悪役ですが、死にたくないので死ぬ気で頑張ります!!!

モツシャケ太郎

文字の大きさ
25 / 43
第二章 乙女ゲーム?

帰りたくない。

しおりを挟む
思わず、ヒュッと息を飲んだ。
俺の話だ。やはり俺の正体に気づいていたんだ。
噂の内容などまるで頭に入って来なかった。 

「貴族でサザンカという少年は私の知る限りその子だけだろう。そしてその反応を見るに、君がサザンカ・ディ・スノーブレークのようだな。

……大方、厳しい勉強に耐え兼ねて飛び出してきたところだろう。
もう家に帰りなさい。きっとスノーブレーク卿も心配しているぞ。」


帰される。帰されてしまう。きっと今帰ったら俺は最悪殺される。殺されないにしてもきっと酷い目に遭う。俺の想像ができないくらいに酷い目に遭うかもしれない。 

頭の中にどんどん嫌な想像が溢れてくる。 

せっかく…せっかく、あの地獄から抜け出せたのに……



「ぃやだ……かぇりたく…なぃ……」


次第に涙が出てきて、呼吸が乱れていく。変な呼吸になってきて、息ができない。喉からヒューッヒューッと変な音がまた出てきてしまう。 

落ち着こうと思って、呼吸を整えようとすればするほど、更に呼吸は乱れていく。



「どうした。
……!!おい!しっかりするんだ!!!!」


俺の異変に気づいたエンゼルランプ様が慌てて駆け寄る。 

苦しい。
ごめんなさい。
帰りたくない。
また俺のせいで迷惑がかかってしまった。
痛いのは嫌だ。
帰りたくない。
苦しい。



「ハッハァッ…もぅ、しわけ…ぁりませっ……ゲホッ」


「っ!いいから、ゆっくり、息を吸うんだ。
いいな?落ち着いて。
………そう、次は息を吐いて。苦しいと思うが慌てるな。
……いい調子だ。」



段々と、荒かった息が、通常の呼吸になっていく。息苦しさも無くなってきた。 

落ち着いてきて、つい本音が零れてしまう。



「……お、れは、…いえに、かえりたく、ありません。」


俯いて、涙声で言葉を発した。
言ってしまってから、自分が何を言っているのかに気づいき、言わなければ良かったと後悔した。 

こんなこと言ってもエンゼルランプ様の迷惑になるだけなのに、俺を助けてくれたこの人なら───と、淡い期待を抱いて、言ってしまった。
最悪だ。図々しすぎるだろ、俺。
何を言われるか分からなくて、顔があげられない。


「すまない。君の事情も知らずに、無責任な事を言ってしまった。
……どうやら、ただの家出という訳ではなさそうだ。






─────よし、わかった。後は大人に任せなさい。」
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

【本編完結】処刑台の元婚約者は無実でした~聖女に騙された元王太子が幸せになるまで~

TOY
BL
【本編完結・後日譚更新中】 公開処刑のその日、王太子メルドは元婚約者で“稀代の悪女”とされたレイチェルの最期を見届けようとしていた。 しかし「最後のお別れの挨拶」で現婚約者候補の“聖女”アリアの裏の顔を、偶然にも暴いてしまい……!? 王位継承権、婚約、信頼、すべてを失った王子のもとに残ったのは、幼馴染であり護衛騎士のケイ。 これは、聖女に騙され全てを失った王子と、その護衛騎士のちょっとズレた恋の物語。 ※別で投稿している作品、 『物語によくいる「ざまぁされる王子」に転生したら』の全年齢版です。 設定と後半の展開が少し変わっています。 ※後日譚を追加しました。 後日譚① レイチェル視点→メルド視点 後日譚② 王弟→王→ケイ視点 後日譚③ メルド視点

公爵家の次男は北の辺境に帰りたい

あおい林檎
BL
北の辺境騎士団で田舎暮らしをしていた公爵家次男のジェイデン・ロンデナートは15歳になったある日、王都にいる父親から帰還命令を受ける。 8歳で王都から追い出された薄幸の美少年が、ハイスペイケメンになって出戻って来る話です。 序盤はBL要素薄め。

悪役令息の兄って需要ありますか?

焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。 その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。 これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。

生まれ変わりは嫌われ者

青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。 「ケイラ…っ!!」 王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。 「グレン……。愛してる。」 「あぁ。俺も愛してるケイラ。」 壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。 ━━━━━━━━━━━━━━━ あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。 なのにー、 運命というのは時に残酷なものだ。 俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。 一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。 ★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!

婚約破棄で追放された悪役令息の俺、実はオメガだと隠していたら辺境で出会った無骨な傭兵が隣国の皇太子で運命の番でした

水凪しおん
BL
「今この時をもって、貴様との婚約を破棄する!」 公爵令息レオンは、王子アルベルトとその寵愛する聖女リリアによって、身に覚えのない罪で断罪され、全てを奪われた。 婚約、地位、家族からの愛――そして、痩せ衰えた最果ての辺境地へと追放される。 しかし、それは新たな人生の始まりだった。 前世の知識というチート能力を秘めたレオンは、絶望の地を希望の楽園へと変えていく。 そんな彼の前に現れたのは、ミステリアスな傭兵カイ。 共に困難を乗り越えるうち、二人の間には強い絆が芽生え始める。 だがレオンには、誰にも言えない秘密があった。 彼は、この世界で蔑まれる存在――「オメガ」なのだ。 一方、レオンを追放した王国は、彼の不在によって崩壊の一途を辿っていた。 これは、どん底から這い上がる悪役令息が、運命の番と出会い、真実の愛と幸福を手に入れるまでの物語。 痛快な逆転劇と、とろけるほど甘い溺愛が織りなす、異世界やり直しロマンス!

処理中です...