私が悪役令嬢じゃない?そんな事を言われても困ります。

山葵

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4 セリア視点

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絶対におかしい!!
何でグリードは、あたしを好きにならないのよっ!?

マリアーナも悪役令嬢に、ちぃーともならないじゃない!!何で?どうしてなの!?

はっ!これってもしかしてあたしが入学式に寝坊したせい!?
出逢いのイベントが起きなかったから?



朝、目覚めて時計を見れば、家を出なければいけない時間だった。

「お母さんっ!!何で起こしてくれないのよっ!?入学式から遅刻じゃないのっ!!」

「あら?入学式は明日じゃなかったかしら?」

「今日だと言っておいたでしょう!もう信じられない!!お母さん、ボケが始まってるんじゃない!?」

「マリアに八つ当たりするなっ!お前が自分で起きないのが悪いのだろう!!」

「はあぁ?娘の入学式の日を間違えるお母さんが悪いんでしょう!!」

慌てて準備し、学園に走って向かっていたら思い切り転んだ。

転んだ拍子に前世の記憶が蘇る。

「ああーっ!ここは『君と僕の愛の物語』の世界だ。あたしは、ヒロインのドミノ男爵令嬢セリアだ!」

入学式は、もう当たり前だけれど始まっていて、あたしは、こっそり会場に入った。
丁度グリードが新入生代表で壇上に上がった所だ。

あぁあんなにカッコいいグリードがあたしと恋に落ち、そして結婚するのよね♡

入学式前の出逢いイベントには間に合わなかったけれど、あたしとグリードは結ばれる運命なんだもの大丈夫、漫画の強制力できっと惹かれ合い恋に落ちるのだ。

「おいっ!そこの遅れて来た生徒。クラスと名前を言え」

「ドミノ男爵家のセリアです。クラスは、今日が入学式なので分かりませ~ん」

「入学早々、遅刻とは良い度胸だな…ドミノ、ドミノ…お前はDクラスだ」

「あのー、ちなみにグリード様のクラスは?」

「お前ごときが王太子殿下を名前で呼ぶなっ!それに王太子殿下は、Sクラスに決まっているだろう」

この学園では成績でクラスが決まる。

新入生は入学前に試験が有りクラスが決められるのだ。

S、A~D クラスと5クラスに別れていて、Sクラスは成績上位者となり、Dクラスは、まぁ成績が最下位に近い人となる。

クラスが違うんだ…。
ここは漫画の強制力で同じクラスになるべきじゃない!?
そりゃあ、あたしは勉強嫌いで馬鹿だけれどさぁー。

でも、きっと近くに居れば、あたしに気が付き、恋に落ちるのよね~♪
そう思ってグリードの近くを彷徨くが、あたしの事など眼中にない。
何で?どうして?もう少し大袈裟に存在アピールをした方が良いのかな!?


悪役令嬢の婚約者マリアーナとも変わらずに仲良くしている。

あたしと恋仲にならないから、悪役令嬢にもならない。

あぁ~グリード、その女は人を虐め、殺そうとする性悪女なのよ。
そんな女が、何時までもグリードの横に居るなんて許せない!

これは強制的にイベントを実行して、元の物語に戻すしかない。

マリアーナに近付き、色々と自作自演してみたが何故か全て上手く行かない。

身体を張って階段イベントにトライもしてみたが、あたしの代わりにマリアーナが落ちてしまった。
しかもグリードに助けられてるし、一体どうなっているわけ!?

マリアーナに突き飛ばされて、虐められた様にグリードに見せたのに「マリアーナは、そんな事はしない!それに君に名前で呼ぶ事を許してはいないはずだが?今回は許すが次回はない。貴族令嬢として、もう少し学ぶ様に」とか言われるしぃー!
あぁー何か思い返して腹立ってきた!!

あたしは、この漫画の主人公でヒロインなのよ!?

なんでグリードに、こんな事を言われなきゃならないの!
それもこれもマリアーナがいけないんだ。
あいつが悪役令嬢じゃないから、だから流れがおかしくなっているのよ。
何としても元に戻さないと、あたしがグリードと、ううん、この国の王妃になれないじゃない!!!

何としてもグリードからマリアーナを引き離さないといけない。

あぁグリード、待っていてね♡
貴方とあたしの邪魔をする女を直ぐに始末してあげるわね♪
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