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「クラリス。おかえり」
出迎えてくれたお父様とお母様の顔を見た途端に涙が溢れ出て止める事が出来ない。
「お父様、お母様…ごめんなさい。私…」
「お前が謝る事は無い。辛い思いをしたね」
涙が止まらない私をお父様とお母様は、抱き締めてくれる。
貴族令嬢として涙を見せるなどしてはならないと分かっていても、その温もりに涙が止まらい。
「父上、只今戻りました」
外に出ていたお兄様が帰られた様で、泣いている私を見ると優しく微笑んで頭を撫でてくれた。
家族皆、出戻りの私を甘やかし過ぎだ。
「おかえり、クラリス。さぁこんな所では話せない報告が有ります。居間に移動しましょう」
お兄様に言われ、私達は居間へと移動する。
「父上。言われた通りグライラス殿を調べてみれば…あークラリスに聞かせても?」
「私は大丈夫よ。グライラスに何かあったのですか?」
「グライラスは、半年前からアイリーン伯爵令嬢と浮気をしていた様だ。その…浮気相手のアイリーン嬢が妊娠した。離縁は、クラリスのせいだけではない」
「グライラスが浮気を…。お兄様、それでも私に子供を授かる事が出来たのなら、グライラスが浮気する事も離縁になる事はなかったでしょう。グライラスの子が…世継ぎが産まれるのであれば仕方ない事ですわ」
半年前からグライラスの私への気持ちは冷めていたのね。
それに気が付かずにいたなんて、何て愚かなのかしら…。
「そのアイリーン嬢なんだが、彼女には親が決めた子爵家嫡男の婚約者が居たんだ。彼女は『自分と同格か高位貴族じゃないと嫌だ。絶対に子爵家嫡男なんかと結婚しない!』と周りに言っていた。つまりグライラス殿は彼女に標的にされた可能性がある。それだけじゃない。彼女は、他の子息にも色目を使い、何人かが彼女と関係を持ち婚約破棄や離縁をしたと聞いた」
「まぁそれではグライラスも、その中の1人だと?」
「ああ。実は私も、この前のパーティーで声を掛けられてね」
「えっ!?グライラスとの子供がお腹にいるのにですか?」
「変だろう?私の他にも第4王子とダイソン侯爵家のアイバスにも声を掛けていたよ」
彼女は、パーティーの時には妊娠した事を知らなかったのかも知れない?
それにしても婚約者がいる身でありながら、他のご子息に色目を使い関係を持つなんて…。
「アイリーン嬢の誘いにのり関係を持った愚か者…子息達の中で、グライラス殿が1番爵位が高かった。だが本当の父親は誰なのか分かったものじゃない。それ程の子息達と関係を持っていた」
「つまり、それはグライラスの子ではないかも知れないと?」
「そうだ。複数の子息と同時期に関係を持っていたんだからね」
「私達の可愛いクラリスを裏切ったのだ。奴は報いを受ければ良いのだ。
クラリスには、多数の釣書が届いていたのに、あいつがクラリスを絶対に幸せにすると言うから許したのだ。クラリスが好意を寄せていなければ、あんな男と結婚させなかった。デルバラド公爵は、優秀な当主だが、息子は不出来との噂だったからな。あやつが当主になればデルバラド公爵家は終わると言われていたのだ。クラリスが嫁いだ事でデルバラド公爵も安心していたのに親不孝な男だ」
確かに結婚してから気が付いたけれど、グライラスは次期当主として義父に付き執務を教えて貰っていたが、執務室からはよく義父の怒鳴り声が聞こえていた。
何時からか私も義父に呼ばれ執務の手伝いを始めたのだ。
今思えばグライラスよりも仕事量が多く重要な仕事をさせられていた様な…。
「あらあらクラリスは、あの男が無能だった事に今やっと気が付いたのかしら?それ程、彼を慕っていたのね。あーこんな優秀で可愛いクラリスを棄てるなんて本当に許せないわ!」
それでも今回の離縁の原因は、私の不妊のせいだ。
私に子供が授かっていれば、グライラスは、浮気しなかったのかも知れない。
「お母様、もう良いのです。お父様、申し訳御座いません。暫く、こちらで過ごさせて貰っても宜しいでしょうか?早急に家を探しますので…」
「「「はぁ!?」」」
「何を言っている。クラリスの家はここだ。なぜ家を出て行くと言うのだ?」
「そんな事は許しませんよ!」
「クラリスが卑屈になる事は無いんだよ。クラリスは、私達が守るから気にしなくて良いのだ」
そうは言っても、お兄様の結婚も来月には控えている。
出戻り小姑が居れば、嫁いでくるアンジェリカ様も嫌だろう。
「ありがとうございます。ですが家を購入して出て行く事を許して下さらないので有れば、私はこのまま修道院に向かいます!」
これは脅しだ。両親やお兄様が悲しむと分かって要るけれど、バイロン侯爵家の為でもある。
