私の好きなお兄様

山葵

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「お嬢様、アルベルト様に、あんな事を言ってしまわれて良かったのですか?」

マリーは、私の着替えをしながら、不安そうにしている。

「…仕方ないじゃない。お母様の悲しそうな顔を見たら、私達の我が儘を通して良いのか分からなくなってしまったのよ…」

勿論、そのせいでお兄様を傷付けたのも分かっている。

今の私の頭の中はグチャグチャで、どうして良いか分からないのだ。

「アルベルト様と、きちんと話をされた方が良いと思いますよ」

「…そうね。明日、話をしてみるわ…」

湯浴みを済ませ、ベッドに横になると、扉がノックされた。

「誰ですの?」

「私だ」

お兄様…私は扉へと急ぐ。

「お兄様、どうされましたの?」

「リリアナ…部屋に入っても良いだろうか?」

私は、お兄様を部屋に入れ、お茶の用意をさせようとベルを鳴らそうとした。

「お茶は要らない」

お兄様と反対側のソファに座る。

「リリアナ…私と結婚するのは嫌なのか?」

「お兄様の事は好きです。ですが、私とお兄様は、爵位を継ぐ身…どちらかの家が失くなってしまう事を考えたら、私達が一緒になって良いものか考えてしまいました」

「確かにフリーマン侯爵家には、君しか爵位を継ぐ者はいない。だがレイノルズ侯爵家には、父上の兄弟の子がいる。優秀な子を養子にし、後を継がせても良いんだ」
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