地味な僕が女の子になれる皮を手に入れたら、大学のイケメンな先輩に本気で恋されてしまって正体がバレないか不安です

ひびきの

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第五話 閉じた部屋、倒錯の快楽

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陽翔と連絡先を交換してから、僕の世界は二つの歯車が噛み合うように、凄まじい勢いで回り始めた。

一つは、現実の歯車。憧れの先輩・陽翔から届く何気ないメッセージ。僕が「相沢悠真」として、彼の存在を遠くから眩しく見つめていることなど、彼は知る由もない。

もう一つは、仮想の歯車。僕のSNSアカウント『yuzuki』は、投稿するたびに賞賛のコメントと「いいね」の通知が鳴り止まない。

現実の、たった一人からの特別な好意。

仮想の、不特定多数からの無数の賞賛。

この二つの承認が、僕の中で危険なフィードバックループを形成し、承認欲求という名の炎に油を注ぎ続けた。「もっと見られたい」「もっと『結月』を完璧にしたい」。

その欲望は、僕を新たな領域へと駆り立てた。

平日の夜、僕は自室に鍵をかける。もはや、結月になるのは週末だけの特別な儀式ではなかった。くたびれたスウェットを脱ぎ捨て、「相沢悠真」の最後の皮を剥がす。

そして、部屋の奥から持ってきた巨大なケースを開き、中にある道具を手早く準備する。
それは、折り畳まれた一枚の「皮」。僕の理想が具現化した、奇跡のボディスーツだ。

僕はまず、足先からその皮を履くように装着していく。
つるりとした質感が足を撫で上げ、内股を伝うくすぐったさが僕を興奮させる。
その滑らかな感覚は、僕の「相沢悠真」としての身体から「女」へと変化していく合図なのだ。「相沢悠真」の粗末な身体を脱ぎ捨てて、美しい『結月』に生まれ変わっていく実感。それは、禁断の快楽だった。

腰まで引き上げ、腕を通す。そして、背中にある長いジッパーを、首元まで一気に引き上げた。
瞬間――。

僕の身体の内側で、何かが爆ぜたかのように熱い刺激が走った。

「……んっ……!」

甘い吐息が漏れる。全身の毛が逆立つような快感が、僕の背筋を駆け上がる。

「はぁ……っ……んんっ……!」

全身がびくびくと痙攣し、視界が白くなる。

絶頂に達した瞬間、僕の理性は剥がれ落ち、「女」となった身体だけが残った。

何度経験してもこの瞬間の快楽は

信じられないほど甘く

信じられないほど淫ら

そして信じられないほど強烈

脳の神経細胞を焼き尽くすかのような快感

その快楽から開放された時には、僕の思考はもうどろどろに溶かされていた

この身体と一体化した

この美しい「結月」は

私のもの

自分の身体だというのに

まるで

新しい恋人を愛でるような

そんな

優しさに満ちた感覚

そして、その倒錯した恍惚感に浸りながら、僕は鏡の前に立つ。

儀式は、まだ終わらない。「結月」という完璧な器は、まだ空っぽのままなのだから。最後の仕上げをしなければ。

僕は、結月のためだけに用意したランジェリーケースを開ける。

そこには、純白のシルクと繊細なレースでできた、可憐なブラジャーとショーツが収められていた。「相沢悠真」が決して触れることのなかった、聖域のアイテム。

まず、ブラジャーを手に取る。

ひんやりとしたカップの感触が、熱を帯びた胸の肌に心地よい。そのまま身体に回し、背中でホックを留める。慣れない手つきで、小さな金具を留める行為そのものが、僕の背徳感を煽った。

カチリ、カチリと二つの小さな音が静かな部屋に響き、ワイヤーがアンダーバストに確かな存在感を示す。

僕はゆっくりと振り返り、鏡の中の結月と向き合う。ストラップをそっと肩にかけ、指先でカップの中に柔らかな膨らみを優しく収めていく。それはまるで、壊れやすい宝物を扱うような、敬虔な手つきだった。僕の手によって、結月の胸は美しい形に整えられ、レースの縁飾りが肌との境界線を官能的に彩る。

