【完結】夫の浮気相手は私の継母でした…。

山葵

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やはりこの雨の中の突然の訪問に、ドルス侯爵家の者達も驚いている。

「ケイトお嬢様、どうされたのですか?」

執事のロイドは、慌ててタオルを持って来てくれた。
雨は先程から酷くなり、馬車を降りる時に、少し濡れてしまった。

「お父様は、居るかしら?」

「執務室におります。ですが、その前に温まれた方が宜しいかと…そのままでは風邪を引いてしまいます」

ロイドに言われ、私は身体が冷えている事に気が付いた。
今さら急いでも、どうなる事でもない。
用意されたお風呂に入り、用意されたワンピースに着替える。

執務室に入ると、私が来た事を聞いていたお父様は、私の好きなお茶の準備をさせて待っていた。

「ケイト。こんな雨の中に来るなんて、何か急ぎの用だったのか?」

「お父様。マリアさんは、今どこに居ますの?」

「マリア?マリアなら久しぶりに実家に帰ってくると言って1週間ほど出掛けているが…それが今回の訪問と関係が有るのか?」

私は目を閉じ深呼吸をした。
これから話す事で、お父様は、どんな反応をするのだろう。
私の言葉を信じてくれるのだろうか?
私の勘違いだと言うのだろうか?
マリアにもブルースにも裏切られたと知ったら激怒するのだろうか?
でも話さねばならない。

「ミリアが、ギブソン侯爵領でマリアさんとブルースが一緒に仲良く歩いているのを見掛けたそうです」

「なっ!それは本当なのか?ミリアの見間違いではないのか?」

私は首を横に降る…。

「そうか…何と言う事だ。あぁケイト、辛い思いをしたね」

お父様は、私を抱き締めてくれた。
私は、涙腺が破れた様に号泣してしまう。

余りの凄さに弟のルイスまで心配して見に来てしまった。

号泣した事で、私の気持ちもだいぶ落ち着いた。
やっぱり辛い時は思い切り泣くのが1番ね。

「お父様、モイス伯爵から話をしたいと言付かっております」

「そうか…マリアが帰って来るのが3日後。それまでに話し合いをするとしよう」

そう言うと、お父様は、モイス伯爵宛とマリアの実家のコスタ子爵家宛に手紙を書く。
私は、その日は屋敷に戻らず、久し振りにドルス侯爵家に泊まった。


次の日は雨も上がっていた。
お父様の呼び出しに応じて、義父のモイス伯爵と義兄のギルバート、コスタ子爵夫妻がドルス侯爵家へ遣って来た。

出迎えるケイトに、ギルバートは「眠れたかい?」と話し掛けてきた。

「ええ。もうぐっすりと寝ましたわ!」

笑顔で答えると、ギルバートは「それは良かった」と頷き微笑んでいる。

突然の手紙で呼び出されたコスタ子爵夫妻は、モイス伯爵も居る事に何事かと驚いている。

お父様より話を聞き、青ざめた夫妻は、ソファーから立ち上がると土下座をして私とお父様に謝った。

それを見たモイス伯爵も、立ち上がり土下座をしようとしてお父様に止められ、頭を下げた。

お父様が、マリアと離縁する事を告げるとコスタ子爵は、「マリアとは、親子の縁を切ります。二度とコスタ子爵家に帰ってくるなと伝えて下さい」そう言って帰って行った。

私も、義理とは言え、義母と浮気するブルースを許許す事は出来ない。
お義父様に「ブルースと離縁します」と告げる。

「ブルースには、二度と浮気をせぬ様に言い聞かせる。もう1度チャンスをあげてくれないだろうか?」

「それは無理ですわ」

「父上、私も婚約者に浮気され悲しい思いをしました。義理とはいえ、自分の夫が母親と浮気したのです。ケイトの気持ちを考えるとブルースとの修復は不可能かと…」

モイス伯爵としては、今回の事でドルス侯爵家とのパイプが失くなるのは痛手なのだ。
だがギルバートに言われ、モイス伯爵も納得する。
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