私が悪役令嬢じゃない?そんな事を言われても困ります。

山葵

文字の大きさ
8 / 8

8

しおりを挟む
グリード様にエスコートされてクリスマスパーティー会場へと入場する。

「グリード殿下とマリアーナ様よ。美男美女で絵画から抜け出して来た様な美しさだわ!」

「お二人の衣装はお揃いで、グリード殿下のマリアーナ様に対するお気持ちがとても…うふふ♪」

「わたくしも、あんなに愛されてみたいですわぁ~♪」

会場にいる皆の注目の中、私達はホールの中心に向かい進んでいた。

「ちょっと、なんであんたがグリードにエスコートされているわけ!?そのドレスも、あたしが贈られるはずのドレスよね?どうしてあんたが着てるのよっ!!」

怒鳴り声と共に、セレナが人混みを掻き分けて私達に近付いて来た。

グリードは、私を庇う様に前に出る。
側近候補の2人もグリードを庇う様に前に出て、セレナが私達に近付かない様に食い止めている。

「ちょっと離してよ、痛いじゃないっ!!あたしにそんな事をして良いと思っているのっ!!あたしは、グリード様と結婚して王太子妃になるのよっ!!その時は、あんた達なんてクビにしてやるんだからぁーー!!!ちょっと、痛いと言ってるでしょう!!グ、グリード様ぁ~助けて下さいぃ~。貴方の愛しのセレナが虐められていますよぉ~」

グリードは、汚い物でも見る様な目をして、溜息を吐いた。

「誰が私の愛しのセレナだって?君は、気でも触れたのか?
私の愛しい人はマリアーナだ。けっして君などではない!」

「な、なんでよーー!あたしはヒロインで、グリードと運命の恋で結ばれ幸せになるのよ!!あんたのせいよ。あんたが漫画の様に悪役令嬢の役割りを果たさないからっ!!」

セレナは、暴れ抑えていた2人を振り切り、私目掛けて突進して来た。

あぁ、殴られる!

目を瞑り、身体を強張らせたが、殴られる事はなかった。

グリードがセレナを取り押させていたのだ。

その後セレナは、学園長が呼んだ衛兵に連行されて行った。

納得の出来ないセレナは「なぜなの?どうして?グリードは、あたしの物なのに…入学式のイベントがなかったから?なんで強制力が起きないのよ?おかしいでしょ!?」と繰り返し呟いていたが、誰もセレナの言葉の意味が理解出来ない。
そう、私以外は…。

「マリアーナ。大丈夫か?ドミノ男爵令嬢は、少し、いやだいぶ変わった令嬢だと思っていたが、まさかクリスマスパーティーで騒動を起こすとは…。彼女は、妄想癖でもあるのかな?私がドミノ男爵令嬢と婚姻するなど有り得ない。親しく話した事もないのにドレスを贈るなど…」

漫画の話を知るセレナには、現実の世界を受け入れる事が出来なかったのだろう。
自分は、この世界のヒロインで、グリードと身分差の恋に落ち結ばれる。

学園に入学式してから、漫画の様にイベントも起こらなければ、グリードがセレナに恋する事もなかった。

セレナが、現実世界は、漫画の様には行かないのだと理解すれば拘束され罪に問われる事もなかったのに…。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

隣国へ留学中だった婚約者が真実の愛の君を連れて帰ってきました

れもん・檸檬・レモン?
恋愛
隣国へ留学中だった王太子殿下が帰ってきた 留学中に出会った『真実の愛』で結ばれた恋人を連れて なんでも隣国の王太子に婚約破棄された可哀想な公爵令嬢なんだそうだ

やめてくれないか?ですって?それは私のセリフです。

あおくん
恋愛
公爵令嬢のエリザベートはとても優秀な女性だった。 そして彼女の婚約者も真面目な性格の王子だった。だけど王子の初めての恋に2人の関係は崩れ去る。 貴族意識高めの主人公による、詰問ストーリーです。 設定に関しては、ゆるゆる設定でふわっと進みます。

ある朝、結婚式用に仕立ててもらったドレスが裂かれていました。~婚約破棄され家出したために命拾いしました~

四季
恋愛
ある朝、結婚式用に仕立ててもらったドレスが裂かれていました。

【完結】愛されないと知った時、私は

yanako
恋愛
私は聞いてしまった。 彼の本心を。 私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。 父が私の結婚相手を見つけてきた。 隣の領地の次男の彼。 幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。 そう、思っていたのだ。

婚約者が妹にフラついていたので相談してみた

crown
恋愛
本人に。

病弱な妹に婚約者を奪われお城に居場所がなくなったので家出したら…結果、幸せになれました。

coco
恋愛
城に戻ってきた妹に、騎士兼婚約者を奪われた私。 やがて城に居場所がなくなった私は、ついに家出を決意して…?

婚約破棄? あ、ハイ。了解です【短編】

キョウキョウ
恋愛
突然、婚約破棄を突きつけられたマーガレットだったが平然と受け入れる。 それに納得いかなかったのは、王子のフィリップ。 もっと、取り乱したような姿を見れると思っていたのに。 そして彼は逆ギレする。なぜ、そんなに落ち着いていられるのか、と。 普通の可愛らしい女ならば、泣いて許しを請うはずじゃないのかと。 マーガレットが平然と受け入れたのは、他に興味があったから。婚約していたのは、親が決めたから。 彼女の興味は、婚約相手よりも魔法技術に向いていた。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

処理中です...