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鞠花と蓉子が出逢ったのはミッション系の女子校だった。
ぎりぎりの成績で中学受験を乗り切った。
幼稚舎から小学校、中高も一貫の女子校では生徒全員が寮での生活だった。
短大までエスカレータである。
学校も寮も贅を尽くしたリゾートホテル並みの設備が整っていた。
赤レンガの校舎群がひとつの街を占拠している。
寮は六階建て。
最上階に大きなガラスの天窓があった。
建物の真ん中が吹き抜けで
日差しが一階の広々としたカフェテリアにまで降り注ぐ。
コンビニ、雑貨店、書店、美容院に歯科医院まであった。
そこで二人は中一から同じクラスで中高の六年間共に暮らした。
鞠花は短大に進んだが蓉子は共学に憧れて難関私立に進んだ。
寮での上下関係は厳しく。
下級生は上級生に対して絶対服従だった。
また上級生は何よりも下級生の前でプライドを崩される事を恐れた。
毎晩の食事はナイフフォークの正餐時のカトラリーが並ぶ。
白いテーブルクロスの円卓には、
上級生と下級生を満遍無く組み合わせたメンバーが週替わりでつく。
最上級生はその場で話題を提供し食事の合間の会話をリードする役目を負わされた。
常に面白い話の種を探していた。
同じテーブルのみんなが退屈していないか気を配った。
下級生も会話に加わり機知に富む応えを要求される。
「みなさん。楽しくお食事すること。
それは『楽しい会話です』マナーだけに気を取られていてはなりません」
一年中同じツイードのスーツを着た英国人の舎監が夕食前になるといつも繰り言の教訓を垂れた。
私達はまだ中一だった……と鞠花は当時を思い返す。
蓉子の痴態を最初に見たのは高校にあがって直ぐだった。
中学受験で入ったばかりの頃の鞠花は怯え切った猫だった。
周囲から好奇の目で四六時中監視されている息苦しさに胸も圧し潰されそうだった。
幼稚舎も小学校も受験に失敗した結果だ。
「一条様。ちょっとお可哀相ですわ。どうかしらお茶に誘ってみましょうか」
「無理よ。あの子はちっとも打ち解けない。そうしようとも努力しない。成績もね。ふふ」
「わるくちはおやめなさい」
「あらごめん遊ばせ。でも、自業自得よ。幼稚舎を受験に失敗して過ごした方ですもの」
お喋りのさざ波に乗ってそんな少女たちの会話が細くも鋭く鞠花の耳を狙って届くのだ。
家族から、お兄ちゃまからも遠く離れて見知らぬ少女達と24時間一緒なのだ。
目に見えない絶対の秩序と大勢の同じ年ごろの少女達の熱気に慣れるのに時間がかかった。
二人部屋の
ルームメイトになったのが蓉子だった。
にっこり微笑んで自分はお嬢様気質じゃないの、仲良くしましょという蓉子のさばけた挨拶に鞠花はホッとした。この人とはお友達になれるかも。
まだ初夏の宵の口だった。
「ねえ。蓉子さん眠った?」真夜中にカーテンで仕切られた向こうに囁く。
「いいえ」
「ねえ。蓉子さんのお姉様もここ出身なんですってね?何かいってらして?」
「なに?」
「だから、ここの何か評判というのか……どの科目を選択していいのかさっぱりなの」
「怖い……」
「え?」
「怖いの。あなたもきっと呼ばれるわ。可愛いもの……怖い事されるのよ」
「え?怖い事って?」
二人の寝台の間にある縦長の洒落た窓から入るぼんやりとした月明りが白い壁の部屋は青い深海を思わせた。
机のわきのチェストに大きなフランス人形が座っていた。
鞠花が持ち込んだ私物だ。上級生に取り上げられそうになったところを
蓉子が果敢にも説得してくれた。
これは鞠花の祖母の形見で常に傍で一緒に暮らすのを遺言に残したのだと……
「ありがとう。勇気あるのね。でも全部ウソ」笑いがこみあげる。
「勇気が一番無いの私」
鞠花は自分の褒め言葉が通じないのがもどかしく哀しい気持ちになった。
開け放した窓から寮の後ろに林立する樹木の新鮮な仄かな香りがしていた。
―――――蓉子さん、まさか泣いてる?
