1 / 1
☆
しおりを挟む
お母様の再婚に依って男爵家から伯爵令嬢になった私に、義理のお兄様とお姉様が出来た。
一人っ子だった私は、とても嬉しい。
お兄様もお姉様も嫌な顔などせずに、私を可愛がってくれる。
毎日が楽しい日々だ。
「はぁー。シャルライン、貴女は何て鈍臭いのかしら?そんな事で伯爵令嬢として恥ずかしくないのかしら?貴女のせいで我がエルバン伯爵家が笑われるのよ!?もっと勉強なさいっ!!」
マリーラお義姉様は、忙しい筈なのに、家庭教師が来る日は時間を作って必ず様子を見に来てくれていた。
伯爵令嬢として私が嘲笑われる事がない様に、励まし檄を飛ばしてくれる。
本当に優しいマリーラお義姉様。
そんなマリーラお義姉様には、アランお兄様と同い歳でお2人の幼馴染、ヤーバン伯爵家嫡男ドミニク様という婚約者が居た。
この方が、ちょっと…いやかなり独占欲が強く、正直周りが引くほどだ。
マリーラお義姉様との恒例のお茶会で紹介された当初は、お互いにお義姉様愛で意気投合し、話も弾んでいたのだけれど、話す回数が増えるにつれて『この人の愛…怖いわっ!』と思うくらいに引いた。
だって、お義姉様と街に買い物に行った時の話しをしたのよ。
とても楽しかった♪お姉様も楽しんでいた!と。
そこまでは良かったの…。
お義姉様が躓き、転びそうになった所を私の護衛騎士が慌てて支えた!と言った途端に態度が急変し「君の護衛騎士は確か男だったよね?今すぐに連れて来て。腕をへし折ってやらねばっ。護衛といえども僕のマリーラに触れるなんてっ。」
『この人なにを言っているの?お義姉様が転んで怪我した方が大変じゃない?』
護衛騎士がお義姉様に触れるのも嫌って、おかしいでしょう?
アランお義兄様に、その話をしたら「あー、ドミニクだからなぁー。昔ね、マリーラの護衛騎士が男だと知った後に、直ぐにヤーバン伯爵家から女性騎士が送られてきたんだよ。マリーラの側に男が四六時中居るのが我慢ならんらしい。兄の俺にも触れるなっと言ってくるし」
「そんな愛が重めの男にお義姉様を嫁がせて本当に大丈夫なのですか?」
「ドミニクからマリーラを引き離してみろ。あいつはマリーラを拐って拉致監禁するだろう。シャルラインの心配も分かるが、ドミニクのマリーラへの愛は本物だ。マリーラが不幸になる事はない…と思うよ。俺としてはマリーラの方が心配だ。溺愛されている事に気付かない鈍感さは驚きだよ。なんだかんだ言っても相思相愛の2人だから俺達が心配しなくても、きっと大丈夫さっ!」
そんな呑気なアランお兄様。
ずっと見てきた家族が言うのだから、大丈夫なのでしょうけれど…。
そんな不安を抱えていたが、私とお母様のお披露目パーティーで、マリーラお義姉様とドミニク様の結婚式の日取りを発表するという。
マリーラお義姉様には、サプライズらしく当日までは知らせない。
皆で、こっそりと準備されていた。
お披露目パーティーでのドレス選びで、マリーラお義姉様が私に選んでくれたのは、水色のドレス。
この色、護衛騎士のラルドの瞳の色と一緒で嬉しい。
もしかしてマリーラお義姉様に私の気持ちがバレてしまっているのかしら?
