異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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婚約破棄は、私のコミカライズ

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夕焼けが空を燃やすように赤く染めていた。バルコニーに腰掛け、私はため息をついた。婚約破棄だ。それも、婚約者である王子、アルフレッドの浮気によって。

前世で腐女子だった私は、数々の悪役令嬢ものの小説を読み漁っていた。そして今、自分がその悪役令嬢、リーゼとして異世界に転生しているという、なんとも皮肉な状況にいる。

アルフレッドは、王都一の美男子と謳われ、完璧な王子様を演じていた。少なくとも、私と婚約するまでは。

婚約発表の宴で、アルフレッドは他の貴族令嬢、セシリアと密会しているところを目撃された。手をつないで、楽しそうに笑っていた。その光景は、まるで私の心臓を抉り取るように痛かった。

「リーゼ様、お元気でお過ごしでしょうか?」

私の肩に、優しい声が掛かった。振り返ると、私付きのメイド、エルマが心配そうに立っていた。エルマは、私を心から心配してくれる数少ない存在だ。

「エルマ…少し、気分が悪いだけよ」

私は苦笑いをして、エルマに紅茶を頼んだ。温かい紅茶を一口飲むと、少しだけ心が落ち着いてきた。

婚約破棄は、私にとって大きな衝撃だった。しかし、同時に、ある種の解放感もあった。

前世の読書経験から、私は知っていた。悪役令嬢は、たいてい婚約破棄をきっかけに、驚くべき成長を遂げるのだ。そして、真の愛を見つける。

もちろん、私は王子様と幸せになる展開には全く興味がなかった。あの浮気者のアルフレッドなんか、もう二度と見たくない。

私は、婚約破棄をチャンスに変えようと決めた。まず、自分の領地をしっかり管理する。そして、自分の力で自立した生活を送る。

私の領地は、辺境にある小さな村だった。資源も少なく、貧しい村だったが、人々は温かかった。村長である老人は、私の婚約破棄を心配しつつも、私を励ましてくれた。

「リーゼ様、どうか悲しまないでください。あなたは、この村の希望です」

村長の言葉は、私の心に響いた。私は、この村のために、何かしたいと思った。

まず、村の農業技術を向上させることにした。前世で読んだ小説や、知識を総動員して、新しい農法を導入した。

最初は、村人たちは戸惑っていた。しかし、私の熱意と、実際に収穫量が増えたことで、徐々に理解と協力を得られるようになった。

さらに、村の教育にも力を入れた。村には、読み書きができない子供たちが多かった。私は、村に小さな学校を設立し、自ら子供たちに読み書きを教えた。

子供たちの笑顔は、私の心を満たしてくれた。そして、私は気づいた。王子様と結婚することよりも、はるかに幸せなことがあると。

アルフレッドからの嫌がらせは、予想通りあった。彼は、私の領地への援助を打ち切ったり、陰で私の悪口を言ったりした。

しかし、私は動じなかった。村人たちの協力と、私の努力によって、私の領地は少しずつ発展していった。

ある日、王都から一人の男が訪ねてきた。彼は、王室の顧問官、ギルバートだった。

ギルバートは、私の領地の発展ぶりを聞きつけて、視察に来たのだという。彼は、私の能力を高く評価し、王室への協力を依頼してきた。

私は、王室への協力という形で、アルフレッドへの復讐を遂げることにした。もちろん、直接的なものではない。

私は、王室に新しい農法や教育システムなどを提案した。私の提案は、王室に大きな利益をもたらした。そして、アルフレッドの失態を際立たせた。

アルフレッドは、私の成功を目の当たりにし、嫉妬と悔恨に苦しんだだろう。それは、私にとって最高の復讐だった。

そして、私は、村人たちと共に、幸せな日々を送っている。王子様なんていらない。私は、私自身の力で、幸せを掴んだのだ。夕焼け空の下、私は静かに微笑んだ。私の物語は、まだ続いている。そして、それは、私が自分で創造していく物語なのだ。
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