じっと目を凝らすと蓉子が薄い羽根布団を頭から被って震えている気配に驚いた。
蓉子が人形の一件で上級生に逆らった代償を払わされていたと知ったのはずっと後の事だった。
そして入寮して三ヵ月後の土曜の夜。
鞠花は蓉子が恐れていたのが何なのかをはっきり知る事となった。
『女子校の洗礼』は厳しいものだった。
真夜中の一時過ぎに教会堂に呼び出された。
鞠花と蓉子はぴたりと寄り添って中へ入った。
自分達以外にも下級生たち10人程が集められていた。
訝しむ鞠花と腕を組んだ蓉子の震えが伝わってきてただ事では無いのだと悟った。
招集された少女達の手にはロザリオの鎖が絡まっていた。
ふわっと目の前が白くなった。
問答無用に上級生に頭からすっぽりと白いサワサワと衣擦れのするナイトウエアを被せられたのだ。
「パジャマは脱ぎなさい。履いているものもね」
習慣とは恐ろしいもので不可解極まりない命令でも疑問を抱く余地もなく従った。
上級生に絶対服従。
高等部のお姉さま達に逆らう位なら日本国憲法に逆らう方を選んでいただろう。
狭い行動範囲の中で征服者と被征服者の関係が続き
中一年生などすっかり飼いならされていた……
パジャマを脱いで大きな籠に放り込んだ。
下級生の少女達は素肌がすっかり透けるナイトウエア一枚をまとって裸足のまま一列に並ばされた。
上級生たちは洒落たナイトガウンに刺繍の上履きだ。
大勢の上級生たちが祭壇の前にも横にも後ろにも並んでいた。
威風堂々としたお姉さまたちに鞠花等は大いに怯えた。
恥ずかしさに真っ赤になって俯いたり上目使いにチラチラと様子を伺った。
なにしろ着せられたのは襟ぐりが大きく肩も剥き出しで乳房も半分みえて素肌も透けているのだ。
輪の中心に、女王様の威厳で最上級生にして生徒会長の池之端清華がひとり椅子に座って長い脚を組んでいた。
「相変わらずの美貌ね。あなた」
「ゆ、赦してください。姉はここの出身です!高梨卿子です」
ちょっと間があって「そう。高梨様の。ふうん」それで蓉子から隣の鞠花に視線が移った。
「ま。新入りさん。お名前は?」そう質問する生徒会長の吊り上がった薄い唇にと細めた眼に射抜かれて鞠花はすっかりあがってしまった。
「一条鞠花と申します」擦れた小さな声でやっと答えた。
「ここへ」
催眠術にかかったように鞠花は『女王様』の前に歩み出た。
女王の横で長い棒を手にした二年生がドンと棒で床を叩いて「跪くのです!」
鞠花は言われるがままにして首を垂れ震えた。
「あまり脅かさないで副会長。さあ、鞠花さん、わたくしのここを舐めるのです」
え?
顔をあげると鞠花の頭はすっぽりと女王様のナイトガウンの中にあり
女王様の一糸まとわぬ下半身の脚が両脇に開かれ薄っすら濡れた薄紫の縦に割れた秘裂があった。アンダーヘアは処理され少しも無い。
副会長と反対側にいた上級生が十三本の蝋燭が灯る燭台を近づけて何もかもつぶさに見えた。
うそでしょう??
