の人生最初の値引きに同意します」
 「感謝する」
 各隊長から金貨八十枚を集めることの同意をとるのにまた少し時間がかかったが、各隊長も自分の馬車の故障のことを思うと同意せざるを得なかった。
 マーレの奴隷が手早くティードの馬車の修理を終えたのを確認すると、カルネは馬車を詰めながら先頭に移動した。かなり時間がたっていたので急がなければならない。
 途中、タロス隊のところでシーマから何かの袋を受け取ると、先頭の自分の馬車に戻った。そして長く笛を吹いて出発したのである。
 しばらくまた隊を進めていくと、今度はジル隊が停止信号を送ってきた。車軸が折れそうだという。
 隊商全体に嫌な雰囲気が流れる。
 先頭のカルネがジルのところに駆けつけたときにはマーレがホクホクとした顔で車軸セットを取り出そうとしていた。
 「皆様から金八十ずつですからな。まさか一度決めたことに意義を唱えるようなことはないとは思いますが念のため」
 カルネの顔を見るとマーレは笑い顔でそう言った。
 「私は故障した馬車の修理を金四百で賄うと言ったのだ。先ほどそれを支払ったのだから、その車軸でそのまま修理をすべきだろう」
 カルネは先ほど言質をとったと言ってまた交渉を開始した。
 その主張にマーレは張り付いたような笑い顔で返す。
 「ほほう、なかなか妙な論理ですな。そのような詭弁を弄するなら出るところに出ても構わないのですよ」
 商人の集まりである商工会館では商人同士のトラブルを解決する法廷がある。しかし、訴えられると場合によってはそれだけで信用が落ちかねないのだ。
 カルネはマーレに近づいてすぐ近くに寄った。
 「暴力解決ではあなたが不利になるだけですからね」
 実際その通りなのでマーレの奴隷たちも手を出そうともさえぎろうともしていない。むしろ手を出させようとしてすら見える。
 カルネは無言で手に持った袋の中身を見せて小声でマーレに言う。
 「私の馬車に硬木を好む虫がなぜかいてな」
 袋の中身は車軸受けだった。見た瞬間マーレはそれを奪おうとしたが、一つしかないことに気が付いてやめた。他の車軸受けはまだどこかにあるのだろう。
 「ここですべての馬車の確認しても良いのだが、私のその妙な論理とやらを飲むなら時間もないことだし先に進もうじゃないか」
 カルネの言葉にマーレは全てが明るみに出るのを恐れてあきらめた。
 「カルネ殿の迫力、まことに感服いたしました。ここからのトラブルは私たちが見ましょう」
 高らかにそのようにマーレが宣言すると、マーレの奴隷たちは一様に驚きの表情を見せ、見守っていた各隊長はほっとしてカルネに感謝の言葉をささげた。
 馬車に戻ったマーレは舌打ちをしながらカルネをにらんでいたが、ふと思案した。
 なぜ車軸受けを持っていたのか?いや朝購入した車軸受けと交換したのはわかる。だがいつ交換したというのだ。交換はそう簡単ではない。私のところとて屈強な奴隷が二人がかりでやっているのだ。
 そうか。最初のティードの馬車を修理したとき、あの時だいぶ粘られた。先頭はかなり離れていなかったからもう見えなかった。その時間を利用したというわけか。では朝、隊列を組んだ時、いや車軸受けを購入した時には既にここまで計画が立てられていたと。
 にわかには信じがたい話ではあったが、逆算して考えていくとつじつまはあう。
 昨日の今日でそこまで対策してくるとは計算外もいいところである。奴隷に裏切り者がいるとは思えないのだが。
 計算外といえば・・・
 その時、脳裏にアマリスの大手依頼人のグラドの話が浮かんできた。
 「駆け出しのわずか十五歳の小娘にしてやられたわ。おぼつかないD級だから少しからかって言うことを聞かせようとしたのだが、どうやってか切り抜けおった。計算が外れたわ」
 確か、チームウルマのリンとか言っていたが、タロス隊のところにいた娘もリンだったな。
 奴隷に隊商情報を見せてもらう。そこにはタロス隊の名簿にウルマが同乗していることが記載されていた。タロス隊しか確認していなかったので盲点だった。
 サベンテに到着するのを三日は遅らせるようにサベンテ行政官のカームに依頼されていたのだが、これでは依頼が果たせない。
 チームウルマのリン、忘れんぞ。
 暗い思念がまた一つリンの周りに発生していることは当人の知る由もなかった。
 そのあと順調にというか予定通りタロス隊の車軸も折れたが、マーレはなにも言わず奴隷に修理を指示した。
 そこからは順調に進み、昼もまわりもうすぐサベンテに到着すると思っていたところでカルネが笛を吹き、隊商が急停止した。
 「今度はなんだ?」
 タロスが前を確認しに行き、すぐに戻ってきて後ろの馬車に合図を送る。
 土砂崩れで道がふさがっていたのだ。
 「先日の雨で崩れたのでしょう」
 そういえばサベンテ周辺は岩盤がもろく、土砂崩れの宝庫だと資料にも記載されていた。
 「参りましたね」
 こんなところで野営するのはまずいが、どうしようもない。
 とにかく道を空けるため土砂を除けるのが先決であるが、よせても次々と上から押し寄せてくるのだ。
 迂回するわけにもいかないし、まさか馬車を捨てるわけにもいかない。
 ここまで来たのだから、サベンテに先行して誰かが行って人手を集めて助けを呼んでくる方法が良いのか?
 「危険を承知で土砂の上を越えましょう」
 過去に同じような経験をしたことがあるというジルの提案で、カルネは土砂を越えるよう決断した。ロープを使って土砂の上に道を作る。
 まず、カルネの馬車の荷物を出し、皆で土砂の向こうに持って行って積み上げる。続いて馬車をロープで縛り、ゆっくりと土砂の上を超えた。
 馬は最後であり、馬車に荷物を戻した後にゆっくりと渡した。足の骨でも折ったら大変である。
 こうしてすべての馬車が土砂の流れを越えたときには既に日が落ちようとしていた。
 「暗闇で馬車を走らせるのは危険すぎる。ここで野宿するしかない」
 また馬車を並べようとしたが、経験者のジルの意見が通り、土砂崩れが起きにくそうな地形まで移動することにした。
 日が落ち、ランプの灯りのみでゆっくりとしばらく進むと、壁面に草が生え始めた。
 「この辺りにしましょう」
 カルネの指示でまた野宿の用意をすることにした。
 すでに日が落ちているのでランプの元での作業である。
 もはや食事を用意する気力もなく馬車の中で警戒するしかなかったが、マーレの隊以外は水分がなくなっていた。沢の水はあるが、サベンテで生水を飲むのはあまりにも危険と判断されているのだ。サベンテ疾患はよく知られており、生水はその原因かもしれないのだ。だから沢の水を沸かして飲んでも不安は消えないのでサベンテの住民は王都領の別の都市から水を購入している。
 近くを小動物が走って行ったり、鳥が飛んで行った後もサベンテ疾患の運び手かもしれないと思うとなかなか気が休まることはなかった。
 翌日、七日目の朝を迎えたときには全員が無事を喜び、ようやくサベンテに着くというそのことだけを考えてほぼ日の出と同時に出発したのであった。
 サベンテに到着したのは、それから間もなくのことであった。
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