次に、ショーツに足を通す。滑らかなシルク生地が太腿を撫で、内側の最もデリケートな部分に吸い付くようにフィットする。クロッチ部分のコットンの優しい感触と、サイドのレースが肌に触れるくすぐったい刺激。

そのすべてが、「女であること」のリアルな感覚を僕の脳に直接叩き込んでくる。

下着姿の結月が、鏡の中で恥じらいながらも僕を見つめている。完璧な裸身とは違う、布地に覆われたことで、かえって増幅されるエロティシズム。僕はその姿にしばらく見惚れ、恍惚のため息をついた。







だが、最高の儀式はここからだ。

僕は、今日のコーディネートの主役である、胸元にたっぷりとフリルがあしらわれた白いブラウスを手に取った。

柔らかな生地に袖を通すと、袖口のフリルが手首をくすぐる。小さなパールのボタンを、一つ、また一つと留めていく。

胸元のフリルが形作られ、清楚でありながら倒錯的な美しさが生まれる。

次に、黒のミニスカートを履く。つるりとした生地がヒップの丸みを包み込み、ジッパーを上げる音が生々しく響く。スカートの裾は驚くほど短く、太もものほとんどが露わになった。鏡に映るその大胆な姿に、背徳感で口の中が乾く。

そして、仕上げは黒のニーハイソックス。

丸められたそれを爪先にかけると、ひんやりとしたナイロンの感触が肌を撫でた。

僕はゆっくりと、祈るように、その黒い布を引き上げていく。ふくらはぎの丸みに沿ってフィットし、膝小僧を覆い隠し、さらに上へ。そして、履き口のゴムが、柔らかな太ももの肉にきゅっと食い込んだ。