少し椅子から前に腰をずらして女王様は鞠花が舐めやすい様にと脚をさらに大きく開き「さあ!早くなさい!命令です。わたくしの命令が聞こえないのですか!」
「は、はい」鞠花は両手を女王の太腿にかけ唇を秘裂に当てた。
「舐めるのよ、仔猫ちゃん」
そっと舌を出して襞を舐めた。舐めあげた拍子に膨らみかけた花芯にも舌が触れた。
「んん……いいわ。ソコよ!もっとしなさい!」
兄との情事で女がどこをいじられれば気持ちいいか熟知していた。
半分恐怖と半分好奇心が働いて鞠花の小さな赤い唇で女王様の秘所を懸命に舐めた。
口を吸盤の様にしてクリトリスも花襞も同時に吸い上げ口内で細めた舌先でチロチロと侵入するのを繰り返した。
懸命に奉仕する鞠花は女王の清華の淫らに喘ぐ声など耳にも入らない。
……ああ、ああ…んっ…う、うう…いいわあ…いいっ!ああ
座った王座の肘掛に両手を預けて清華は呻吟し顎をあげたり頭を振ったりした。
まるで拷問の椅子に拘束されているかの有様だ。
ぷっくり膨らんだクリトリスを口に含んで軽く噛む吸い上げる。
ぴちゃぴちゃと淫猥な音が教会堂に響いた。
きゃ!あ……
女王様に奉仕しながら膝を付いている鞠花のお尻に後ろから誰かの両手がかかった。
「わたくしが優しくして差し上げてよ」耳元で囁かれた。
「あっああ…い、いたっ……あっ!い、いい……痛い、で、す…」
「まあ。ねんねだこと。少し掻っただけよ」
「で、でも痛い。やめてください」乳首を本気の強さで摘ままれたのだ。
「これはどうかしら」
「いやああ………っ!」
そっと鞠花のアソコに尻から手を滑らせ襞の入口で細い五本の指が琴を掻き鳴らすテクニックで鞠花は達してしまった。
ガクリと前に倒れ込んだ。
「まだよ」鞠花の両手をベンチに掛けさせて腰を引いて尻を撫でた。「綺麗ね。しっとりと湿ってる。柔らかいし小さなお尻ってキュートよね」
襞の奥へ奥へと指を奥まで入れられてグッと上に指が曲がった。
ソコ!……いい……!
倒れそうになる。
――ーーいやっ!いやああ……あ……うう……あっ!!
秘裂をなぞられた鞠花は自分以外の手でいじられてまた、
どっと快感が湧き上がる。
嬌声を殺すために更に女王様に奉仕するのに懸命になった。
「あああ……っああ…わ、悪い子っ!よくってよ!鞠花さん!とてもお上手……うううっあっ!」
後から自分に加えられる愛撫に応えるように更に清華の嬌声を引き出した。
溢れた蜜をじゅるじゅると啜り上げる。
その間も何人かの上級生達が入れ代わり立ち代わり後ろから鞠花の秘所や薄い胸まで手を伸ばして弄んだ。
女王様がぶるぶると震えオルガズムの頂点を極め、椅子に座ったまま身体を弛緩させた。
漸く鞠花は解放された。
教会堂の壇上から机や椅子の間にも床にまでも禁忌の御愉しみの光景が広がっているのに驚いた。
上級生達に囲まれて足首と手首を机の上に押さえつけられている少女がいた。
六、七人が群がっている。
腕しか見えないが声は蓉子だと気づいた。
そっと立ち上がり誰も刺激しないよう近づいた。
嫌がる蓉子は必死で逃れようともがいて首を激しく振っていた。
ナイトガウンを引き落とされ豊な乳房を揉まれたり乳首を吸われたりしている。
体のあちこちにキスする者。
耳たぶを噛む者。
唇を吸う者。
そして……これが初めてではないのかもしれない。
……肉襞にズボズボと音をたてて大きなディルドを入れたり引いたりする狂女がいた。
けたたましい笑い声をあげている。普段は黒ぶちの眼鏡に長いおさげ髪の三年生だ!
