異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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毒無効の騎士

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十五歳になったその日、俺は父から罵声を浴びせられた。

「この出来損ないの役立たずめっ! 私が何年にも渡り面倒を見て来てやったというのに――【農民】でスキルが【毒耐性】だけだと? なんて無様な醜態を晒してくれたんだっ!」

『天恵の儀』と呼ばれる儀式。それは、十五歳を迎えた若者が自分の適性職業とスキルを知る、人生を左右する重要な儀式だった。俺の血筋は由緒正しい剣士の家系。代々、王国を護る騎士を輩出してきた家系なのだ。当然、俺も剣士になると思われていた。なのに、結果は【農民】。スキルは【毒耐性】だけ。

父は激昂し、俺を家から追い出した。家宝の剣を蹴り飛ばし、俺の顔に唾を吐きかけた。その唾は、まるで毒蛇の毒液のように、俺の心を蝕んだ。

「出て行け! こんな恥さらしは、俺の息子じゃない!」

家から追い出され、途方に暮れた。どこに行けばいいのか、何をすればいいのか、何も分からなかった。持っていたのはボロボロの服と、僅かなお金だけ。

日が暮れ始め、森の縁で倒れ込んだ。空腹と疲労で、意識が朦朧としてきた。その時、何かが光った。目を凝らしてみると、朽ちかけた木の根元に、一冊の古い書物があった。

表紙はボロボロで、文字はほとんど消えていた。それでも、何となく惹かれるものを感じて、拾い上げた。

書物は、古代語で書かれていたが、不思議と俺には理解できた。書物には、様々な植物の効能や、毒に関する知識が記されていた。そして、最後のページには、衝撃的な記述があった。

「毒耐性は、実は究極のスキル。あらゆる毒を無効化する『毒無効』である」

まさか。まさか、こんなことが書いてあるなんて。俺は、何度も何度もその文章を読み返した。

それまで、俺は【毒耐性】を、役に立たないスキルだと思っていた。農民のスキルだし、剣士である俺には全く関係ないと思っていた。しかし、書物によると、それは間違いだった。

【毒耐性】は、単なる耐性ではなかった。どんな毒も、一切効かない、最強のスキルだったのだ。

その日から、俺の人生は変わった。

まず、書物に書かれていた知識を活かして、様々な植物を採取し、薬草の知識を磨いた。毒草の知識も深まった。そして、毒草から抽出した毒を、自分の体で試してみた。

どんな猛毒でも、俺には全く効かなかった。書物は正しかった。俺は、文字通りどんな毒にも耐える、最強の男になったのだ。

それからというもの、俺は森の中で生活することにした。毒草や薬草を研究し、自分のスキルを磨いた。そして、ある日、森の中で、奇妙な集団に出会った。

彼らは、強力な毒を用いて人々を襲う、盗賊集団だった。彼らは、俺を捕まえ、毒を盛ろうとした。しかし、彼らの毒は、俺には全く効かなかった。

俺は、彼らのリーダーに、その毒を盛られた。そして、彼らの毒が全く効かないことを証明した。

驚愕した彼らは、俺を仲間に入れようと誘ってきた。しかし、俺は断った。俺の目的は、父への復讐だった。

俺は、彼らの毒を盗み、父を襲う計画を立てた。

父は、既に新たな後継者を得て、悠々自適な生活を送っていた。しかし、俺が訪れた時、彼は驚愕した。

「まさか…お前が…なぜ…?」

俺は、父に、盗賊集団から奪ってきた強力な毒を飲ませようとした。

だが、その時、俺は躊躇した。

父は、俺を罵倒し、追い出した。だが、それは、俺を心配するがゆえの行動だったのかもしれない。

俺は、毒を捨てた。そして、父に言った。

「もう、恨んでいません。だけど、二度と私を侮辱しないでください。」

父は、何も言わず、黙って頷いた。

その日から、俺は、自分のスキルを活かして、人々の役に立つことにした。毒の専門家として、様々な依頼を受け、人々を救った。

俺は、もう、復讐の鬼ではない。毒無効の騎士だ。


そして、俺は、いつか、父が誇りに思えるような、真の騎士になることを誓った。
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