【完結】夫の浮気相手は私の継母でした…。

山葵

文字の大きさ
4 / 8

4

しおりを挟む
それから2日後。

何も知らないブルースが、屋敷に帰って来た。

「お帰りなさいませ」

「ただいま!」

そう言って、ケイトを抱き締め様と手を伸ばしたが、ケイトは、スッと避けた。

「領地視察は如何でしたか?」

「あぁいつも通りで変わりなかったよ」

「へぇーブルース、領地視察に行っていたんだ」

「なっ!?あ、兄上!?」

ブルースは、驚き目を見開いている。

「その話、ゆっくり聞かせて貰おうか?」

そう言ってギルバートは、応接室へと入っていく。

後から入ったブルースは、さらに驚いた。
父と母も部屋に居たからだ。

「ブルース、領地視察とはどういう事だ?私はお前に領地視察など頼んだ覚えがないのだが?」

ブルースは、顔面蒼白になり震えている。

「説明しろ!!お前は私に友人に会いに行くと言ったな。それは誰だ、言ってみろ!!」

「が、学園の時の友人で…」

「名前は!?」

「も、申し訳ありません」

ブルースは、土下座をして謝っている。

「申し訳ない?何を謝る?」

「その…視察だと嘘を付いて、遊びに行っていました」

「それだけか?」

「…その友人と女遊びをする約束だったので、ケイトには視察だと…」

黙って聞いていたギルバートが土下座をしているブルースの胸ぐらを掴む。

「いい加減に嘘を付くなっ!!お前が何処で誰と会っていたのか全て分かっているんだぞっ!」

「えっ!?」

ブルースは、本当に?という顔をして皆を見回す。

「ブルース、貴方とは離縁します。浮気だけでも許せないのに相手が義母のマリアなんて…」

私は、お義父様が差し出した離縁状にサインする。

モイス伯爵夫妻とギルバートに挨拶をすると、荷物を積み終えている馬車に乗りドルス侯爵家と向かった。

侯爵家に戻ると門の外で泣きながら叫んでいるマリアが居た。

私の馬車が入ろうと門が開けられると一緒になって入ろうとして門番に取り押さえられている。

馬鹿な女だ。

子爵家から、侯爵家に嫁ぐなど余程でなければ無い。
お父様も、後妻でなければ下級貴族との結婚など考えなかっただろう。
その座を自ら手放したのだ。

マリアは、私に気が付き、謝罪の言葉を叫んでいる。
私は、それを無視して屋敷の中に入った。

「お父様、只今戻りました。お父様の方も無事に終わったのですか?」

「あぁなかなかサインしなかったがね。コスタ子爵家が潰れても良いのかと言ったら、やっとサインしたよ」

では何故、外で騒いでいるのでしょう?
不思議に思っていると、お父様が説明してくれた。

「婚姻後に買った物は持ち出し禁止と言ったのだがな、色々と持ち出そうとして、使用人達が取り押さえ、洋服を数着詰めた鞄と共に外に放り出したのだ。門を出たその時に、コスタ子爵家からの伝言を思い出してねぇー、忘れずに伝えられて良かったよっ!」

あぁ帰る所も失くなったのを、離婚し放り出されてから知ったと…。
顔は笑っているけれど目が笑っていないお父様は、相当怒っているのだと分かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されないと知った時、私は

yanako
恋愛
私は聞いてしまった。 彼の本心を。 私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。 父が私の結婚相手を見つけてきた。 隣の領地の次男の彼。 幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。 そう、思っていたのだ。

伯爵令嬢の婚約解消理由

七宮 ゆえ
恋愛
私には、小さい頃から親に決められていた婚約者がいます。 婚約者は容姿端麗、文武両道、金枝玉葉という世のご令嬢方が黄色い悲鳴をあげること間違い無しなお方です。 そんな彼と私の関係は、婚約者としても友人としても比較的良好でありました。 しかしある日、彼から婚約を解消しようという提案を受けました。勿論私達の仲が不仲になったとか、そういう話ではありません。それにはやむを得ない事情があったのです。主に、国とか国とか国とか。 一体何があったのかというと、それは…… これは、そんな私たちの少しだけ複雑な婚約についてのお話。 *本編は8話+番外編を載せる予定です。 *小説家になろうに同時掲載しております。 *なろうの方でも、アルファポリスの方でも色んな方に続編を読みたいとのお言葉を貰ったので、続きを只今執筆しております。

気づいたときには遅かったんだ。

水瀬瑠奈
恋愛
 「大好き」が永遠だと、なぜ信じていたのだろう。

好きな人と結婚出来ない俺に、姉が言った

しがついつか
恋愛
グレイキャット伯爵家の嫡男ジョージには、平民の恋人がいた。 彼女を妻にしたいと訴えるも、身分の差を理由に両親から反対される。 両親は彼の婚約者を選定中であった。 伯爵家を継ぐのだ。 伴侶が貴族の作法を知らない者では話にならない。 平民は諦めろ。 貴族らしく政略結婚を受け入れろ。 好きな人と結ばれない現実に憤る彼に、姉は言った。 「――で、彼女と結婚するために貴方はこれから何をするつもりなの?」 待ってるだけでは何も手に入らないのだから。

番を辞めますさようなら

京佳
恋愛
番である婚約者に冷遇され続けた私は彼の裏切りを目撃した。心が壊れた私は彼の番で居続ける事を放棄した。私ではなく別の人と幸せになって下さい。さようなら… 愛されなかった番。後悔ざまぁ。すれ違いエンド。ゆるゆる設定。 ※沢山のお気に入り&いいねをありがとうございます。感謝感謝♡

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

私はアナタから消えます。

転生ストーリー大好物
恋愛
振り向いてくれないなら死んだ方がいいのかな ただ辛いだけの話です。

記憶がないなら私は……

しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。  *全4話

処理中です...