鞠花は驚いた。まさかあの人が??と思った。
いつも本や日誌を片手に眼鏡のずり下がりを頻りになおしている品行方正な先輩といった印象しかなかった。
蓉子が本気で嫌がっているのは一目で判る。
必死でもがき首を激しく振る。
跳ねる少女はその度に強く押さえつけられる。
女同士で普通じゃない。
それに襲われているものの上級生達に嬲られ喜んでいる下級生も多いのだ。
狂ってる!みんな。私も……そのひとり。
嫌がる蓉子に何度も何度も『男根』を押し込んで引いてを繰り返される。
体を押さえつけられて酷い事をされている蓉子を可哀相だと思ったのは確かだ。
だが自分はああまでされないという
妙な悔しさと嫉妬心を抱く自分に自分で驚いていた。
――――きっと、お姉さま達は蓉子みたいな大人の体の子がお好きなんだわ……教会堂の長椅子の陰に隠れて鞠花は瞳を見開いていた。
段々エスカレートして、蓉子のだらりとした手を自分の乳房にあてがって『さあ揉んで』とか、
もう片方の手を秘所に差し込んで『さあ、奉仕なさい』と命令した。
んん……あっ、そう。もっとと強く。いいわ。
お姉さまがやってあげるから…あなたも……ね…ああっ!
蓉子の両の胸は左右から二人の上級生達にそれぞれ強く揉まれて苦しそうな息を吐いていた。
強引に持っていかれた蓉子の指先を自分の襞奥に充てて擦り自ら快楽を引き出す自慰に耽るのは旧華族の三年生だ。
あっあっあぅう、ああ……っ……ああ……
空いた片手は蓉子の胸を揉んでいた。
机の上で全身を犯され続けた。
――ーーー苦しそうな蓉子、少しも気持ちよくないみたい。もうここまで来たら愉しめばいいのに。嫌だ。わたしったら何て事考えてるのよ。本当は淫らでいやらしい子なんだわ。
その夜のしめくくりに女王清華が壇上から宣言した。
「あなたはわたくし専属の奴隷になるのよ鞠花さん。いいわね?皆様も」
賛同の声が唱和した。
次の日。
朝が来て日常が始まった。
しかし世界は変貌していた。
廊下を歩くと鞠花に上級生全員がお辞儀する。
どうして!?
お辞儀を返しながらあっけにとられる。
下級生からお辞儀されても上級生は一切、返礼しないのが仕来たりなのに!
逆になってる。
「あなた。上手くやったわね。清華様の一番のお気に入りになって。聞いたわよ」
美術の時間、隣にイーゼルを立てていた蓉子が耳元に囁いてきた。
「そんな」
「いいじゃない。『特待生』ね」
時は流れた。
そのままエスカレーターで短大に進むと自宅から車で通った。
もう寮には戻らなくていいのだ。
蓉子は名門私学に進んだ。
会う事も間遠になったが二人の友情は続いた。
渋谷でドンといきなり背中を押された。
「鞠花!後ろからみると女子高生みたいね。ふふふ」蓉子にそう指摘されて慌てた。
大学生にもなったのに子供っぽいんだと自覚がある。
バックひとつとっても。
「髪型少しも変わってないのね」
「そ、そう。これが好きよ」
「イメチェンしてみれば?ヘアスタイルなんかいつでも変えられるじゃない?」
蓉子みたいにしてみようかなと一言漏らすとサロンを紹介してくれた。
黒いサラサラの髪を切って栗色に染めた。大きなロッドで巻いてタテロールをつくった。
でもその半月後には蓉子がストレートの黒いロングヘアに変身して待ち合わせのカフェに現れた。
うそ。前の私と同じじゃない。
――――最初から蓉子は私の髪型にしたかったんだ。
でも被るのは嫌だから先にこっちを茶髪巻き髪に誘導したってこと………??