3人は渋々ながらも、修道院に入られる位ならと家を出る事を了承してくれた。
出迎えてくれたお父様とお母様の顔を見た途端に涙が溢れ出て止める事が出来ない。
「お父様、お母様…ごめんなさい。私…」
「お前が謝る事は無い。辛い思いをしたね」
涙が止まらない私をお父様とお母様は、抱き締めてくれる。
貴族令嬢として涙を見せるなどしてはならないと分かっていても、その温もりに涙が止まらい。
「父上、只今戻りました」
外に出ていたお兄様が帰られた様で、泣いている私を見ると優しく微笑んで頭を撫でてくれた。
家族皆、出戻りの私を甘やかし過ぎだ。
「おかえり、クラリス。さぁこんな所では話せない報告が有ります。居間に移動しましょう」
お兄様に言われ、私達は居間へと移動する。
「父上。言われた通りグライラス殿を調べてみれば…あークラリスに聞かせても?」
「私は大丈夫よ。グライラスに何かあったのですか?」
「グライラスは、半年前からアイリーン伯爵令嬢と浮気をしていた様だ。その…浮気相手のアイリーン嬢が妊娠した。離縁は、クラリスのせいだけではない」
「グライラスが浮気を…。お兄様、それでも私に子供を授かる事が出来たのなら、グライラスが浮気する事も離縁になる事はなかったでしょう。グライラスの子が…世継ぎが産まれるのであれば仕方ない事ですわ」
半年前からグライラスの私への気持ちは冷めていたのね。
それに気が付かずにいたなんて、何て愚かなのかしら…。
「そのアイリーン嬢なんだが、彼女には親が決めた子爵家嫡男の婚約者が居たんだ。彼女は『自分と同格か高位貴族じゃないと嫌だ。絶対に子爵家嫡男なんかと結婚しない!』と周りに言っていた。つまりグライラス殿は彼女に標的にされた可能性がある。それだけじゃない。彼女は、他の子息にも色目を使い、何人かが彼女と関係を持ち婚約破棄や離縁をしたと聞いた」
「まぁそれではグライラスも、その中の1人だと?」
「ああ。実は私も、この前のパーティーで声を掛けられてね」
「えっ!?グライラスとの子供がお腹にいるのにですか?」
「変だろう?私の他にも第4王子とダイソン侯爵家のアイバスにも声を掛けていたよ」
彼女は、パーティーの時には妊娠した事を知らなかったのかも知れない?
それにしても婚約者がいる身でありながら、他のご子息に色目を使い関係を持つなんて…。
「アイリーン嬢の誘いにのり関係を持った愚か者…子息達の中で、グライラス殿が1番爵位が高かった。だが本当の父親は誰なのか分かったものじゃない。それ程の子息達と関係を持っていた」
「つまり、それはグライラスの子ではないかも知れないと?」
「そうだ。複数の子息と同時期に関係を持っていたんだからね」
「私達の可愛いクラリスを裏切ったのだ。奴は報いを受ければ良いのだ。
クラリスには、多数の釣書が届いていたのに、あいつがクラリスを絶対に幸せにすると言うから許したのだ。クラリスが好意を寄せていなければ、あんな男と結婚させなかった。デルバラド公爵は、優秀な当主だが、息子は不出来との噂だったからな。あやつが当主になればデルバラド公爵家は終わると言われていたのだ。クラリスが嫁いだ事でデルバラド公爵も安心していたのに親不孝な男だ」
確かに結婚してから気が付いたけれど、グライラスは次期当主として義父に付き執務を教えて貰っていたが、執務室からはよく義父の怒鳴り声が聞こえていた。
何時からか私も義父に呼ばれ執務の手伝いを始めたのだ。
今思えばグライラスよりも仕事量が多く重要な仕事をさせられていた様な…。
「あらあらクラリスは、あの男が無能だった事に今やっと気が付いたのかしら?それ程、彼を慕っていたのね。あーこんな優秀で可愛いクラリスを棄てるなんて本当に許せないわ!」
それでも今回の離縁の原因は、私の不妊のせいだ。
私に子供が授かっていれば、グライラスは、浮気しなかったのかも知れない。
「お母様、もう良いのです。お父様、申し訳御座いません。暫く、こちらで過ごさせて貰っても宜しいでしょうか?早急に家を探しますので…」
「「「はぁ!?」」」
「何を言っている。クラリスの家はここだ。なぜ家を出て行くと言うのだ?」
「そんな事は許しませんよ!」
「クラリスが卑屈になる事は無いんだよ。クラリスは、私達が守るから気にしなくて良いのだ」
そうは言っても、お兄様の結婚も来月には控えている。
出戻り小姑が居れば、嫁いでくるアンジェリカ様も嫌だろう。
「ありがとうございます。ですが家を購入して出て行く事を許して下さらないので有れば、私はこのまま修道院に向かいます!」
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