3 / 8
3
しおりを挟む
やはりこの雨の中の突然の訪問に、ドルス侯爵家の者達も驚いている。
「ケイトお嬢様、どうされたのですか?」
執事のロイドは、慌ててタオルを持って来てくれた。
雨は先程から酷くなり、馬車を降りる時に、少し濡れてしまった。
「お父様は、居るかしら?」
「執務室におります。ですが、その前に温まれた方が宜しいかと…そのままでは風邪を引いてしまいます」
ロイドに言われ、私は身体が冷えている事に気が付いた。
今さら急いでも、どうなる事でもない。
用意されたお風呂に入り、用意されたワンピースに着替える。
執務室に入ると、私が来た事を聞いていたお父様は、私の好きなお茶の準備をさせて待っていた。
「ケイト。こんな雨の中に来るなんて、何か急ぎの用だったのか?」
「お父様。マリアさんは、今どこに居ますの?」
「マリア?マリアなら久しぶりに実家に帰ってくると言って1週間ほど出掛けているが…それが今回の訪問と関係が有るのか?」
私は目を閉じ深呼吸をした。
これから話す事で、お父様は、どんな反応をするのだろう。
私の言葉を信じてくれるのだろうか?
私の勘違いだと言うのだろうか?
マリアにもブルースにも裏切られたと知ったら激怒するのだろうか?
でも話さねばならない。
「ミリアが、ギブソン侯爵領でマリアさんとブルースが一緒に仲良く歩いているのを見掛けたそうです」
「なっ!それは本当なのか?ミリアの見間違いではないのか?」
私は首を横に降る…。
「そうか…何と言う事だ。あぁケイト、辛い思いをしたね」
お父様は、私を抱き締めてくれた。
私は、涙腺が破れた様に号泣してしまう。
余りの凄さに弟のルイスまで心配して見に来てしまった。
号泣した事で、私の気持ちもだいぶ落ち着いた。
やっぱり辛い時は思い切り泣くのが1番ね。
「お父様、モイス伯爵から話をしたいと言付かっております」
「そうか…マリアが帰って来るのが3日後。それまでに話し合いをするとしよう」
そう言うと、お父様は、モイス伯爵宛とマリアの実家のコスタ子爵家宛に手紙を書く。
私は、その日は屋敷に戻らず、久し振りにドルス侯爵家に泊まった。
次の日は雨も上がっていた。
お父様の呼び出しに応じて、義父のモイス伯爵と義兄のギルバート、コスタ子爵夫妻がドルス侯爵家へ遣って来た。
出迎えるケイトに、ギルバートは「眠れたかい?」と話し掛けてきた。
「ええ。もうぐっすりと寝ましたわ!」
笑顔で答えると、ギルバートは「それは良かった」と頷き微笑んでいる。
突然の手紙で呼び出されたコスタ子爵夫妻は、モイス伯爵も居る事に何事かと驚いている。
お父様より話を聞き、青ざめた夫妻は、ソファーから立ち上がると土下座をして私とお父様に謝った。
それを見たモイス伯爵も、立ち上がり土下座をしようとしてお父様に止められ、頭を下げた。
お父様が、マリアと離縁する事を告げるとコスタ子爵は、「マリアとは、親子の縁を切ります。二度とコスタ子爵家に帰ってくるなと伝えて下さい」そう言って帰って行った。
私も、義理とは言え、義母と浮気するブルースを許許す事は出来ない。
お義父様に「ブルースと離縁します」と告げる。
「ブルースには、二度と浮気をせぬ様に言い聞かせる。もう1度チャンスをあげてくれないだろうか?」
「それは無理ですわ」
「父上、私も婚約者に浮気され悲しい思いをしました。義理とはいえ、自分の夫が母親と浮気したのです。ケイトの気持ちを考えるとブルースとの修復は不可能かと…」
モイス伯爵としては、今回の事でドルス侯爵家とのパイプが失くなるのは痛手なのだ。
だがギルバートに言われ、モイス伯爵も納得する。
「ケイトお嬢様、どうされたのですか?」
執事のロイドは、慌ててタオルを持って来てくれた。
雨は先程から酷くなり、馬車を降りる時に、少し濡れてしまった。
「お父様は、居るかしら?」
「執務室におります。ですが、その前に温まれた方が宜しいかと…そのままでは風邪を引いてしまいます」
ロイドに言われ、私は身体が冷えている事に気が付いた。
今さら急いでも、どうなる事でもない。
用意されたお風呂に入り、用意されたワンピースに着替える。
執務室に入ると、私が来た事を聞いていたお父様は、私の好きなお茶の準備をさせて待っていた。
「ケイト。こんな雨の中に来るなんて、何か急ぎの用だったのか?」
「お父様。マリアさんは、今どこに居ますの?」
「マリア?マリアなら久しぶりに実家に帰ってくると言って1週間ほど出掛けているが…それが今回の訪問と関係が有るのか?」
私は目を閉じ深呼吸をした。
これから話す事で、お父様は、どんな反応をするのだろう。
私の言葉を信じてくれるのだろうか?