初めて鞠花は親友に『裏切られた』という気がした。全くたわいもない事だった。
改めてショーウインドーに映る自分の姿を眺めて
タテロールが漫画に出てくる悪役令嬢に思えてきた。
ヘンよね。
こんな事で……裏切りなんて大袈裟だわ。
だが、何かが崩れたと感じた鞠花は蓉子の彼氏の美容師に食事を誘われて断らなかった。
その頃から会う事も間があいていった。
ぎりぎりの成績で中学受験を乗り切った。
幼稚舎から小学校、中高も一貫の女子校では生徒全員が寮での生活だった。
短大までエスカレータである。
学校も寮も贅を尽くしたリゾートホテル並みの設備が整っていた。
赤レンガの校舎群がひとつの街を占拠している。
寮は六階建て。
最上階に大きなガラスの天窓があった。
建物の真ん中が吹き抜けで
日差しが一階の広々としたカフェテリアにまで降り注ぐ。
コンビニ、雑貨店、書店、美容院に歯科医院まであった。
そこで二人は中一から同じクラスで中高の六年間共に暮らした。
鞠花は短大に進んだが蓉子は共学に憧れて難関私立に進んだ。
寮での上下関係は厳しく。
下級生は上級生に対して絶対服従だった。
また上級生は何よりも下級生の前でプライドを崩される事を恐れた。
毎晩の食事はナイフフォークの正餐時のカトラリーが並ぶ。
白いテーブルクロスの円卓には、
上級生と下級生を満遍無く組み合わせたメンバーが週替わりでつく。
最上級生はその場で話題を提供し食事の合間の会話をリードする役目を負わされた。
常に面白い話の種を探していた。
同じテーブルのみんなが退屈していないか気を配った。
下級生も会話に加わり機知に富む応えを要求される。
「みなさん。楽しくお食事すること。
それは『楽しい会話です』マナーだけに気を取られていてはなりません」
一年中同じツイードのスーツを着た英国人の舎監が夕食前になるといつも繰り言の教訓を垂れた。
私達はまだ中一だった……と鞠花は当時を思い返す。
蓉子の痴態を最初に見たのは高校にあがって直ぐだった。
中学受験で入ったばかりの頃の鞠花は怯え切った猫だった。
周囲から好奇の目で四六時中監視されている息苦しさに胸も圧し潰されそうだった。
幼稚舎も小学校も受験に失敗した結果だ。
「一条様。ちょっとお可哀相ですわ。どうかしらお茶に誘ってみましょうか」
「無理よ。あの子はちっとも打ち解けない。そうしようとも努力しない。成績もね。ふふ」
「わるくちはおやめなさい」
「あらごめん遊ばせ。でも、自業自得よ。幼稚舎を受験に失敗して過ごした方ですもの」
お喋りのさざ波に乗ってそんな少女たちの会話が細くも鋭く鞠花の耳を狙って届くのだ。
家族から、お兄ちゃまからも遠く離れて見知らぬ少女達と24時間一緒なのだ。
目に見えない絶対の秩序と大勢の同じ年ごろの少女達の熱気に慣れるのに時間がかかった。
二人部屋の
ルームメイトになったのが蓉子だった。
にっこり微笑んで自分はお嬢様気質じゃないの、仲良くしましょという蓉子のさばけた挨拶に鞠花はホッとした。この人とはお友達になれるかも。
まだ初夏の宵の口だった。
「ねえ。蓉子さん眠った?」真夜中にカーテンで仕切られた向こうに囁く。
「いいえ」
「ねえ。蓉子さんのお姉様もここ出身なんですってね?何かいってらして?」
「なに?」
「だから、ここの何か評判というのか……どの科目を選択していいのかさっぱりなの」
「怖い……」
「え?」
「怖いの。あなたもきっと呼ばれるわ。可愛いもの……怖い事されるのよ」
「え?怖い事って?」
二人の寝台の間にある縦長の洒落た窓から入るぼんやりとした月明りが白い壁の部屋は青い深海を思わせた。
机のわきのチェストに大きなフランス人形が座っていた。
鞠花が持ち込んだ私物だ。上級生に取り上げられそうになったところを
蓉子が果敢にも説得してくれた。
これは鞠花の祖母の形見で常に傍で一緒に暮らすのを遺言に残したのだと……
「ありがとう。勇気あるのね。でも全部ウソ」笑いがこみあげる。
「勇気が一番無いの私」
鞠花は自分の褒め言葉が通じないのがもどかしく哀しい気持ちになった。
開け放した窓から寮の後ろに林立する樹木の新鮮な仄かな香りがしていた。
―――――蓉子さん、まさか泣いてる?
