剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん

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第4章~魔王討伐~

第203話 帰還中の日々

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人類連合軍は魔王軍との戦争が終わった後国王達にその後の指示をもらう為に後日話し合う事が決まった。

ミリティア王国騎士団の騎士団長ヒヨナは重症者を馬に乗せながら国に帰還する事をリューク達に指示を出した。

「…帰還ですか?」

「そうだリューク、ここではもうクロウを見る事は出来ない、助ける為にも早く本国に戻った方がいい」

ヒヨナの言う通りだ、設備が整っていないここよりも治癒師も設備も揃っている本国ならクロウを助ける事も出来るだろう。

「しかし、魔物達はどうするんですか?ここまで士気が低いと奇襲にあった時に対処出来ませんよ?」

「それでも帰るしかないのだ、魔王は死に、他の軍も撤退している中ここに残る理由はもうないのだ」

メイディの問いにヒヨナは続けてこう答える。

「魔物達も魔王を失った事によって統率はもうない、士気が低くても負けたら死ぬ事を忘れなければ意地でも戦うさ」

「騎士団長の言う通りですわ、早くクロウ君を助けないと!」

ミオがやってきてヒヨナの言葉に賛成する、ここまで来るのに1ヶ月はかかった、帰るのなら早く帰った方がいいだろう。

「私も賛成よここにいても意味はないわ」

「ボクもそう思います、まぁクロウの心配があるからってのもあるから気持ちは分かるけどね」

おれも同意見だ、クロウの状態を考えればここで治したい気持ちも分かるが、結果的に考えれば帰った方が助かる確率は高い」

フィオナ、シャル、エムルの3人も帰る事を望んでいる、ただし、メイディの意見を真っ向から反対するのではなく、あくまでも『クロウを助けたい』と言う気持ちは同じだと言う事を言葉に入れている。

「ほら、こんな事で時間をかける暇はないでしょ?」

と、メジーナはメイディの手を掴んでクロウの元へと向かう、運び出す準備をしなければクロウはここから帰れない。

「…そうですね、クロウ様の為にも早く戻らないといけませんね」

メイディは仲間の意見を聞いて納得する、そして馬車の中にクロウを入れて治癒師達と共に撤退を始めた。

———————————————————————
~撤退中~

来た時と比べて士気は低いが、運が良いのか魔物達と一度も遭遇せずに1週間が過ぎた。

「魔王が倒された事により、魔物達もどうすれば良いのかわからないのだろうな」

とヒヨナは考える、ただし、あくまでも魔王に忠誠を誓った魔物達だけの事で反魔王やそもそも考える知能のない魔物達は従うと言う事すら出来ないだろう。

「このまま順調に進めば良いのですが…」

「はい…クロウ様の身体も一行に良くなりませんからね…」

馬車に乗って外を見張っているリュークとメイディはそう呟きながらクロウを見る。

「コヒュー…コヒュー…コヒュー」

皮膚から流れ出る血は1週間前よりは治ったが、それでも血は包帯やタオルに染み込み、定期的に変えなければならない。

「フィオナ様お願いいたしますわ」

「分かったわ…"クリエイトウォーター"」

「魔法があると本当に便利だよね…ボクも魔法が使えたらなぁ」

シャルがそう言うのはフィオナの水魔法の事だろう、魔力があるうちはその水で喉を潤す事も出来るし、ミオが頼んだようにクロウの血だらけの包帯とタオルを洗う事が出来る。

もちろんミオ達は血からの感染を恐れて手袋もしているが、それも洗っている。

「本当は駄目なんだけど、今のおれ達には綺麗な包帯もタオルも手袋もない、使えるものは使うしかないさ」

「エムルの言う通りね、わたし達が病気になってしまったらこの騎士団は終わりよ」

エムルとメジーナは元日本人、社会の教科書で感染についての知識は少しはある、
更に SARS-CoV-2新型コ○ナウイルスのお陰…と言うのは酷いが感染についての恐ろしさも知っている。

だからこそ他人の血を触る事、それが体内に入る事の危険性を危惧しているのだ。

「でも、辞めるわけにはいきませんよ」

「はい、治癒師の人達は治癒に専念してもらう為にもわたし達の今出来る事をしましょう」

リュークとメイディはそう言うと再び外を見る雲一つない晴れた空だが、彼らの心は嵐の中にいた。

———————————————————————
Q 他の騎士団員達は何をしているの?

A フィオナ達が「クロウの治癒以外は全部やる」と言って他の怪我人に所へ行かせたから
あと、クレイ達も他の馬車に乗っている。
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