私の勘違いだと言うのだろうか?
マリアにもブルースにも裏切られたと知ったら激怒するのだろうか?
でも話さねばならない。
「ミリアが、ギブソン侯爵領でマリアさんとブルースが一緒に仲良く歩いているのを見掛けたそうです」
「なっ!それは本当なのか?ミリアの見間違いではないのか?」
私は首を横に降る…。
「そうか…何と言う事だ。あぁケイト、辛い思いをしたね」
お父様は、私を抱き締めてくれた。
私は、涙腺が破れた様に号泣してしまう。
余りの凄さに弟のルイスまで心配して見に来てしまった。
号泣した事で、私の気持ちもだいぶ落ち着いた。
やっぱり辛い時は思い切り泣くのが1番ね。
「お父様、モイス伯爵から話をしたいと言付かっております」
「そうか…マリアが帰って来るのが3日後。それまでに話し合いをするとしよう」
そう言うと、お父様は、モイス伯爵宛とマリアの実家のコスタ子爵家宛に手紙を書く。
私は、その日は屋敷に戻らず、久し振りにドルス侯爵家に泊まった。
次の日は雨も上がっていた。
お父様の呼び出しに応じて、義父のモイス伯爵と義兄のギルバート、コスタ子爵夫妻がドルス侯爵家へ遣って来た。
出迎えるケイトに、ギルバートは「眠れたかい?」と話し掛けてきた。
「ええ。もうぐっすりと寝ましたわ!」
笑顔で答えると、ギルバートは「それは良かった」と頷き微笑んでいる。
突然の手紙で呼び出されたコスタ子爵夫妻は、モイス伯爵も居る事に何事かと驚いている。
お父様より話を聞き、青ざめた夫妻は、ソファーから立ち上がると土下座をして私とお父様に謝った。
それを見たモイス伯爵も、立ち上がり土下座をしようとしてお父様に止められ、頭を下げた。
お父様が、マリアと離縁する事を告げるとコスタ子爵は、「マリアとは、親子の縁を切ります。二度とコスタ子爵家に帰ってくるなと伝えて下さい」そう言って帰って行った。
私も、義理とは言え、義母と浮気するブルースを許許す事は出来ない。
お義父様に「ブルースと離縁します」と告げる。
「ブルースには、二度と浮気をせぬ様に言い聞かせる。もう1度チャンスをあげてくれないだろうか?」
「それは無理ですわ」
「父上、私も婚約者に浮気され悲しい思いをしました。義理とはいえ、自分の夫が母親と浮気したのです。ケイトの気持ちを考えるとブルースとの修復は不可能かと…」
モイス伯爵としては、今回の事でドルス侯爵家とのパイプが失くなるのは痛手なのだ。
だがギルバートに言われ、モイス伯爵も納得する。
146
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
伯爵令嬢の婚約解消理由
七宮 ゆえ
恋愛
私には、小さい頃から親に決められていた婚約者がいます。
婚約者は容姿端麗、文武両道、金枝玉葉という世のご令嬢方が黄色い悲鳴をあげること間違い無しなお方です。
そんな彼と私の関係は、婚約者としても友人としても比較的良好でありました。
しかしある日、彼から婚約を解消しようという提案を受けました。勿論私達の仲が不仲になったとか、そういう話ではありません。それにはやむを得ない事情があったのです。主に、国とか国とか国とか。
一体何があったのかというと、それは……
これは、そんな私たちの少しだけ複雑な婚約についてのお話。
*本編は8話+番外編を載せる予定です。
*小説家になろうに同時掲載しております。
*なろうの方でも、アルファポリスの方でも色んな方に続編を読みたいとのお言葉を貰ったので、続きを只今執筆しております。
好きな人と結婚出来ない俺に、姉が言った
しがついつか
恋愛
グレイキャット伯爵家の嫡男ジョージには、平民の恋人がいた。
彼女を妻にしたいと訴えるも、身分の差を理由に両親から反対される。
両親は彼の婚約者を選定中であった。
伯爵家を継ぐのだ。
伴侶が貴族の作法を知らない者では話にならない。
平民は諦めろ。
貴族らしく政略結婚を受け入れろ。
好きな人と結ばれない現実に憤る彼に、姉は言った。
「――で、彼女と結婚するために貴方はこれから何をするつもりなの?」
待ってるだけでは何も手に入らないのだから。
番を辞めますさようなら
京佳
恋愛
番である婚約者に冷遇され続けた私は彼の裏切りを目撃した。心が壊れた私は彼の番で居続ける事を放棄した。私ではなく別の人と幸せになって下さい。さようなら…
愛されなかった番。後悔ざまぁ。すれ違いエンド。ゆるゆる設定。
※沢山のお気に入り&いいねをありがとうございます。感謝感謝♡
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
記憶がないなら私は……
しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。 *全4話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる