はい、こちら伝言課

かみくら+

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3 改善すべきは環境よりも

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翌日…

「おはようございます…」

「おはよう、早いね」

「ええ、始業の前に昨日の復習をとおもいまして」

「あら、関心関心」

「まあ、仕事覚えるのは早い方ですし。努力は怠りません」

 昨日、あれから2時間程掛けて資料を探し出すのと配架の順番のメモをして、家に帰ってからもメモを元に復習をしていた。なので、また確認のために朝早めに来て再確認をしようと思っていたのだ。

 というか1時間程早く来たはずなのだが、既にオフィスに課長がいて驚いた。結構朝型なのだろうか。

「課長、出社早いんですね」

「いや、今日はたまたま。いつもは昼近くにしか来ないよ」

「は?それって遅刻なんじゃ…」

「私夜型だから、早起きとか出来ないんだよねー。まあ今まではこの課、私しか居なかったから。大丈夫だったし」

「…課長、今度からは俺がいる事忘れないでくださいね」

「えー…まあ、一ノ瀬が目覚まし役してくれるんなら…」

(いや、無理だろ!大体、部下に起こされる上司って聞いたことないぞ!)

 まったく、とんでもない人だなあと思ったがコレがジョークであるというくらいは分かる。そこは受け流す一ノ瀬であった。

 そしてふと、思い出す。

「そういえば課長、昨日は資料についてしか聞かなかったんですけど、他に業務をするにあたって覚えておく事ってあります?」

 昨日は資料についての事だけで手一杯で他のことに気が回らなかったが、これだけが業務であるというわけではないだろう。そう思い、一ノ瀬は聞いてみたのだが…

「うーん、あるにはあるけど…一つひとつ挙げるの面倒くさいから追々でいいんじゃない?」

「え、いや、準備とか覚える期間とかが…」

「さっき仕事覚えるの早いって言ってたじゃん。まあ、心配しなくても大丈夫でしょ」

 ……はぁ!?

 (この上司、大変変わり者だと思っていたが、“面倒くさがり屋”の間違いだったのか!)

 確かにそれならば今まで見てきた部屋の汚さに納得がいくし、早起きが出来ない(しない)理由もきっとこれだろう。

(てか、さっきのジョークじゃなかったのか…。なんか、俺が来るまでの数年間、この人はこんな状況で仕事していたのかと思うと…)

 はあ、とため息を吐く。いくら見た目が若いからと言っても彼女はれっきとした社会人でしかも課長である(しかし部下は最近出来た)。それなのにこの体たらくではきっと昨日のように一ノ瀬に雑用を言い付け続けるのだろう。

 取り敢えず最初の目的を果たすため、地下資料室の鍵をとり、一ノ瀬は資料室へと向かった。

「あ、下行くんならコレ戻してきて」

「え゛…」

 どうやら嫌な予感は的中していたようだ。




「よし、こんなもんかな」

 昨日メモを取って帰って正解だったようだ。ものの30分で復習が終わり、頭に殆ど順番が入っているからか課長から頼まれていた資料を戻す作業も終わった。

 きっとさっきの感じではミーティングなどしないだろうけど一応、と思い始業10分前には資料室を出て課のオフィスに戻った。

 の、だが……

「なんで居ないんだよ…!」

 あれから始業時間はとうに過ぎ、それから更に20分は経っているのだが一向に課長が姿を見せない。せめて置き手紙か声を掛けるくらいはしてくれよ!と思ったが、その考えは早々に諦めた。一ノ瀬は学んだのだ。すべては、

『課長だから仕方がない』

の言葉で済むことを。

「でも帰ってくる時間が分からないのは困る…帰ってきたら伝えてもらえるよう言っておこう。でも今から何しようか…」

 仕事はサボらない。一生懸命するものである。そう思った一ノ瀬は今の職場環境を見て、初めからやろうとしていたことを今からすべきだとおもった。

「よし、掃除するか」

それは『掃除』という名の職場環境改善作業であった。
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