異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

文字の大きさ
214 / 753

王宮の魔導師と、偽りの手紙の騎士

しおりを挟む
義父、アルバートは、いつも不機嫌だった。

「ユリアーネ、お前は役立たずだ!」

毎日のようにそう言われる。母は数年前に亡くなり、義姉のカロリーヌは、私をこき使ってばかり。家事は全部私がやる。勉強もさせてもらえない。唯一の楽しみは、婚約者、リヒターからの手紙だった。

リヒターは、王宮騎士見習い。一年後に結婚する予定だった。彼の温かい言葉が書かれた手紙は、私にとっての希望の光だった。毎日、王宮からの使いの騎士が、その手紙を届けてくれた。その騎士、ギルバートは、いつも静かで、優しい顔をしていた。

ある日、届けられた手紙は、いつもの優しい言葉とは違っていた。

「婚約を破棄したい」

たった一行。信じられなかった。今まで送られてきた、愛が溢れる手紙は、全部嘘だったのか?胸が締め付けられるような痛みを感じた。

「婚約破棄だって?ふふっ、やっぱり役立たずの娘だ!」

アルバートは、嘲笑った。カロリーヌも、得意げに笑った。家から追い出されそうになった。絶望の淵に突き落とされた気がした。

その時、ギルバートが来た。

「ユリアーネ様、お会いしたいと、リヒター様が申し上げておりました」

ギルバートは、いつもより真剣な顔でそう言った。リヒターに会う?なんで?婚約破棄されたのに?混乱する私を、ギルバートは王宮へと案内してくれた。

王宮の庭園で、リヒターと対面した。彼は、いつもの笑顔とは違う、真剣な表情をしていた。

「ユリアーネ、すまない。手紙は、全て偽物だった」

リヒターは、苦しそうに言った。

「アルバートとカロリーヌが、私を陥れようとしたんだ。私を陥れて、お前と婚約を解消させ、カロリーヌを私の婚約者にするつもりだったらしい」

衝撃的な事実だった。アルバートとカロリーヌが、私を陥れるために、偽の手紙を書き送っていたなんて。

「でも、俺は、お前を愛している。婚約破棄の知らせを聞いた時、俺は、本当に後悔した。お前を苦しめてしまったことを許してほしい」

リヒターは、私の手を握った。彼の温かい手の感触に、涙が溢れてきた。

「そして、ギルバートも、この陰謀を暴くために協力してくれたんだ」

リヒターは、ギルバートの方を向いて、感謝の言葉を述べた。

「実は、リヒター様からの手紙を届けるたびに、何かがおかしいと感じていました。筆跡が、いつもと違う時があったのです。そして、アルバート卿とカロリーヌ様の怪しい動きにも気づいていました」

ギルバートは、冷静に説明してくれた。彼は、最初から全てに気づいていたのだ。

「ユリアーネ様、私と結婚してください」

ギルバートは、突然、私にプロポーズをした。

「え?」

驚いて言葉が出ない。

「私は、ユリアーネ様を、ずっと前から愛していました。温かい心と、誰にも負けない優しさに惹かれたのです」

ギルバートの言葉は、私の心を温かく包み込んだ。

「私は、魔法の才能があるんです。でも、アルバートには役立たずだと言われて、ずっと隠していました。温度を一定に保つ魔法が得意なんです」

私は、今まで隠していた自分の特技を、ギルバートとリヒターに話した。

「それは素晴らしい才能だ。王宮の魔導師として、活躍できるだろう」

リヒターは、私の才能を高く評価してくれた。

アルバートとカロリーヌの陰謀は、王に報告された。当然、二人は罰せられた。そして、私は、ギルバートと結婚することになった。

王宮で魔導師として働き、ギルバートと幸せな日々を送っている。義父と義姉のことは、もう思い出したくもない。毎日、ギルバートの温かい愛に包まれ、幸せな毎日を送っている。  あの偽りの手紙のおかげで、私は本当の幸せを手に入れることができた。  そして、私は自分の魔法の才能を活かし、王宮に貢献できるようになった。  全ては、あの偽りの手紙から始まった、奇跡のような物語だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

タイム連打ってなんだよ(困惑)

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」  王都の冒険者ギルドにて、若手冒険者のリオは、リーダーの身勝手な都合によってパーティから追い出されてしまい、同時に後宮では、聖女の降臨や第一王子の婚約破棄などが話題になっていた。  パーティを追放されたリオは、ある日商隊の護衛依頼を受けた際、野盗に襲われる可憐な少女を助けることになるのだが、彼女は第一王子から婚約破棄された上に濡れ衣を着せられて迫害された元公爵令嬢こと、アイリスだった。  アイリスとの出会いから始まる冒険の旅、行く先々で様々な思惑によって爪弾きにされてしまった者達を受け入れていく内に、彼はある決意をする。 「作ろう。誰もが幸せに過ごせる、そんな居場所を」  目指すべき理想、突き動かされる世界、そしてハズレスキル【タイム連打】に隠されたリオの本当の力とは?    ※安心安全安定安泰の四安揃った、ハピエン確定のハズレスキル無双です。 『エ○ーマンが倒せない』は関係ありません。

最弱スライムに転生した俺、捕食スキルで無限進化していたら魔王軍すら支配してました

チー牛Y
ファンタジー
残業中に倒れた俺が次に目を覚ました時、なぜか異世界で最弱モンスターのスライムになっていた。 完全に詰んだ、戦う力もない。そう思っていた時、俺には一つだけ、とんでもないスキルがあった。 【捕食】 それは、倒した相手を取り込み、能力・スキル・力のすべてを奪うチート能力だった。 ゴブリンを食べれば腕力を獲得。 魔物を食べれば新スキルを習得。 レベルは爆速で上がり、進化は止まらない。 森の魔物を支配し、ダンジョンを制圧し、気づけば俺は魔物たちの王になっていた。 やがてその力は魔王軍すら飲み込み、世界の勢力図を塗り替えていく。 これは―― 最弱スライムから始まる、無限進化の成り上がり無双譚。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...