剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん

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第4章~魔王討伐~

第195話 反転の正体

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「我は世界征服の為に勇者を倒さなくてはなりません…だから」

魔王ミロスはクロウに手をかざすと🖐️

「さっさと終わらせてしまいます」

「っ!?」

クロウは本能的に何か危険な事が起こると察知し躱そうとするが、魔王ミロスの射程圏外に出る事はできなかった。

「"反転"」

「しまった!?」

能力を喰らってしまったクロウは咄嗟に身構える、しかし身体の変化を感じる事が出来ず、戸惑ってしまう。

「…なんだ…何かがおかしい」

「ふふ、貴方はもう終わりです」

「なんだと?」

勝利を確信している魔王ミロスに違和感を感じながらも、自分自身に何をしたのかをクロウは考える。

(…俺の身体はなんともない…が、仲間達の様子を見るに何かしらの能力下げデバフをしたはずだ)

「考えても無駄ですよ、分かった所で貴方に勝ち目はないんですから」

「そんな事はないさ…」

クロウは魔王ミロスから距離を取ろうと後ろに下がると自身の身体に違和感を感じた。

「…動きが一テンポ遅れた?」

「はい、お終い」

「ガッ!?」

リューク達と同じ様にデコピンで吹き飛ばされるクロウ…しかしこれによってクロウは能力の正体に気付く。

「グッ…成る程、そう言う事か」

「あら?なんでやられないんですか?もしかしてステータスが低過ぎた?」

「逆だよ…高過ぎて"反転が遅れたんだよ"」

「な!?」

考えてみれば簡単な事だった、反転とは

ひっくり返ること。ひっくり返すこと。

「"ステータスをひっくり返す能力"、だから俺達はデコピン程度でここまでダメージを受けたんだ」

ステータスが反転する、つまり300だったら-300になると言う事だ。

「正解です、よく分かりましたね?」

「お前から距離を取ろうとした瞬間、いつもよりテンポが遅くなったからな…それのおかげさ」

マイナスになっても変化を感じにくかったのは、あくまでもステータスの反転だからだ。

素早さががマイナス、もしくはゼロになったもしても走れない訳ではないし、攻撃力がマイナスでもゼロでも剣は持てるし人を斬ることは出来る。

あくまでもステータスによる補正がなくなり、その代わり足枷が付いたような感じだ。

「しかし、それがどうしたと言うんですか?魔王である我はステータスは高く、本来であれば万全の状態で挑まなければならない状況なのに仲間もこのザマ…勝ち目なんてないんですよ?」

「お前からすればな?」

(俺からすれば例え勝てる可能性が那由多なゆたの先であろうともあるだけ十分だ)

クロウは剣を持ち、その"その剣を舐める"

「…は?」

「…さーて、ここからは博打だ」

クロウは剣を舐めながら魔王ミロスに斬撃を喰らわす。

「ヒッ!?汚ったない!」

「汚くて結構、俺は毎日剣を舐め舐めしてるから気にしてないけどな!」

全世界にクロウの気持ち悪い情報が漏れてしまっているが、クロウはそんな事知る由もない。

「気持ち悪い!さっさと死になさい!!!」

「ゴフッ!!!」

腹を足で蹴飛ばされる、内臓がいくつか潰れた様だ。

口からは大量の血が吹き出すが、クロウは気にせず剣を舐める。

「ハァ…ハァ…鉄の剣に自身の血液をかけて舐める…ふふ…ごふ…わ…悪くない…」

クロウは精神力だけで立ち続け、魔王ミロスに剣を振り続ける。

「キモいキモいキモいキモいキモいキモいキモい!!!!!!!」

触りたくないのか、魔王ミロスは火の魔法でクロウを吹き飛ばす。

「ガァァァァァ!!!!!!」

全身が大火傷となり、身体全体の皮膚がただれてしまったが、クロウはそれでも剣を舐める、舐め続ける。

「…へへ、まだまだ」

「な…なんなんですか、貴方は!?」

魔王ミロスは指から光のレーザーを放ち、クロウの左眼を貫く、左眼が黒く濁り、完全に潰した事がよく分かる。

「…っ?!!?!?!!」

———————————————————————
その異様な光景は全世界の人々も驚愕し、クロウが剣を舐め続ける理由も、立ち上がれる理由も分からなかった。
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