じっと目を凝らすと蓉子が薄い羽根布団を頭から被って震えている気配に驚いた。
蓉子が人形の一件で上級生に逆らった代償を払わされていたと知ったのはずっと後の事だった。
そして入寮して三ヵ月後の土曜の夜。
鞠花は蓉子が恐れていたのが何なのかをはっきり知る事となった。
『女子校の洗礼』は厳しいものだった。
真夜中の一時過ぎに教会堂に呼び出された。
鞠花と蓉子はぴたりと寄り添って中へ入った。
自分達以外にも下級生たち10人程が集められていた。
訝しむ鞠花と腕を組んだ蓉子の震えが伝わってきてただ事では無いのだと悟った。
招集された少女達の手にはロザリオの鎖が絡まっていた。
ふわっと目の前が白くなった。
問答無用に上級生に頭からすっぽりと白いサワサワと衣擦れのするナイトウエアを被せられたのだ。
「パジャマは脱ぎなさい。履いているものもね」
習慣とは恐ろしいもので不可解極まりない命令でも疑問を抱く余地もなく従った。
上級生に絶対服従。
高等部のお姉さま達に逆らう位なら日本国憲法に逆らう方を選んでいただろう。
狭い行動範囲の中で征服者と被征服者の関係が続き
中一年生などすっかり飼いならされていた……
パジャマを脱いで大きな籠に放り込んだ。
下級生の少女達は素肌がすっかり透けるナイトウエア一枚をまとって裸足のまま一列に並ばされた。
上級生たちは洒落たナイトガウンに刺繍の上履きだ。
大勢の上級生たちが祭壇の前にも横にも後ろにも並んでいた。
威風堂々としたお姉さまたちに鞠花等は大いに怯えた。
恥ずかしさに真っ赤になって俯いたり上目使いにチラチラと様子を伺った。
なにしろ着せられたのは襟ぐりが大きく肩も剥き出しで乳房も半分みえて素肌も透けているのだ。
輪の中心に、女王様の威厳で最上級生にして生徒会長の池之端清華がひとり椅子に座って長い脚を組んでいた。
「相変わらずの美貌ね。あなた」
「ゆ、赦してください。姉はここの出身です!高梨卿子です」
ちょっと間があって「そう。高梨様の。ふうん」それで蓉子から隣の鞠花に視線が移った。
「ま。新入りさん。お名前は?」そう質問する生徒会長の吊り上がった薄い唇にと細めた眼に射抜かれて鞠花はすっかりあがってしまった。
「一条鞠花と申します」擦れた小さな声でやっと答えた。
「ここへ」
催眠術にかかったように鞠花は『女王様』の前に歩み出た。
女王の横で長い棒を手にした二年生がドンと棒で床を叩いて「跪くのです!」
鞠花は言われるがままにして首を垂れ震えた。
「あまり脅かさないで副会長。さあ、鞠花さん、わたくしのここを舐めるのです」
え?
顔をあげると鞠花の頭はすっぽりと女王様のナイトガウンの中にあり
女王様の一糸まとわぬ下半身の脚が両脇に開かれ薄っすら濡れた薄紫の縦に割れた秘裂があった。アンダーヘアは処理され少しも無い。
副会長と反対側にいた上級生が十三本の蝋燭が灯る燭台を近づけて何もかもつぶさに見えた。
うそでしょう??
少し椅子から前に腰をずらして女王様は鞠花が舐めやすい様にと脚をさらに大きく開き「さあ!早くなさい!命令です。わたくしの命令が聞こえないのですか!」
「は、はい」鞠花は両手を女王の太腿にかけ唇を秘裂に当てた。
「舐めるのよ、仔猫ちゃん」
そっと舌を出して襞を舐めた。舐めあげた拍子に膨らみかけた花芯にも舌が触れた。
「んん……いいわ。ソコよ!もっとしなさい!」
兄との情事で女がどこをいじられれば気持ちいいか熟知していた。
半分恐怖と半分好奇心が働いて鞠花の小さな赤い唇で女王様の秘所を懸命に舐めた。
口を吸盤の様にしてクリトリスも花襞も同時に吸い上げ口内で細めた舌先でチロチロと侵入するのを繰り返した。
懸命に奉仕する鞠花は女王の清華の淫らに喘ぐ声など耳にも入らない。
……ああ、ああ…んっ…う、うう…いいわあ…いいっ!ああ
座った王座の肘掛に両手を預けて清華は呻吟し顎をあげたり頭を振ったりした。
まるで拷問の椅子に拘束されているかの有様だ。
ぷっくり膨らんだクリトリスを口に含んで軽く噛む吸い上げる。
ぴちゃぴちゃと淫猥な音が教会堂に響いた。
きゃ!あ……
女王様に奉仕しながら膝を付いている鞠花のお尻に後ろから誰かの両手がかかった。
「わたくしが優しくして差し上げてよ」耳元で囁かれた。
「あっああ…い、いたっ……あっ!い、いい……痛い、で、す…」
「まあ。ねんねだこと。少し掻っただけよ」
「で、でも痛い。やめてください」乳首を本気の強さで摘ままれたのだ。
「これはどうかしら」
「いやああ………っ!」
そっと鞠花のアソコに尻から手を滑らせ襞の入口で細い五本の指が琴を掻き鳴らすテクニックで鞠花は達してしまった。
ガクリと前に倒れ込んだ。
「まだよ」鞠花の両手をベンチに掛けさせて腰を引いて尻を撫でた。「綺麗ね。しっとりと湿ってる。柔らかいし小さなお尻ってキュートよね」
襞の奥へ奥へと指を奥まで入れられてグッと上に指が曲がった。
ソコ!……いい……!
倒れそうになる。
――ーーいやっ!いやああ……あ……うう……あっ!!
秘裂をなぞられた鞠花は自分以外の手でいじられてまた、
どっと快感が湧き上がる。
嬌声を殺すために更に女王様に奉仕するのに懸命になった。
「あああ……っああ…わ、悪い子っ!よくってよ!鞠花さん!とてもお上手……うううっあっ!」
後から自分に加えられる愛撫に応えるように更に清華の嬌声を引き出した。
溢れた蜜をじゅるじゅると啜り上げる。
その間も何人かの上級生達が入れ代わり立ち代わり後ろから鞠花の秘所や薄い胸まで手を伸ばして弄んだ。
女王様がぶるぶると震えオルガズムの頂点を極め、椅子に座ったまま身体を弛緩させた。
漸く鞠花は解放された。
教会堂の壇上から机や椅子の間にも床にまでも禁忌の御愉しみの光景が広がっているのに驚いた。
上級生達に囲まれて足首と手首を机の上に押さえつけられている少女がいた。
六、七人が群がっている。
腕しか見えないが声は蓉子だと気づいた。
そっと立ち上がり誰も刺激しないよう近づいた。
嫌がる蓉子は必死で逃れようともがいて首を激しく振っていた。
ナイトガウンを引き落とされ豊な乳房を揉まれたり乳首を吸われたりしている。
体のあちこちにキスする者。
耳たぶを噛む者。
唇を吸う者。
そして……これが初めてではないのかもしれない。
……肉襞にズボズボと音をたてて大きなディルドを入れたり引いたりする狂女がいた。
けたたましい笑い声をあげている。普段は黒ぶちの眼鏡に長いおさげ髪の三年生だ!
