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王都
115.
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あれから3日経つがククルの熱は中々下がらない。
時々起きるのでその隙に水分を取らせ、薬を飲ませてはいるがここまで長引いた事はないので心配だ。
ユミンはとりあえず実家に預けている。
今この家にいても手を掛ける事が出来ない。
夜にはハナにも屋敷に行ってもらいユミンの様子を見てもらっている。
「失礼します。アイザック様、そろそろお屋敷の方に参ります。」
「あぁ、気をつけて」
「あの、差し出がましい申し出ですがククル様の事、マリアント様にご相談されてみては如何でしょうか。薬師様には独特の治療法があると聴き受けますので」
「確かに、このままではククルがどんどん衰弱してしまう。悪いが屋敷に行く前に手紙を届けて貰えるか」
俺はハナの申し出を素直に受け取りマーサスとマリアント様宛に手紙をかいた。
ハナが出てから1時間程した頃だろうか。
玄関の扉を叩く音が聞こえたので下に降りる。
「アイザック、俺だ。マーサスだ」
慌てて扉を開けるとマーサスとマリアント様がそこに立っていた。
「こんな時間にすまない」
「構わないわよ。ククルちゃんの様子を見せてもらうわね」
マリアント様は挨拶もそこそこにククルの部屋へと向かう。
後から男2人でついて行くと部屋の前で待つ様にいわれ、中へは入れてもらえなかった。
廊下にいても仕方がないので俺の私室にマーサスを招きそこで待つ事にした。
「アイザック、大変みたいだな。いつからだ?」
マーサスにここ数日の事を説明する。
ついてにユミンの事も報告した。
あの兄妹達も多少は参っている様だがそれほどでも無く今は親が迎えに来るのを待っている様だ。
ユミンについてもハナに聞く限りでは体調を崩す事もなく真面目に教育を受けているとか。
今回、ククルが一番影響を受けたみたいで可哀想だ。
「あの時、馬車に置いて行かなければ、、、」
「まあ、自分を責めるな。お陰で3人は無事なんだから」
マーサスに愚痴を聞いて貰っているとマリアント様が部屋に入ってきた。
「お忙しいのにありがとうございます。ククルの様子はどうですか?」
「アイザック、気にしないで。あの子の事なんだけれど体内の魔力循環が随分悪いのが気になるのよ。一度教会の方で循環を診てもらった方がよいと思うわ」
「教会?」
マリアント様の話だと王都の教会には魔力の循環を見れる専門の人がいるいるらしい。
恐らく熱が下がらない原因だとの事でなんらかの処方をして貰った方が良いとのこと。
「そうか、正直どうしたら良いか途方に暮れていたので助かります。」
「まぁ、まだ子供なんだし色々あるとは思うわよ。また、何かあったらいつでも相談して」
そうして2人は帰って行った。
明日はとりあえず教会に連れて行こう。
専門家もだがそれなら一度ネル様にお伺いしてみても良いかもとちょっと先の事に希望が見えた。
教会に赴き、貴族の礼拝堂へと足を運ぶ。
「アイザックさん、ようこそおいでくださいましたね。ククルのことですね」
「ネル様、お応え頂きありがとうございます」
「まずはククルの事をお預かりいたしますね」
ネル様はそう言うなりククルをそっと抱き上げる。すると光に包まれた。
「暫くしたら落ち着くと思います。その間にお話しておきますね」
ネル様の説明では今回、攫われた時に極度のストレスがかかってしまい体調を崩したのがきっかけになっているとか。
精神が大人だからある程度は耐える事が出来てしまう。その分反動が大きいとか。
身体の割に魔力量が多い所為で寝込む様な事があると循環が悪くなり今回みたいになってしまうらしい。
寝込まない様に管理するのが一番とのことだが精神が大人な分、恐らく自己管理は無理だろうと。
「アイザックさん、今回の様な事がもしまた起こりましたら大丈夫そうにしていても必ず反動がきます。そうなる前に対処してあげてほしいと、私のお願いですが、、、」
「分かりました」
「無理なお願いをして申し訳ございません。もう少し歳を重ねれば落ち着くと思いますので」
話が終わりククルがふわりと腕の中に戻ってきた。
明日にはある程度、熱も下がりあとは快方に向かうとの事。
ネル様にお礼を伝え、家に帰った。
教会から帰ってからは顔色も随分と良く気持ちよさそうに寝ている。
その姿に少し安心し、今晩はゆっくり寝れそうだと横になった。
「あれ?アイザックがなんでここにいるの?」
ククルの声で目が覚めた。
横を見るとまだ寝転がってはいるもののスッキリした顔が見える。
「おはようククル、気分はどうだ?熱を出して随分寝込んでいたんだぞ」
起き上がりながら今回の事を説明する。
話を聞いているうちに靄がかかっていた記憶が徐々に戻ってきた様で恥ずかしそうに俯いた。
