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前世の記憶が甦った私は、学園の中でセリアと接触しない様にとするのだけれど、気が付けば私の近くに必ずセリアが居るんだよねぇ~。
何なの、この人…ストーカーみたいで怖いんですけれどっ!?
「それではマリアーナ様、お先に失礼致します」
「クラリス様、ごきげんよう」
昇降口に向かい、角を曲がる。
そこに丁度、立っていた人にドンッ!と、ぶつかってしまった。
痛っ…。
「きゃあぁーー!!マリアーナ様。あぁ、ごめんなさい…どうか、どうか許して下さい…グスッ」
「えっ?何を言って…」
ちょっと肩がぶつかっただけなのに、大袈裟に転び、大きな声で怯えた振りして謝まられた?
頭を下げて喚く女生徒……気を付けていたのに、やられた。
「えっと…セリアさんよね?大丈夫かしら?怪我はしてないわよね?」
私は、セリアを立ち上がらせ様と手を差し出したのだけれど、彼女は周りをキョロキョロ見回して、私の手を取る事も立ち上がろうともしない。
「何か叫び声がしたが、どうかしたのか!?マリアーナ。何かあったのか!?君は、ドミノ男爵令嬢か。なぜ床に座っているのだ?」
「…グ、グリード様ぁ~マリアーナ様が…うぅ…グリード様と仲良くするなっと言って、わ、私を突飛ばしたのですぅ~…うぅ…私、とっても恐かったですぅ~グスッ」
この令嬢は何を言っているのだ?と問う様な目で殿下が私を見てきたので、私も首を傾げた。
「う~ん?それは、ドミノ男爵令嬢の勘違いじゃないのか?マリアーナが、人を突飛ばすなどあり得ない。それから、私は、君に名前で呼ぶ事を許した覚えは無いはずだが?まして君と仲良くした覚えもない。いくら学園の中では平等と言われていても、貴族としての礼儀が無い訳ではないのだ。男爵令嬢だからと言って貴族に変わりはない。君は貴族としての振る舞いや常識を覚えた方が良いだろう。今回は許すが次はない。マリアーナは帰る所だったのだろう?馬車まで私と一緒に行こう」
「…ちょ、ちょっとどういう事よ?何でグリードがヒロインのあたしに見向きもしないで説教するのよ!おかしいじゃない!?やっぱりマリアーナが悪役令嬢にならないから話が変わっているんだ…」
セリアは、下を向いてブツブツと言っている。
自分はヒロインと言った?
マリアーナが悪役令嬢だと言ったわよね?
セリアも漫画を読んでいた転生者なんだ。
漫画の中で学園の入学式で運命的な恋に落ちる王太子グリードと男爵令嬢でヒロインのセリア。
真実の愛の相手に巡り逢った2人は人目も憚らず学園で仲良くする。
2人の仲を引き裂く為に必死になるグリード殿下の婚約者である悪役侯爵令嬢マリアーナ。
それなのに半年経った今でもグリードとセリアは恋仲になっていないし、マリアーナも悪役令嬢になっていない。
セリアは漫画の様になる為に、必死でイベントを起こそうとしているんだ。
「どうしたの?何か考え事かい?」
「申し訳御座いません。…グリード殿下にお聞きしても宜しいでしょうか?グリード殿下は入学式の日に困っているセリアさんにお声を掛けられたのでは無いですか?」
「んっ?私がドミノ男爵令嬢に?……確か彼女は入学式だというのに、遅れて来たんじゃなかったかな?私が新入生代表で壇上に上がった時に、会場にこっそり入って来たのを見た。帰りは君と一緒だったし、クラスも違うから話もしていない。ドミノ男爵令嬢が何か言ったのか?」
まさかの入学式に遅刻!?
自分から出逢いのイベントを、へし折ってますが!?
「セリアさんと殿下は仲良く…」
「してないからっ!彼女には入学式以降、付き纏われてはいたけれど、最近はないから安心していたんだ。私が仲良くしたいのも、グリードと名前を呼ばれたいのもマリアーナ、君だけだからっ!」
ヤバい!グリードみたいなイケメンに、こんな事を言われるなんて、マリアーナに転生したのに幸せかもっ!
