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序章-総ての始まり-
プロローグ-後編-
しおりを挟むふと気が付くと、また俺は倒れていた。
しかし、そこには以前あったような少し古びた建物などではなく、まっさらな更地になっていた。
何があったかもわからないが、怪我はしていないし、服も破けていないし、心なしか体調も良くなった気がする。
まあ、あれだけ無理をしていた生活から、ゆったりと過ごせる時間があったので体調がよくなるのは当たり前だろう。
さて、いったいどうなっているのだろうと辺りを見渡すと更地になってはいるものの、ところどころ建物の残骸らしきものはあった。
まあ、見つけたといっても、コンクリートの破片とか、鉄の扉の破片とかだったが。
しばらく、辺りを散策しているとそれなりに人が多い地域だったはずなのに、無人状態で且つ建物もほとんど消えてしまっている。歩いても歩いても何も見つからない。
本当にこっちで合ってたっけ?そもそも、こんな場所あったっけ?と疑問に思いながらどんどんと進んでいく。
何とか、歩き続けたが本当に何もない。まるで何かが爆発したかのように何もない。
時間が経つにつれて、だんだんと疲労がたまり歩けなくなっていく。かれこれ2日くらい歩き続けたと思うのだが、何も見つからない。
――ああ、そろそろ限界だな。
こうして、俺は意識を落とすのであった。
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「起きてください。大丈夫ですか。」とどこかから声が聞こえる。
まだ少し眠たいなと思いながら、瞼を開けるとさっきはいないと思っていた研究所の人たちの姿があった。
どうやら先ほどの映像は夢であったらしい、と俺は悟った。物凄い、はっきりとした夢であったな、これは治験のせいかなと思ったのと同時に、知らないうちに寝落ちしてしまったことに対して、もうしわけないなと思って
「なんか、すいません。寝てしまって。」
「いえいえ。こういう行動までも研究の対象ですので大丈夫です。」
こんなやり取りがあった後、少しだけ時間があったので別のアンケートモニターの回答を作成して、遂に終わることになった。
治験の給料はその場で封筒に入れて渡され、金額もこの目で確認してきた。
これで、しばらくコンビニバイトと飲食店で働く必要がなくなった。それにしてもこんなに大金をこんな実験に何で払っているのだろうか?やはり内容が内容で危険だったからだからかな?
まあ、そんなことはどうでもいいや。自分にとって大事なのは即金、今月生き残るために必要なのだ。
アンケートモニターは残念ながら月ごとにポイントに変換されてそれを自分に使えるように設定するのにもかなり時間がかかる。さっさと家に帰って食料を用意してアンケートや内職を行いながらしっかりと貯蓄をためるぞと思っていたら
「すみません。」と声がかかってきた。
「どうかしましたか。」と俺が返事を返すと
「今後体調悪くなったときとかの連絡用に、お手数ですが、連絡先を交換してくれませんか。」
なんか、すごく怪しい感じがしたが、こうやってお願いされたので承諾することにした。
まあ、交換しても実際に使うことはほぼないだろうし、ほとんど知らない人だけどいいかと思った。
それでその人とは別れ、自分は家に帰り食料を用意して、アンケートを書き、内職の箱の組み立てを行った。ある程度したら、眠くなってきたので寝ることにした。
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うっ。といううめき声とともに起きた。
時刻は手元の時計を見ると午前3時ぐらい。
近くに誰かいる様子はなく、外で騒音が鳴っているような気配は無い。
こんな時間に起きるのはおかしい、そう思って部屋の探索をしようと思い立ち上がろうとしたら、
グラっときた。
目の前がふらふらとして見えなくなり、汗が止まらない。
止まらない。
止まら な い。
ト マラ ナ イ。
これはもしかしなくても熱中症だと思い、近くに置いておいた、エアコンのリモコンで冷房をすぐに入れて、何とかはいつくばって、ペットボトルで冷やしておいた水をがぶ飲みする。
少しして落ち着いてきたと思ったら、無性に腹が減ってしまい、寝れそうにもなかったので、インスタント食品をパパっと用意して、食べて寝ようとした。
ふとそこで自分の腕を見ると白い、青いというよりか紫色であるようにみえる。
もしかして、血行が悪くなっているのかもしれないと思い、こういう時は寝たら治るだろうと思って、布団に入った。
涼しくした部屋はとても心地よく、自分が氷魔法を使えたら、いつでもこんなの出せるんだろうな、と思いながらうとうととしていく。
夢の中に落ちていく。
意識が。
イシキが。
い し き が落ちていく。
「ヨ ロ シク。」どこかからか、誰かの声が聞こえた。
この時の俺は自分の体の調子が悪いのではなく、人成らざる者に変わっていっていることに気づいていなかったのである。
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