鞠花は驚いた。まさかあの人が??と思った。
いつも本や日誌を片手に眼鏡のずり下がりを頻りになおしている品行方正な先輩といった印象しかなかった。
蓉子が本気で嫌がっているのは一目で判る。
必死でもがき首を激しく振る。
跳ねる少女はその度に強く押さえつけられる。
女同士で普通じゃない。
それに襲われているものの上級生達に嬲られ喜んでいる下級生も多いのだ。
狂ってる!みんな。私も……そのひとり。
嫌がる蓉子に何度も何度も『男根』を押し込んで引いてを繰り返される。
体を押さえつけられて酷い事をされている蓉子を可哀相だと思ったのは確かだ。
だが自分はああまでされないという
妙な悔しさと嫉妬心を抱く自分に自分で驚いていた。
――――きっと、お姉さま達は蓉子みたいな大人の体の子がお好きなんだわ……教会堂の長椅子の陰に隠れて鞠花は瞳を見開いていた。
段々エスカレートして、蓉子のだらりとした手を自分の乳房にあてがって『さあ揉んで』とか、
もう片方の手を秘所に差し込んで『さあ、奉仕なさい』と命令した。
んん……あっ、そう。もっとと強く。いいわ。
お姉さまがやってあげるから…あなたも……ね…ああっ!
蓉子の両の胸は左右から二人の上級生達にそれぞれ強く揉まれて苦しそうな息を吐いていた。
強引に持っていかれた蓉子の指先を自分の襞奥に充てて擦り自ら快楽を引き出す自慰に耽るのは旧華族の三年生だ。
あっあっあぅう、ああ……っ……ああ……
空いた片手は蓉子の胸を揉んでいた。
机の上で全身を犯され続けた。
――ーーー苦しそうな蓉子、少しも気持ちよくないみたい。もうここまで来たら愉しめばいいのに。嫌だ。わたしったら何て事考えてるのよ。本当は淫らでいやらしい子なんだわ。
その夜のしめくくりに女王清華が壇上から宣言した。
「あなたはわたくし専属の奴隷になるのよ鞠花さん。いいわね?皆様も」
賛同の声が唱和した。
次の日。
朝が来て日常が始まった。
しかし世界は変貌していた。
廊下を歩くと鞠花に上級生全員がお辞儀する。
どうして!?
お辞儀を返しながらあっけにとられる。
下級生からお辞儀されても上級生は一切、返礼しないのが仕来たりなのに!
逆になってる。
「あなた。上手くやったわね。清華様の一番のお気に入りになって。聞いたわよ」
美術の時間、隣にイーゼルを立てていた蓉子が耳元に囁いてきた。
「そんな」
「いいじゃない。『特待生』ね」
時は流れた。
そのままエスカレーターで短大に進むと自宅から車で通った。
もう寮には戻らなくていいのだ。
蓉子は名門私学に進んだ。
会う事も間遠になったが二人の友情は続いた。
渋谷でドンといきなり背中を押された。
「鞠花!後ろからみると女子高生みたいね。ふふふ」蓉子にそう指摘されて慌てた。
大学生にもなったのに子供っぽいんだと自覚がある。
バックひとつとっても。
「髪型少しも変わってないのね」
「そ、そう。これが好きよ」
「イメチェンしてみれば?ヘアスタイルなんかいつでも変えられるじゃない?」
蓉子みたいにしてみようかなと一言漏らすとサロンを紹介してくれた。
黒いサラサラの髪を切って栗色に染めた。大きなロッドで巻いてタテロールをつくった。
でもその半月後には蓉子がストレートの黒いロングヘアに変身して待ち合わせのカフェに現れた。
うそ。前の私と同じじゃない。
――――最初から蓉子は私の髪型にしたかったんだ。
でも被るのは嫌だから先にこっちを茶髪巻き髪に誘導したってこと………??
初めて鞠花は親友に『裏切られた』という気がした。全くたわいもない事だった。
改めてショーウインドーに映る自分の姿を眺めて
タテロールが漫画に出てくる悪役令嬢に思えてきた。
ヘンよね。
こんな事で……裏切りなんて大袈裟だわ。
だが、何かが崩れたと感じた鞠花は蓉子の彼氏の美容師に食事を誘われて断らなかった。
その頃から会う事も間があいていった。
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