「マリアーナは、私をグリードと呼んではくれないの?」
はぅ…そんなお願いする様な眼差しで…
「グ…グリード…様?」
「あぁ~マリアーナが可愛い!」
馬車までの道のりが遠く感じたのは気のせいだろうか?
何なの、この人…ストーカーみたいで怖いんですけれどっ!?
「それではマリアーナ様、お先に失礼致します」
「クラリス様、ごきげんよう」
昇降口に向かい、角を曲がる。
そこに丁度、立っていた人にドンッ!と、ぶつかってしまった。
痛っ…。
「きゃあぁーー!!マリアーナ様。あぁ、ごめんなさい…どうか、どうか許して下さい…グスッ」
「えっ?何を言って…」
ちょっと肩がぶつかっただけなのに、大袈裟に転び、大きな声で怯えた振りして謝まられた?
頭を下げて喚く女生徒……気を付けていたのに、やられた。
「えっと…セリアさんよね?大丈夫かしら?怪我はしてないわよね?」
私は、セリアを立ち上がらせ様と手を差し出したのだけれど、彼女は周りをキョロキョロ見回して、私の手を取る事も立ち上がろうともしない。
「何か叫び声がしたが、どうかしたのか!?マリアーナ。何かあったのか!?君は、ドミノ男爵令嬢か。なぜ床に座っているのだ?」
「…グ、グリード様ぁ~マリアーナ様が…うぅ…グリード様と仲良くするなっと言って、わ、私を突飛ばしたのですぅ~…うぅ…私、とっても恐かったですぅ~グスッ」
この令嬢は何を言っているのだ?と問う様な目で殿下が私を見てきたので、私も首を傾げた。
「う~ん?それは、ドミノ男爵令嬢の勘違いじゃないのか?マリアーナが、人を突飛ばすなどあり得ない。それから、私は、君に名前で呼ぶ事を許した覚えは無いはずだが?まして君と仲良くした覚えもない。いくら学園の中では平等と言われていても、貴族としての礼儀が無い訳ではないのだ。男爵令嬢だからと言って貴族に変わりはない。君は貴族としての振る舞いや常識を覚えた方が良いだろう。今回は許すが次はない。マリアーナは帰る所だったのだろう?馬車まで私と一緒に行こう」
「…ちょ、ちょっとどういう事よ?何でグリードがヒロインのあたしに見向きもしないで説教するのよ!おかしいじゃない!?やっぱりマリアーナが悪役令嬢にならないから話が変わっているんだ…」
セリアは、下を向いてブツブツと言っている。
自分はヒロインと言った?
マリアーナが悪役令嬢だと言ったわよね?
セリアも漫画を読んでいた転生者なんだ。
漫画の中で学園の入学式で運命的な恋に落ちる王太子グリードと男爵令嬢でヒロインのセリア。
真実の愛の相手に巡り逢った2人は人目も憚らず学園で仲良くする。
2人の仲を引き裂く為に必死になるグリード殿下の婚約者である悪役侯爵令嬢マリアーナ。
それなのに半年経った今でもグリードとセリアは恋仲になっていないし、マリアーナも悪役令嬢になっていない。
セリアは漫画の様になる為に、必死でイベントを起こそうとしているんだ。
「どうしたの?何か考え事かい?」
「申し訳御座いません。…グリード殿下にお聞きしても宜しいでしょうか?グリード殿下は入学式の日に困っているセリアさんにお声を掛けられたのでは無いですか?」
「んっ?私がドミノ男爵令嬢に?……確か彼女は入学式だというのに、遅れて来たんじゃなかったかな?私が新入生代表で壇上に上がった時に、会場にこっそり入って来たのを見た。帰りは君と一緒だったし、クラスも違うから話もしていない。ドミノ男爵令嬢が何か言ったのか?」
まさかの入学式に遅刻!?
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「してないからっ!彼女には入学式以降、付き纏われてはいたけれど、最近はないから安心していたんだ。私が仲良くしたいのも、グリードと名前を呼ばれたいのもマリアーナ、君だけだからっ!」
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はぅ…そんなお願いする様な眼差しで…
「グ…グリード…様?」
「あぁ~マリアーナが可愛い!」
馬車までの道のりが遠く感じたのは気のせいだろうか?
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