剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

第4章～魔王討伐～

第187話 駆け抜けろ！

「ヒヨナ騎士団長！」

「おお！来たか！」

それから数十分後周囲の魔物達を(主にクロウが)倒していたら、仲間の騎士団達も続々と集まって来た。

「戦況は？」

「戦況はよろしくありません、4割が壊滅、3割が負傷、そのうちの1割が致命傷を負っています」

どうやってこの乱戦の中調べる事が出来たのか気になるが、分かっている事は半数が既にやられたと言う事だ。

「若干劣勢ではなく、劣勢なのか」

「敵の方は？」

「敵は3割は倒したと思います、ここまで来れたのは運が良かっただけです」

クロウの言葉を無視してヒヨナは戦況を聞く、人類連合軍は残り約15万
魔王軍は残り約7万
数の上ではコチラがまだ上だが、コチラが3万倒したのに対してコチラは15万やられている。

つまり1体倒すのに5人やられている状態なのだ、このままで行けば魔王軍は約4万人を残してコチラは全滅するだろう。

「クロウ様、どうしましょう…」

「どうしましょうって…戦うしかないだろ？」

逃げた所で意味はない、ただ寿命が少し伸びただけだ、自分が生き残る道はただ１つ、魔王を倒すこと、それしかないのだ。

リュークの問いにクロウはそう答えるとメイディ達に視線を向ける。

「俺達は勇者パーティだ、ならやる事は決まってるだろ？」

「…そうですね、ですがこの状況では…」

リュークの言葉にも一理ある、この状況、つまり苦戦している状況下で魔王単騎を討ち取る事は出来るのだろうか？と言う事だろう。

「リュークさん、私わたし達は勇者パーティですが、たかだか10人程度が抜けたぐらいで負ける程、人間は弱くありませんよ」

「メイディの言う通りだ、我々騎士団を甘く見ない事だな」

メイディの言葉にヒヨナは頷く、確かに劣勢だが人類の為に命を捧げた者達がここにいるのだ、逃げようとする者はいないだろう。

「お前達が魔王を倒す為に魔王城へ向かうのなら我々は少しでも楽に行ける様に注意を惹きつける」

「確かにそうすれば少しは楽に行けますわね」

「だけどミオ？この人数が一直線に走り出せば普通にバレるんじゃないの？」

シャルはそう疑問に思うが、それ以外の選択肢はないだろう。

「だったら迫る来る敵を全て倒せば良いんだろ？」

「あんたに出来るの？そんな事」

「仲間が前にいなければ、味方に配慮する必要性がないから不可能ではない」

メジーナの言葉にクロウはそう答える、クロウの実力なら"魔物を倒すだけなら"不可能ではない、問題なのは…

「ただ、予想外の攻撃や側面からの攻撃に関しては絶対とは言い切れない、そこは勘弁してくれ」

そんな事がない様にするが、クロウ自身にも限界はある、ステータスがおかしくても他の人達は普通だし、予想外の事をされれば対処には多少なりとも時間がかかる。

「俺おれは大丈夫だ、クロウの事は信じてるからな」

「ボクもだよ、彼女が彼氏の事を信じられないなんておかしいからね」

エムルとシャルはそう言ってクロウの側に近寄る。

「さ、行くなら行こうぜ」

「今この瞬間も仲間達がどんどんやられてるからね」

シャルの言葉にフィオナ達も「確かに」と納得して近くによる、他に方法があったとしても今浮かんでいる方法がこれしかないのならやるしかないのだ。

「では、私達は勇者様と共に魔王の所へ行きます、ヒヨナ騎士団長、後はよろしくお願いします」

「はい、フィオナ様もご武運を」

フィオナ達に敬礼した後、すぐさま周りの魔物達と戦闘を始めた、少しでもミオ達が楽に行ける様にする為だろう。

「皆んなしっかりと付いてこいよ」

「任せてください！」

「はい！」

「了解です！」

「分かりましたわ！」

「行こう！」

「あいよ！」

「さっさと行きなさいよ！」

リューク、メイディ、フィオナ、ミオ、シャル、エムル、メジーナとそのメイド達のクレイ、ソフィ、ハクア、ミサはクロウの言葉に答えて、クロウと共に駆け出した。

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クロウの駆けながら敵を薙ぎ倒す姿は"一騎当千の兵つわもの"であり、例えるのなら戦国の武将が無双するかの様な感じだった。