異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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愛され悪役令嬢の逆襲

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大きな音を立てて、私は階段から転げ落ちた。

意識が遠のく中、鮮やかな赤色の絨毯が、まるで血の海のように私の目に映った。そして、奇妙なことに、頭の中に、断片的な記憶が流れ込んできた。

「……ミリアム・ローゼン…悪役令嬢…ゲーム…破滅エンド…」

目が覚めると、そこは豪華絢爛なベッドの上。見慣れない天井に、私はパニックになった。そして、記憶の断片は、鮮明な映像となって私の脳裏に蘇った。

私は、乙女ゲーム『聖女の奇跡』の世界に転生していたのだ。しかも、ゲーム内で最も嫌われていた悪役令嬢、ミリアム・ローゼンとして。

二年後、婚約破棄され、悲惨な最期を迎える運命の持ち主。まさに、私が一番嫌いなタイプのキャラクターだった。

「絶対に、そんな運命は受け入れない!」

私はベッドから飛び起きた。前世の記憶を頼りに、ゲームの攻略本を頭の中で再現しながら、ミリアムの行動を徹底的に見直すことにした。

まず、悪役令嬢の代名詞とも言える、傲慢で横柄な態度を改めることから始めた。メイドのルビーさんには、いつも笑顔で「ありがとう」と感謝の言葉を伝え、執事のアルバートさんには、丁寧に紅茶の淹れ方を教わった。

最初は戸惑っていたルビーさんもアルバートさんも、私の変化に驚きの表情を浮かべた後、徐々に優しく接してくれるようになった。

そして、ゲームの主人公、フェリスと出会った。

フェリスは、驚くほど純粋で優しい聖女候補。ゲームでは、ミリアムはフェリスをことごとく陥れようとする悪役だった。しかし、今の私は違う。

「フェリス様、お元気そうで何よりです!」

私は笑顔で挨拶し、フェリスに花束を贈った。

フェリスは、少し驚いた様子だったが、すぐに笑顔で受け取ってくれた。

「ミリアム様…ありがとうございます」

それからというもの、フェリスはよく私を訪ねてくるようになった。一緒に庭園を散歩したり、お茶をしたり。最初は少しぎこちなかった私たちの関係も、徐々に親密になっていった。

さらに、意外な展開が待っていた。

ゲームでは敵対していたはずの、商人の娘、リリア。彼女は、驚くほど社交的で、才能あふれる女性だった。

「ミリアム様、一緒に新しい魔法の研究をしませんか?」

リリアの誘いを断る理由などなかった。魔法の研究は、想像以上に楽しかった。

そして、侍女長のエミリー。彼女は、厳しくも温かい女性で、私を陰ながら支えてくれた。

気がつけば、私の周りには、たくさんの仲間たちが集まっていた。

フェリス、リリア、エミリー、ルビー、アルバート…みんな、私を慕ってくれている。

女の子同士で、こんなにも仲良くなれるなんて、想像もしていなかった。

特にフェリスとの関係は、複雑だった。

彼女の手を握ると、ドキドキする。彼女の笑顔を見ると、心が温かくなる。

でも、彼女がゲームの主人公で、私は悪役令嬢。

この関係は、ゲームの世界観を壊してしまうんじゃないか?

そんな不安を抱えながらも、私は、みんなと一緒にいる時間が、とても幸せだった。

ある日、フェリスが真剣な顔で私に言った。

「ミリアム様…実は…」

彼女は、私のことを好きだと告白した。

私は驚いた。そして、少し戸惑った。

でも、フェリスの純粋な想いに、私の心も揺れ動いた。

乙女ゲームの世界で、悪役令嬢と聖女が恋に落ちる…そんな展開は、あり得ないはずだ。

でも、今の私は、ゲームのシナリオに縛られずに、自由に生きている。

私は、フェリスの温かい抱擁に包まれた。

「私も…フェリス様のことが好きです」

その瞬間、私は確信した。

私は、ゲームの悪役令嬢の運命を、完全に覆したのだ。

そして、私は、誰からも愛される、幸せな悪役令嬢になった。

終わり。
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