「いつも迷惑かけてごめんね。でもありがとう」
とりあえずなんとか元気になったのでホッと安心したのだった。
時々起きるのでその隙に水分を取らせ、薬を飲ませてはいるがここまで長引いた事はないので心配だ。
ユミンはとりあえず実家に預けている。
今この家にいても手を掛ける事が出来ない。
夜にはハナにも屋敷に行ってもらいユミンの様子を見てもらっている。
「失礼します。アイザック様、そろそろお屋敷の方に参ります。」
「あぁ、気をつけて」
「あの、差し出がましい申し出ですがククル様の事、マリアント様にご相談されてみては如何でしょうか。薬師様には独特の治療法があると聴き受けますので」
「確かに、このままではククルがどんどん衰弱してしまう。悪いが屋敷に行く前に手紙を届けて貰えるか」
俺はハナの申し出を素直に受け取りマーサスとマリアント様宛に手紙をかいた。
ハナが出てから1時間程した頃だろうか。
玄関の扉を叩く音が聞こえたので下に降りる。
「アイザック、俺だ。マーサスだ」
慌てて扉を開けるとマーサスとマリアント様がそこに立っていた。
「こんな時間にすまない」
「構わないわよ。ククルちゃんの様子を見せてもらうわね」
マリアント様は挨拶もそこそこにククルの部屋へと向かう。
後から男2人でついて行くと部屋の前で待つ様にいわれ、中へは入れてもらえなかった。
廊下にいても仕方がないので俺の私室にマーサスを招きそこで待つ事にした。
「アイザック、大変みたいだな。いつからだ?」
マーサスにここ数日の事を説明する。
ついてにユミンの事も報告した。
あの兄妹達も多少は参っている様だがそれほどでも無く今は親が迎えに来るのを待っている様だ。
ユミンについてもハナに聞く限りでは体調を崩す事もなく真面目に教育を受けているとか。
今回、ククルが一番影響を受けたみたいで可哀想だ。
「あの時、馬車に置いて行かなければ、、、」
「まあ、自分を責めるな。お陰で3人は無事なんだから」
マーサスに愚痴を聞いて貰っているとマリアント様が部屋に入ってきた。
「お忙しいのにありがとうございます。ククルの様子はどうですか?」
「アイザック、気にしないで。あの子の事なんだけれど体内の魔力循環が随分悪いのが気になるのよ。一度教会の方で循環を診てもらった方がよいと思うわ」
「教会?」
マリアント様の話だと王都の教会には魔力の循環を見れる専門の人がいるいるらしい。
恐らく熱が下がらない原因だとの事でなんらかの処方をして貰った方が良いとのこと。
「そうか、正直どうしたら良いか途方に暮れていたので助かります。」
「まぁ、まだ子供なんだし色々あるとは思うわよ。また、何かあったらいつでも相談して」
そうして2人は帰って行った。
明日はとりあえず教会に連れて行こう。
専門家もだがそれなら一度ネル様にお伺いしてみても良いかもとちょっと先の事に希望が見えた。
教会に赴き、貴族の礼拝堂へと足を運ぶ。
「アイザックさん、ようこそおいでくださいましたね。ククルのことですね」
「ネル様、お応え頂きありがとうございます」
「まずはククルの事をお預かりいたしますね」
ネル様はそう言うなりククルをそっと抱き上げる。すると光に包まれた。
「暫くしたら落ち着くと思います。その間にお話しておきますね」
ネル様の説明では今回、攫われた時に極度のストレスがかかってしまい体調を崩したのがきっかけになっているとか。
精神が大人だからある程度は耐える事が出来てしまう。その分反動が大きいとか。
身体の割に魔力量が多い所為で寝込む様な事があると循環が悪くなり今回みたいになってしまうらしい。
寝込まない様に管理するのが一番とのことだが精神が大人な分、恐らく自己管理は無理だろうと。
「アイザックさん、今回の様な事がもしまた起こりましたら大丈夫そうにしていても必ず反動がきます。そうなる前に対処してあげてほしいと、私のお願いですが、、、」
「分かりました」
「無理なお願いをして申し訳ございません。もう少し歳を重ねれば落ち着くと思いますので」
話が終わりククルがふわりと腕の中に戻ってきた。
明日にはある程度、熱も下がりあとは快方に向かうとの事。
ネル様にお礼を伝え、家に帰った。
教会から帰ってからは顔色も随分と良く気持ちよさそうに寝ている。
その姿に少し安心し、今晩はゆっくり寝れそうだと横になった。
「あれ?アイザックがなんでここにいるの?」
ククルの声で目が覚めた。
横を見るとまだ寝転がってはいるもののスッキリした顔が見える。
「おはようククル、気分はどうだ?熱を出して随分寝込んでいたんだぞ」
起き上がりながら今回の事を説明する。
話を聞いているうちに靄がかかっていた記憶が徐々に戻ってきた様で恥ずかしそうに俯いた。
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