異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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辺境騎士と置き去りの王女

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リザは、薄暗い離宮の窓辺で、枯れ葉が風に舞う様子を眺めていた。王女の身分とはいうものの、母親が身分の低い侍女だったため、彼女は王宮の華やかな世界とは無縁の生活を送っていた。兄である国王からは、まるで存在を忘れられているかのような扱いだった。

そんなある日、突然召し出されたリザに告げられたのは、とんでもない命令だった。「極東の辺境領主、エルランド・キーフェルと結婚せよ」と。エルランドという男は、名前しか知らなかった。会ったこともなければ、どんな男かも想像もつかなかった。

結婚式は、王宮の隅っこで行われた簡素なものだった。豪華なドレスを着せられ、豪華な装飾は一切なく、まるで形式的な儀式のようなものだった。エルランドは、凛々しい顔立ちだが、表情は硬く、一言もしゃべらなかった。リザも、この結婚に納得などしていなかった。全てが嫌だった。

式が終わると、エルランドは一言だけ残して、リザを置き去りにした。「全て言いなりになるのは嫌だ。あなたを連れて行かない」と。

それから数ヶ月が過ぎた。リザは、王宮の一室に一人取り残されたまま、孤独な日々を過ごしていた。侍女たちは、彼女を避けるようにしていた。王女なのに、まるで幽霊のような扱いだった。

ある日、リザは、王宮の庭で一人の男と出会った。彼は、エルランドの従者だった。彼は、エルランドがリザのことを心配していることを告げた。エルランドは、リザを連れて行かなかったことを後悔しているというのだ。

その言葉に、リザは初めて、エルランドという男のことを意識した。彼は、彼女を拒絶したように見えたが、実は、彼女を傷つけないように、あえて冷たく振舞っていたのかもしれない。

それからというもの、リザは、エルランドからの手紙を待つようになった。手紙には、彼の辺境領地の様子や、彼の日常が綴られていた。彼の言葉からは、リザへの深い愛情が感じられた。

手紙を読みながら、リザは、エルランドへの想いを自覚していった。彼は、彼女にとって、初めて心を開ける存在だった。彼は、彼女の孤独を理解し、彼女を優しく包み込んでくれる存在だった。

ある日、エルランドからの手紙が届いた。「王都へ戻ります。あなたを迎えに」と。

リザは、手紙を握りしめ、涙を流した。ついに、エルランドと再会できるのだ。

エルランドは、約束通り、王都に戻ってきた。彼は、以前より優しく、リザを温かく抱きしめた。「待たせたな」と、彼は優しく微笑んだ。

二人は、辺境領地へと旅立った。そこは、荒涼とした土地だったが、エルランドの愛情に満ちた場所だった。二人は、ゆっくりと時間をかけて、お互いの心を深く理解し合った。

最初は政略結婚だったはずなのに、いつの間にか、二人の間には、深い愛情が芽生えていた。エルランドは、リザを心から愛し、リザもまた、エルランドを心から愛していた。

辺境領地での生活は、決して楽ではなかった。しかし、二人は、力を合わせて、困難を乗り越えていった。そして、二人の間には、可愛い子供たちが生まれた。

リザは、かつて孤独だった自分を忘れ、幸せな日々を送っていた。全ては、エルランドとの出会いが、彼女の人生を変えたのだ。エルランドの冷たさは、彼女を傷つけないための、彼なりの優しさだったと、彼女は理解していた。

今では、エルランドは、リザを「我が愛する王女」と呼び、リザは、エルランドを「私の愛する騎士」と呼んでいた。二人の愛は、辺境領地の荒野に、美しい花を咲かせた。そして、その花は、永遠に咲き続けることだろう。  彼らの愛の物語は、辺境の地で、静かに、そして力強く、語り継がれていくのであった。
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