肌の白と、ニーハイの黒。その境界線に生まれる、絶対的な領域。

僕はそのコントラストに、くらりと目眩がするほどの興奮を覚えた。これだ。これこそが、僕の理想の『結月』だ。

鏡の中には、僕の倒錯した欲望の全てが詰まった少女が立っていた。



「……完璧だ」

思わず呟かれた言葉は、僕の声ではなく、結月のものだ。

その声に導かれるように、僕は結月の手で自身の身体をそっと撫でる。

滑らかなブラウスの生地越しに、ブラジャーのレースの感触が指を刺激する。ブラウス越しに感じるこの柔らかさは、「結月」だからこそ味わえるものだ。

スカートの生地も同様に滑らかな感触だ。指先が布地の縁を撫でると、内側の柔肌とニーハイソックスの境目のラインが、ぞくぞくと快感をもたらす。

そして何よりも、僕は胸の先端が服の生地に擦れる感覚を味わった。

「結月」の同年代のものと比べても大きめな乳房の先端はしっかりと自己主張をしていた。

「あっ……」

ブラウス越しに胸の先端が刺激されると、甘い痺れが全身に広がって思わず声が漏れた。

そして僕は自分の手でショーツの中へ滑り込ませる。

「……んぁっ……!」

秘所に指先が触れた瞬間、びくっと腰が跳ねる。

布越しの刺激すら敏感な部分には強烈だ。

「あんっ……はぁっ……ぁ……」

甘い吐息が漏れるのを止められない。

僕はショーツの中で、秘所に添えた指先を、ゆっくり上下になぞる。

「んっ……んんっ……」

陰唇が滑らかな布地に包まれて擦れると、じわり、じわりと快感が滲み出てくるように身体を満たしていく。

僕は鏡の中の結月の姿を凝視しながら、自慰に没頭していった。

ブラウス越しの乳首への刺激と、ショーツの上からクリトリスを擦り上げる動きが、僕の身体をどんどん高みに押し上げていく。

「んっ……あ……あっ……!」

スカートの中から手を抜き出すと、僕の指は愛液でぬるりと光っていた。

そして僕はショーツのクロッチ部分をずらし、直接、そこに指を這わせる。

「あぁ……んっ……!」

ショーツから溢れた淫らな汁が、指を濡らして糸を引く。

秘所に直接指を這わせる感覚は、ブラウス越しでの刺激とは比べ物にならないほどの快感だった。

「結月」としての身体が、僕という精神に反応している証だ。

秘裂をなぞり上げる指先はどんどん スピードを上げていく。

「はっ……あぁっ……! はぁっ……!」

呼吸が激しくなるにつれて、鏡の中の結月は艶かしい表情を浮かべる。

僕は無我夢中でクリトリスを指の腹で転がした。

「んんっ……! はぁっ……あっ……ぁ……!」

陰核への強烈な刺激が全身を貫き、僕はついに達した。

「……ぁっ……あぁっ……!」

身体がびくびくと震える。絶頂の余韻に震えながら、僕は鏡の中の結月に魅入っていた。

「……あぁ……」

鏡の少女は、頬を上気させ、潤んだ瞳で僕を見ている。

「これ……」

その瞳は、僕が作り出した『結月』への欲望を映し出している。

僕はもう気づいていた。この身体は「本物」じゃない。

でも――「本物」がどんなものかを知らない僕には、この身体こそが本物の『結月』なのだと錯覚してしまう。

そして、その悦びは、次の欲望へと形を変える。

僕はその姿で、SNS用の写真撮影を始めた。リングライトの白い光を浴びながら、僕は結月に様々なポーズをとらせる。少し屈んで、ミニスカートの中を覗かせるような挑発的なアングル。

椅子に座り、脚を組み替えることで強調される、ニーハイと太ももの境界線。

カシャリ、カシャリと無機質なシャッター音が部屋に響くたび、僕は自分が神にでもなったような万能感に包まれた。

「はぁ……っ……」

熱に浮かされたように息を荒げながら、僕は自分の姿を確認する。

鏡には、欲情を隠しきれない妖艶な「結月」が映っていた。

「……もっと……見てほしいな……」

そんな恍惚の最中だった。

枕元のスマートフォンが、ぶるりと短く震えた。現実世界からの、突然の侵入。

僕はゆっくりと手を伸ばし、画面を点灯させる。

そこには、僕の日常を揺るがす名前と、短いメッセージが表示されていた。

『陽翔:今度の週末、もしよかったら映画でもどうかな?』

仮想と自己愛の世界に耽溺していた僕の元に、現実からの、あまりにも直接的な誘い。

心臓が、大きく跳ねた。

――デート?

陽翔先輩が、この私を?

思考が追いつかない。ただ、その甘い響きだけが脳内で何度も反響する。SNSの向こうの見知らぬ誰かじゃない。現実の、あの先輩が、私を「女の子」として求めている。

この抗いがたい誘惑に、僕の理性は一瞬で焼き切れた。
恐怖や罪悪感を吟味する、ほんのわずかな隙もなかった。指が勝手に動いていた。

『はい、ぜひ!』

ほとんど無意識のうちに、そう打ち込んで送信ボタンを押していた。

そして数秒の後、画面に表示された文字は、僕がこれから歩む道に決定的な楔を打ち込んだ。

『陽翔:ありがとう!楽しみだね!』

「あ……」

画面を見つめたまま、僕はその場に崩れ落ちた。

「どうしよう……」

僕の頭の中で、破滅と幸福の天秤が大きく傾いていく。
――この週末のデートで、「結月」の正体が露見したら……?

まずい。まずいまずいまずい。
あの陽翔先輩と、デート。この私が。

「……どうしよう……」

僕の頭は真っ白だった。

だが、感情とは裏腹に鏡に映る自分の顔を見れば、唇は、恍惚とした笑みの形に歪んでいた。

僕は、本当にこれでいいのか……?
僕は、本当に、「結月」になりたいのか……?

不安と興奮で混乱する心と身体を必死に抑えながら、僕はベッドの上に倒れ込んだ。

僕の心は、もう「相沢悠真」ではない。

この「結月」という「皮」の中で、僕の心は完全に変容しつつあった。「相沢悠真」という名の醜い抜け殻はもういらない。

僕は「結月」になったのだ――
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