マリーラお義姉様が選んだのはクリーム色のドレス。
直ぐにドミニク様に報告しましたわ。
結婚式の日取りの発表するのに、そのドレスは有り得ませんものね。
けれど、当日のドレス…あそこまで独占欲丸出しのドレスにされるとは思ってもいませんでしたわ。
マリーラお義姉様には最終確認しましたわ。
「お義姉様、おめでとうございます。でも本当に良いのですか?ドミニク様は重いというか、キモいというか、私は大好きなお義姉様が不幸になるのではないかと心配ですわ。お義姉様、もう1度、考え直した方が良ろしいのではないでしょうか?今ならまだ間に合いますわ!」
微笑むマリーラお義姉様を見たら、自分が野暮だったと悟りましたけれど、でも何でしょう?今でもモヤモヤしてしまうのです。私の大好きなマリーラお義姉様を本当にあんな人に任せて良かったのかと。
「まだ心配しているのですか?」
そう言って、私の顔を覗き込む様に見ているのは護衛騎士のラルドだ。
彼は、私の幼馴染で伯爵家に来た時に私の護衛騎士を雇うと言われ、思わずラルドを推薦した。
男爵家の三男であるラルドには、受け継ぐ爵位はない。
その為、彼は兵士になるべく修行をしていた。
お義父様も、申し分ない彼の実力と気心知れた者の方が良いかと私への配慮でラルドが採用された。
お母様は、気が付いている様だが、私はラルドに好意を寄せている。
自惚れでなければ、ラルドも私に好意を持っていてくれていると思うのだけれど…。
「う~ん…もうマリーラお義姉様が幸せなら良いのかなぁ~と思う様にした。私なら無理だけれどね~。」
「俺は、ヤーバン伯爵子息の気持ちが分かる。好きな女は守りたいし、囲い込みたい。他の男など見て欲しくない。自分だけを見て欲しいと思う。シャルは、それを重く感じるか?」
そう言うラルドの眼は私の眼を捉えて離さない。
どうやら私もマリーラお義姉様と同じタイプの人を好きになってしまった様だ。
それでもドキドキして嬉しいと思ってしまう。
マリーラお義姉様、独占欲強めの男あり、かも…。
End
最後まで読んで頂き ありがとうございます。
一人っ子だった私は、とても嬉しい。
お兄様もお姉様も嫌な顔などせずに、私を可愛がってくれる。
毎日が楽しい日々だ。
「はぁー。シャルライン、貴女は何て鈍臭いのかしら?そんな事で伯爵令嬢として恥ずかしくないのかしら?貴女のせいで我がエルバン伯爵家が笑われるのよ!?もっと勉強なさいっ!!」
マリーラお義姉様は、忙しい筈なのに、家庭教師が来る日は時間を作って必ず様子を見に来てくれていた。
伯爵令嬢として私が嘲笑われる事がない様に、励まし檄を飛ばしてくれる。
本当に優しいマリーラお義姉様。
そんなマリーラお義姉様には、アランお兄様と同い歳でお2人の幼馴染、ヤーバン伯爵家嫡男ドミニク様という婚約者が居た。
この方が、ちょっと…いやかなり独占欲が強く、正直周りが引くほどだ。
マリーラお義姉様との恒例のお茶会で紹介された当初は、お互いにお義姉様愛で意気投合し、話も弾んでいたのだけれど、話す回数が増えるにつれて『この人の愛…怖いわっ!』と思うくらいに引いた。
だって、お義姉様と街に買い物に行った時の話しをしたのよ。
とても楽しかった♪お姉様も楽しんでいた!と。
そこまでは良かったの…。
お義姉様が躓き、転びそうになった所を私の護衛騎士が慌てて支えた!と言った途端に態度が急変し「君の護衛騎士は確か男だったよね?今すぐに連れて来て。腕をへし折ってやらねばっ。護衛といえども僕のマリーラに触れるなんてっ。」
『この人なにを言っているの?お義姉様が転んで怪我した方が大変じゃない?』
護衛騎士がお義姉様に触れるのも嫌って、おかしいでしょう?
アランお義兄様に、その話をしたら「あー、ドミニクだからなぁー。昔ね、マリーラの護衛騎士が男だと知った後に、直ぐにヤーバン伯爵家から女性騎士が送られてきたんだよ。マリーラの側に男が四六時中居るのが我慢ならんらしい。兄の俺にも触れるなっと言ってくるし」
「そんな愛が重めの男にお義姉様を嫁がせて本当に大丈夫なのですか?」
「ドミニクからマリーラを引き離してみろ。あいつはマリーラを拐って拉致監禁するだろう。シャルラインの心配も分かるが、ドミニクのマリーラへの愛は本物だ。マリーラが不幸になる事はない…と思うよ。俺としてはマリーラの方が心配だ。溺愛されている事に気付かない鈍感さは驚きだよ。なんだかんだ言っても相思相愛の2人だから俺達が心配しなくても、きっと大丈夫さっ!」
そんな呑気なアランお兄様。
ずっと見てきた家族が言うのだから、大丈夫なのでしょうけれど…。
そんな不安を抱えていたが、私とお母様のお披露目パーティーで、マリーラお義姉様とドミニク様の結婚式の日取りを発表するという。
マリーラお義姉様には、サプライズらしく当日までは知らせない。
皆で、こっそりと準備されていた。
お披露目パーティーでのドレス選びで、マリーラお義姉様が私に選んでくれたのは、水色のドレス。
この色、護衛騎士のラルドの瞳の色と一緒で嬉しい。
もしかしてマリーラお義姉様に私の気持ちがバレてしまっているのかしら?
マリーラお義姉様が選んだのはクリーム色のドレス。
直ぐにドミニク様に報告しましたわ。
結婚式の日取りの発表するのに、そのドレスは有り得ませんものね。
けれど、当日のドレス…あそこまで独占欲丸出しのドレスにされるとは思ってもいませんでしたわ。
マリーラお義姉様には最終確認しましたわ。
「お義姉様、おめでとうございます。でも本当に良いのですか?ドミニク様は重いというか、キモいというか、私は大好きなお義姉様が不幸になるのではないかと心配ですわ。お義姉様、もう1度、考え直した方が良ろしいのではないでしょうか?今ならまだ間に合いますわ!」
微笑むマリーラお義姉様を見たら、自分が野暮だったと悟りましたけれど、でも何でしょう?今でもモヤモヤしてしまうのです。私の大好きなマリーラお義姉様を本当にあんな人に任せて良かったのかと。
「まだ心配しているのですか?」
そう言って、私の顔を覗き込む様に見ているのは護衛騎士のラルドだ。
彼は、私の幼馴染で伯爵家に来た時に私の護衛騎士を雇うと言われ、思わずラルドを推薦した。
男爵家の三男であるラルドには、受け継ぐ爵位はない。
その為、彼は兵士になるべく修行をしていた。
お義父様も、申し分ない彼の実力と気心知れた者の方が良いかと私への配慮でラルドが採用された。
お母様は、気が付いている様だが、私はラルドに好意を寄せている。
自惚れでなければ、ラルドも私に好意を持っていてくれていると思うのだけれど…。
「う~ん…もうマリーラお義姉様が幸せなら良いのかなぁ~と思う様にした。私なら無理だけれどね~。」
「俺は、ヤーバン伯爵子息の気持ちが分かる。好きな女は守りたいし、囲い込みたい。他の男など見て欲しくない。自分だけを見て欲しいと思う。シャルは、それを重く感じるか?」
そう言うラルドの眼は私の眼を捉えて離さない。
どうやら私もマリーラお義姉様と同じタイプの人を好きになってしまった様だ。
それでもドキドキして嬉しいと思ってしまう。
マリーラお義姉様、独占欲強めの男あり、かも…。
End
最後まで読んで頂き ありがとうございます。
196
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
やめてくれないか?ですって?それは私のセリフです。
あおくん
恋愛
公爵令嬢のエリザベートはとても優秀な女性だった。
そして彼女の婚約者も真面目な性格の王子だった。だけど王子の初めての恋に2人の関係は崩れ去る。
貴族意識高めの主人公による、詰問ストーリーです。
設定に関しては、ゆるゆる設定でふわっと進みます。
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
私、お母様の言うとおりにお見合いをしただけですわ。
いさき遊雨
恋愛
お母様にお見合いの定石?を教わり、初めてのお見合いに臨んだ私にその方は言いました。
「僕には想い合う相手いる!」
初めてのお見合いのお相手には、真実に愛する人がいるそうです。
小説家になろうさまにも登録しています。
【完結】名無しの物語
ジュレヌク
恋愛
『やはり、こちらを貰おう』
父が借金の方に娘を売る。
地味で無表情な姉は、21歳
美人で華やかな異母妹は、16歳。
45歳の男は、姉ではなく妹を選んだ。
侯爵家令嬢として生まれた姉は、家族を捨てる計画を立てていた。
甘い汁を吸い付くし、次の宿主を求め、異母妹と義母は、姉の婚約者を奪った。
男は、すべてを知った上で、妹を選んだ。
登場人物に、名前はない。
それでも、彼らは、物語を奏でる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる