異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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王城の婚礼と、灰色の運命

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ラネはガタガタと揺れる馬車の中で、五年前に捨てられたような気持ちになっていた。五年前に婚約を破棄されたエイダー。あの時、彼は「王都で大きな仕事をする」と言って、何もかも置いていってしまった。そして今、そのエイダーが聖女様と結婚するらしい。

ラネは、正直言って、もうどうでもいいと思っていた。五年もの月日が流れ、エイダーのことは遠い昔の出来事のように感じていた。傷も癒え、新しい生活にも慣れてきていた。それでも、王城からの招待状を受け取った時、胃の底が冷たくなった。エイダーの結婚式に、しかも幼馴染たちと一緒に参列しなければならないのだ。

「ねえ、ラネ。本当に王都に行くの?あんな嫌な奴の結婚式なんて、行きたくないよ」

馬車の中で、幼馴染のルカが不安げに言った。ルカはラネと同じ村で育ち、いつもラネの味方をしてくれた。他にも、元気っ子のミリアや、物静かなケンと、4人で王都へ向かう。

王都は、村とは比べものにならないほど華やかだった。きらびやかな建物、行き交う人々の服装、全てがラネには眩しかった。しかし、その華やかさとは裏腹に、ラネの心は重く沈んでいた。

結婚式は、想像をはるかに超える豪華さで執り行われた。聖女様は、絵に描いたような美しさで、エイダーは、少しやつれたものの、凛々しく見えた。ラネは、彼を見つめながら、複雑な感情に揺さぶられた。怒り、悲しみ、そして、少しの未練。

式が終わると、エイダーがラネたちのいる方へ歩いてきた。

「ラネ…久しぶりだ」

エイダーは、ぎこちない笑顔でそう言った。しかし、ラネには、その笑顔に嘘を感じた。

「…久しぶりね」

ラネは、淡々と答えた。

その夜、幼馴染たちと宿で夕食をとっていると、一人の男がラネに話しかけてきた。

「あの…失礼ですが、あなた、ラネさんですよね?私は、ギルバートと言います。王宮騎士団に所属しております」

ギルバートは、落ち着いた物腰で、ラネに優しく話しかけてきた。彼は、エイダーの婚約破棄の真相を知っており、ラネに全てを話してくれた。

エイダーは、王都で大きな仕事をするどころか、聖女の力を利用して権力を握ろうとしていたのだ。そして、ラネとの婚約は、そのための手段に過ぎなかった。

ラネは、真実を知り、怒りで胸が締め付けられた。五年もの間、エイダーに騙されていたのだ。

ギルバートは、ラネに王宮での生活を提案した。王宮には、エイダーの悪事を暴くための証拠が隠されているかもしれないというのだ。ラネは、最初はためらったが、ギルバートの誠実さと、エイダーへの怒りが、彼女を後押しした。

王宮での生活は、想像以上に危険だった。エイダーの側近たちは、ラネを監視し、脅迫してきた。しかし、ギルバートは、常にラネを守り、助けてくれた。

そして、ついに、エイダーの悪事を暴く証拠を発見した。それは、エイダーが聖女を操り、王を暗殺しようとしていたという、衝撃的な内容だった。

エイダーは逮捕され、聖女は解放された。ラネは、エイダーの悪事を暴いた英雄として、王都の人々から称賛された。

王宮での生活を通して、ラネはギルバートと恋に落ちた。ギルバートは、ラネに深い愛情を示し、ラネは、初めて本当の幸せを知った。

五年前に失ったもの以上の幸せを手に入れたラネは、村に戻らず、ギルバートと共に王宮で暮らすことを決めた。王宮の華やかな生活の中に、ラネは、灰色の運命を乗り越え、自分の道を切り開いていった。  五年前に失った愛を取り戻すのではなく、もっと大きく、もっと輝く未来を掴んだのだ。  そして、彼女は、もう二度と誰にも騙されることのない、強い女性になっていた。
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